Sarisが「MP1」という新製品を発表しました。「MP」はMotion Platform(モーションプラットフォーム)の略。スマートトレーナー等のターボトレーナーを固定し、その上で乗車するとバイクがトレーナーごと前後左右に揺れる、という面白い製品です。
公式 MP1 Nfinity Trainer Platform
実走感・ワークアウト性・快適性が増強
その結果が何がどうなるかというと、当然実走感が増すのでZwiftなどが面白くなるのがひとつ。Tacx NeoもWahoo Kickrもダンシングは一応できることはできても、トレーナーが動かないところは一緒です。
MP1は前後に11インチ(約28センチ)動くのだそうです。また重力によってセンタリングも働くとのこと。さらに左右に揺れるので実走感が非常に高くなることが期待されます。サイドの揺れは最大6°。
もうひとつの利点としては、バイクが動くと身体の様々な筋肉が発動する点が挙げられると思います。固定ローラー台でも体幹はある程度鍛えられるとは思いますが、実走時にバランスを取るために働く腕をはじめとする筋肉はほとんど動かないと思います。その意味でMP1は実走感以外にもワークアウトの面で長所がある、と言えそうです。
さらにバイクと床面のタッチポイントへの圧力が減ることで快適性が増し、より長くライドを続けられる、とSarisのサイトでは説明されています。
他社製ターボトレーナーにも対応
特筆すべきはこのモーションプラットフォーム、Saris社製のトレーナー以外も装着できること。出回っているかなり多くのターボトレーナーに対応しているそうです。確かに下の画像を見るとリアフレームの形状が直線でも三角形でも大丈夫そうです。取り付けは丈夫なストラップで縛るだけ。
製品が動いているわかりやすい動画はまだないのですが、GCNによるSaris会社訪問動画で少し紹介されています。
スペックと価格
素材は鉄・アルミとバーチ材。サイズは高さ6インチ・長さ63インチ・幅35.5インチ。センチ換算で15.24cm x 160cm x 90cmです。重量は約62 lb(約28kg)。ライダー・バイク・トレーナーを含めた最大耐荷重は350 lb(158.7kg)。結構な専有面積となりますが、それは致し方ないでしょう。
ウォーキングに対応したグリップテープなるものも同梱されているとのことなので、一瞬Zwiftでランをやられている方にも良いのかなと思いましたが、この上で走ると壊れそうな気もします。公式サイトでもランではなくウォーキングとしか書かれていないのでそこは注意が必要。
そして気になるお値段はというと… メーカー直販価格は米ドルで$1,199.99。本記事執筆時点のレートで127,404円です。なかなか良いお値段ですが、まあこのくらいはするだろうという感じではあります。
今後のスマートトレーナーはエコシステムの構築が鍵か
こうした「モーションプラットフォーム」自体は新しい考え方ではなく、これまでも米国ではアンダーグラウンドで類似のシステムをDIYで自作するユーザーが存在していましたが、市販品として世に出るのはこのMP1が初ということです。
これにWahoo Kickr Climbを組み合わせられればさらにすごそうです(見たところSaris MP1では使えなさそうです)。いずれこのタイプの製品がWahooやTacxからも出たりするのでしょうか。特にWahooは黙っていないような気がします。
スマートトレーナーは単体での性能を競う時代から様々なオプション品の集合体から成る「スマートトレーナー・エコシステム」として、パッケージ全体で勝負する時代に突入しつつあるのかもしれません。