シマノが発表した新型105 Di2についての海外サイクリストの反応を昨日ご紹介しましたが、今日も追加でBikeradarのインスタ投稿へのコメントから目立ったものをピックアップしてみます。
サイクリングは新しいゴルフだ
新型105 Di2を擁護するコメントは残念ながらほぼ皆無に等しいのですが、公平を期してひとつピックアップ。
- Di2に移行して以来、もうメカニカルを使いたいとは思わなくなった。新型の8100は素晴らしいし調整も簡単だ。もう1台予算内で組むなら1000%、105 Di2に行くだろう。シマノがこのゲームに挑戦してきたのはクールだと思うし、新型105はホットケーキみたいに売れるだろう。なぜもっと早くSRAMとこの戦いを始めなかったのかが疑問ではある
新型105が、というか「新型105搭載完成車」が実際にホットケーキのようにバンバン売れるかどうかは気になるところですね。SRAM Rival AXS完成車との対決です。シマノとしては「エントリーレベル(または最下位グレード)の電動コンポ市場」でSRAMに勝つ、ということを現時点での最大目標のひとつにしているのは間違いないでしょう。
新型105に失望したという意見もあらためて観察してみます。
- サイクリングは新しいゴルフである、ということの証拠が増えたね
- いやサイクリングは新しいF1だ
- 105はサイクリングを始めようという人にとっての手頃な選択肢ではもはやなくなった
- それに現在の経済状況を考えると、泣きっ面に蜂という感じだ
- 俺でも買えるようなTourney Di2の登場を待っている
- 自転車の値段は完全にバカげたものになった。富裕層のスポーツになりつつあるよ
- 各ブランドはサイクリングを高価なものにするのをやめてくれることを願う。105は納得感のある価格の、普段使いできる道具であり、1000ポンド以上のコンポではないはずだ
- 自転車業界は中流・上流階級の人々からのサイクリング人気に乗じており、このスポーツの魂を吸い取ろうとしている。労働者階級のための、シンプルで堅牢な道具にはもう存在の余地がないようだ
- バカみたいに高いし、来週注文しても手に入るのは2035年だ。環境汚染されたこの世界にまた電池が増える
- 誰もがリムブレーキ版が欲しいと言うが、実際には買わないのだから用意されるわけがない
しかし新型105 Di2の価格が高いからといってシマノを責めるのは、現在の世界情勢を考えると酷でしょう。多くの企業が、高価格路線に向かわないと会社そのものの継続が難しくなると判断しているからこそこうなっているのだと思います。パンデミック以後の産業構造の変化そのものが原因でしょう。
サイクリングは新しいゴルフである、という表現も興味深く、Raphaの高価なグラベルジャージが皮肉られているのも同じ理由でしょう。シマノにはTiagraがあり、Raphaにはコアジャージもありますが、安くて良いものが少しづつ減っていく兆候ではないか、スポーツ自転車は最終的に、庶民の手には届かないものになるのではないか、と危惧する人が増えているのかもしれませんね。
英国メディアには「105 Di2を搭載した新車30モデル」といった記事があり、それを読むと最低価格は£2,499。本記事時点のレートで40.9万円です。Di2とはいえ105完成車が40万円を超える時代。10年前頃だと有名ブランドの105カーボンロードが15万円、ということも珍しくなかったので、時代が大きく変わった印象を強く受けますね。
注目が向けられる中華コンポメーカー
シマノ製の優れたメカニカルコンポがすぐに消えることはないと思われますが、ここに来てMicroshiftやSensahといった中国のメカニカル・コンポ製造メーカーに期待する声も高まっています。
- メカニカルの7〜12スピードを作り続けているLtwooやSensahのような中華コンポに神の祝福あれ!
- SensahとMicroshiftはシマノの市場をかっさらって行くだろうなぁ
- Microshiftがプレミアムなメカニカルコンポを作るべきタイミングだ
あらためて状況を俯瞰すると、シマノのような大ブランドにとっては、メカニカル市場でいくら不動の地位をキープしても電動コンポ市場で絶対的な優位を得ない限り、会社の成長は見込めないと判断しているような気もします。戦場はもはや電動コンポのみ。メカニカル市場は中華勢で勝手にやってくれ、という感じになるのでしょうかね。
機械式では、中華メーカー以外にカンパニョーロに期待する声も多く見られます。