Shimano Ultegra RXやGRXのリアディレイラーには「クラッチ」が付いています。「チェーン・スタビライザー」とも呼ばれますが、目的は文字通り走行時のチェーンのバタつきを抑えることにあります。
チェーンが落ちにくくなり、チェーンステーが傷でボロボロになるのを避けられるメリットがあります。
下は筆者所有のRD-RX805-GS(Ultegra RX)。右端のグレーのレバーを「ON」の位置にするとプーリーケージが手では動かなくなります。
ホイールを外したり、メンテナンスをする時はOFFにする必要があります。
あとMTB用のリアディレイラーには大体付いている機構です。
クラッチ(スタビライザー)についての意見
CBNにGRXグレードのリアディレイラー、RD-RX812についてのレビューが2件寄せられています。ここにクラッチへの言及があるのですが、読んでいて面白かったので紹介します。
私の住む雪国では、降雪や寒暖差によって道路の段差が大きく、舗装路でもチェーンが暴れがちです。
スタビライザーの効果は大きく、チェーン落ちやフレームへのキズを心配せずにライドできるのは素晴らしいです。
スタビライザーをONにすると若干動きが重くなりますが、チェーン長を適切にする事でかなり緩和できます。
– FRONTSINGLERさん
なるほど! 私も長野県などに遊びに行くと、雪解けの春には国道でもかなりガタガタした道があってチェーンが暴れることがあります。新しい自転車だと確かに気になりますよね。
一方こんなご意見も。
Jari1.3のGRX換装目的で購入しました。
シングル用RDだからか,テンションは強めなので特にスタビライザーをONにしたことがありません。
グラベル環境にもかなり行ってるのですがOFFでチェーン落ち無しです。
使い所が。。。?– JINXさん
私自身はJINXさんとほぼ同じで、このスタビライザーを使わないことが多くなったのでした。それでこの記事を書いてみようと思ったのです。
OFFにしておいたほうがシフトの感触は良好で、そもそもチェーンステイにチェーンがガッツンガッツン当たるようなシチュエーションが私の場合はあまりない、というか、たまにはあるのですが、チェーンステーがボロボロになっても別にいいや、という感じの自転車であり、1xのフロントチェーンリングはナローワイドのせいもあって、チェーン落ちする気もしません。
チッ、今日は走りを攻めすぎちまったな…あやうくチェーンが外れそうだったぜ(フ…)
みたいなことはあまりないですw
というわけでJINXさんの投稿を拝読した時、なるほど、グラベルロードに乗っていてもクラッチを持て余している人は結構いるのかもしれないなぁ、と思ったのでした。
そこでアンケートを取ってみました。
グラベルロードでクラッチ付きリアディレイラーを使用している方にお聞きします。クラッチはやはりあったほうがいいと思いますか?
— CBN (@cbnanashi) October 27, 2019
グラベルロードでクラッチ付きリアディレイラーを使用している方にお聞きします。クラッチはやはりあったほうがいいと思いますか?
結果を見ると「なくても困らない」という人はそれなりにいるようです。
Twitterではこんなご意見も。
MTBにSLX11速導入して初めてクラッチ機能知ったけど、多摩川のダート路面程度ではOffにしても全くチェーン落ちしそうもない。1X11にはしてるんだけども。Onにすると手でクランク回すと逆転は重く感じるんだよな。 https://t.co/4YvlnpZTtA
— Hirofumi (@Hirofum59015393) October 28, 2019
確かに東京・多摩川の狛江ダートでも、埼玉県の荒川上流でもクラッチがないと困るという感じまでは、個人的には行かないかなという気がします。もちろん「あったらいい」、nice-to-haveなアイテムではあります。
どこで乗るかによる
結局「どこで乗るかによる」という身も蓋もない話です(すみませんw)。FRONTSINGLERさんのように舗装路でも状態が悪ければチェーンが暴れるでしょうから、あれば絶対便利。
山でMTBのトレイル・ラン的な走り方をする人や、Dirty Kanzaのようなグラインデューロ・レースを走る人にとっても必須でしょう。
関連記事:Dirty Kanzaって何? という方は下の記事をどうぞ
また下のツイートでドイツの方が見せてくれたような町中のパヴェでも「あったほうが便利」ということは多そうです。この路面ならママチャリの速度域でもチェーンがガシャガシャいいそうです。
Gespreitzte Kassette → lange Kette → langer Schaltkäfig = Hebel.
Das Schlagen der Kette wird auch auf Straßendecken wie dieser verhindert. pic.twitter.com/jCAaWM2ZZK
— Mᴀʀᴋ »Q« Kubacki (@murmosh) October 27, 2019
クラッチがあるとちょっと重い
クラッチ付きのUltegra RD-RX800-GSの公称重量は248gです。GRX RD-RX812は267g。一方Ultegraの普通のロード用リアディレイラー、RD-R8000-GS(11-34T対応)は210gなので、同じようなグレードの中で30〜50gほど軽くできるんですね。
段差のあるガレ場を下ったり、スピーディーに駆け抜けるスリルを味わいたい方はクラッチ付きに越したことはないと思いますが、私のようなケースだと悪路を走ると言っても「なんかおもしろいものないかなー」と、カメラを片手に周囲を観察しつつわりとゆっくり目に走ることが多いので、チェーン・スタビライザーはオーバースペックかもしれません(そしてむしろ軽量化のほうが自分には優先順位が高いのかも…)。
グラベルロードだからといって何もかもグラベル専用品で固める必要はないので、自分に本当に必要なものを見分けていけるようになりたいですね(いろいろ使ってみないとわからないことではありますが)。
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