シマノがMTBコンポグループのDeore XTとDeoreに新しいコンポーネントグループを追加しました。注目すべきは、いずれも既存のHG(HYPERGRIDE・ハイパーグライド)システムとほぼ互換性がないことです。
公式 リンクグライド | SHIMANO BIKE COMPONENT
公式 DEORE XT M8130
公式 DEORE M5130
耐久性とスムーズなシフティングが売り
新たに追加されたのは「DEORE XT M8130」と「DEORE M5130」の2シリーズ。従来のHYPERGRIDEとは互換性のない「LINKGLIDE(リンクグライド)」という新システムが採用されています。型番的には末尾「130」がLINKGLIDEを表しています。
この新シリーズはいずれも1xで、カセットスプロケット・リアディレイラー・シフター・チェーンの4つから構成されます。カセット自体は、既存のHGハブに装着できます。しかし歯のスペーシングがHYPERGRIDEとは違うので(下図参照)、シフターとリアディレイラーはLINKGLIDE専用のものが必要になります。チェーンについてはHGの11スピード(HG-X11)と互換性があります。
コグがHYPERGLIDEよりも厚くなっているわけですが、これは耐久性を向上するため。HYPERGLIDE比で耐摩耗性が300%向上しているそうです。つまり3倍長持ち。さらに歯先が新しい形状になり、シフティングがよりスムーズになっているとされています(変速時のペダリングショックが少ない)。
XT M8130のカセットCS-LG600-11は11-50T。DEORE M5130のカセットCS-LG600-10は11-43Tです。XTは11スピードでDeoreは10スピード。リアディレイラーはどちらもShadow RD+でクラッチも搭載しています。チェーンのCN-LG500はLINKGLIDEの10/11スピードとHYPERGRIDE 11スピードで使用可能。
主にE-BIKE向け
このコンポはE-BIKEをはじめとした、高トルク・高チェーンテンション・高耐久性が要求されるバイクを念頭に置いているようです。HYPERGLIDEは軽量で速いシフトが売りのレーシングコンポ、LINKGLIDEは軽くはないものの高耐久性とスムーズなシフトが売りのユーティリティバイク向けコンポ、という位置付けだと思います。
日本ではE-MTBはそれほど普及していませんが、世界的に見ると巨大なマーケットなのでそこでのエントリーバイクへの搭載を狙っている製品ではないかと思います。普通のMTBで使う方はあまりいないかもしれませんが、カセットやディレイラーの購入時は互換性を再確認しましょう。LINKGLIDE製品には「LG」というロゴが付いています。