海外掲示板のMTBコミュニティで、タイトルと写真だけではじまるスレッドを見かけました。「地元のショップでサドルを見ていたところ…」というタイトルで、写真は壁の商品ラックに吊るされている3DプリントのRomin EVO Pro with Mirror。プライスタグが$350.00となっており、スレ主さんはまずこの値段に当惑したようです。

Romin EVO Pro with Mirror, image from specialized.com
出典 Was looking at saddles from the local shop…
このタイトルからすると「そんなバカみたいに高いサドルはぼったくりだ、ダメだダメだ!ふざんけんな!」という方向のアンチコメントが殺到するのかと思いきや、いやいや、実に多くの人々がこの製品をはじめ、スペシャライズドの3Dサドル全般、さらにはスペシャライズドのサドル・タイヤ・ヘルメットまで絶賛していたのです。
目立ったコメントを拾ってみます。
- どんなにレビューが良くてもサドルでまず大事なのは自分の坐骨にフィットするかどうかだよ(133いいね)
- (値段について)科学的にテストされているから、仕方ないね。科学者は無料じゃないし!!
- 俺はスペシャライズドのファンではないけど連中の3Dプリントサドルはすげー最高だよ。超快適で軽量。でも近い結果を得られる選択肢は他にもあるけどね。「買う余裕がないなら買うな」というタイプのものだね(102いいね)
- 僕はStumpjumper 15にこれ付けているけど、過去25年以上、たぶん10種類以上のサドルを使ってきたなかでこれがベストだ。超高いけど、個人的には間違いなく価値があると思う(22いいね)
- スペシャライズの「タッチポイント」製品はナイスだよ!バカみたいに高いけど、ナイスだ。参考にまでに言っておくけど私はスペシャライズド・ファンではありません!(40いいね)
- いろんなサドルを試してきました。Prologo, Selle Italia, Syncros, Throne Cycling, Selle SMP, the works… そしてこのサドルは私が使ったものの中でベストです、はるかに格上、他を余裕でぶっちぎります。衝撃を受けるほど快適です。他とはレベルの違うサドルです。このサドルで一回ライドしてから、私は自分のバイクすべて用にこれを3個買いました。アホみたいに高かったけど、このサドルが提供する快適さは比類がありません。なんていうかマジでね、ギミックじゃないんです、マーケティングじゃないんです、ファッキン・リアルな話なんです。20年以上サイクリングしてきて車上でこれ以上快適だったことはありません(…)(19いいね)
- ミラーサドルは本当に良いものだと思う。僕はPower Mirror Proを3台に付けてます。去年の最長ライドは移動時間9時間のものでしたが、お尻はとても快適でした(5いいね)
- このコメントにはたぶん「下げ」が入るだろうけど。そのサドルは完全にその値段分あるよ、僕の意見では。何時間も乗る人にとって、スペシャライズドのミラーシリーズよりもいいサドルの選択肢は多くはない(3いいね)
- 私はスペシャライズドが大嫌いです。しかし、彼らは3つの製品をちゃんと作り上げます。タイヤ・サドル・ヘルメットです。(I HATE Specialized. However, they do 3 products right. Tires, saddles, and helmets. )様々なサドルを使ってきた後、去年Power comp with Mimicを買いました。サドルが原因のあらゆる痛みと不快感を消してくれました。おかしいだろこれ。すごく気に入ってます(…)(2いいね)
- たぶん製造コストが5〜10ドルで、それを325ドルで売って多くの人が買っているっていうのはクレイジーだなと思います。私はBrooksのサドルを使い続けます 笑(5いいね)
私自身もスポーツ自転車に乗りはじめたばかりの頃、クロスバイクやMTBでスペシャライズドのサドル(製品名は忘れましたが中央に溝があるBody Geometryシリーズ)でお尻の痛みから開放されたのをよく覚えていますし、街乗りタイヤはいつもスペシャのスリックでした(26インチだった!!)。もう何十年も前のことです。スペシャライズドはこの分野でやはり実績があるのだと思います。誇れる歴史とノウハウがあると言って良いのだろうと思います。
スペシャライズドが嫌いだけど、と強調している人が多いのは、同社の法務部が商標権を巡って弱い者いじめをしてきたと考えている人が多いからだと思いますが(過去に「ルーベカフェ」というお店が訴えられたことがあります。名前に「ルーベ」が入っていたから)、でもサドルとタイヤとヘルメットは認める。しょうがねぇ、それとこれとは別だ。認めたくないものだなスペシャのサドルの良さというものを、みたいな「是々非々」な流れになっているのがおもしろいと思いました。
ちなみに最後の方のコメントで「製造コストが5〜10ドルのものを325ドルで売るのはいかがなものか」という意見がありましたが、私は個人的にこれには反対です。こうした製品を製造原価だけで見るのは大変な間違いだと思います。この製品を生み出すまでに必要だったコスト(時間とお金)のことが考慮されていません。
さて、私はスペシャライズドの3Dサドルを使ったことはありませんが、これほど評価が高いのならサドル選びで本当に困っている方は一度試してみる価値はあるのではないかと読んでいて思いました。