サイクリングにカメラを携帯して、風景や愛車の写真を撮ることが好きな方はわりと多いと思います。
自転車の速度は、お気に入りの被写体を発見するのになかなか具合が良いだけでなく、停車もしやすいので写真趣味とはとても相性が良いですよね。
私もよくAPS-Cやマイクロフォーサーズのミラーレスカメラを持って走ります。しかし最近のスマートフォン内蔵カメラの性能向上を目にするにつれ、いずれサイクリングにカメラを持たなくなる日が来るのではないか、と感じてもいます。
iPhone 11 Proがやばい
iPhone以外のスマホもすごいのですが、最近のiPhone 11 Proの写真を見て、ああこれは自分はもうカメラを持たなくなるかも、とあらためて思いました。
下はCBN Blogライターのなどかずさんが「2019年に衝動買いした自転車関連用品 ザ・ベストテン」という記事で紹介して下さったiPhone 11 Pro Maxによる作例です。
これはポートレートモードでの写真で、レンズやセンサーの物理的な大きさとは関係なく「ボケ量」がソフトウェア的に再現されています。
一般的なデジタルカメラにおいてもソフトウェアによる補正は普通ですが、スマホでは「様々なアルゴリズムを駆使し、シーンに応じて積極的にコンピュートして描画する」ところが大きい違いです。
下は私がマイクロフォーサーズのカメラ、OLYMPUS OM-D E-M10 Mark IIIに、お気に入りのレンズであるLumix G 20mm F/1.7 II ASPHを装着して撮影した写真です。こうした写真であれば、iPhone 11 Proでもほぼ同じ雰囲気で撮れてしまうように思います。
iPhone 11 Proには「広角・標準・望遠」と呼ばれる3つの画角が用意されています。これは、写真趣味をしている人からすると「超広角・広角・標準」と読み替えたほうがわかりやすく、35mm換算で「13〜14mm F2.4, 26mm F1.8, 52mm F2.0」に近いようです(ちなみに画素数は1200万)。
下もなどかずさんによる写真ですが、これは超広角での撮影でしょうか。これまでも「普通の広角」はスマホで撮れましたが、14mmに近い表現というのはなかなかなかったと思います。しかも、写りもかなりいいですね。
下は私がE-M10 Mark IIIに、M.ZUIKO DIGITAL ED 8mm F1.8 Fisheye PROというレンズを付けて撮った写真です。これは35mm換算16mmのレンズですが、実際に写っている範囲はもっと広く、装着するカメラによってはフィッシュアイ効果を無効にして換算11mmの超広角レンズとしても使える優れものです。
このレンズに限って言えばiPhone 11 Proもスペック的には追いついていませんが、iPhone 11 Proの超広角写真を見るとこのすごいレンズの10万円という価格と大きさがやや微妙なものに思えてきたりします。
カメラが本当に必要になるのは望遠撮影する時かも
こう見ると、サイクリング中に目にした素晴らしい風景を広く収めたいとか、おいしい食べ物のテーブルフォトを撮りたいとか、ボケを生かした愛車の写真を撮りたいといった場合、もはや大きいカメラを別途持っていかなくても済んでしまうことが多くなるかもしれません。
もちろんデジタルカメラではより細かいコントロールが可能で、カメラをいじる楽しみそのものも無視できませんが、このiPhone 11 Proのカメラ性能の猛追ぶりはもはや無視できない感じです。
特にポートレート的な写真以外に、超広角をかなりいい感じにカバーできてしまっているのは私にとって衝撃です。明るい超広角レンズ、13mm(実際は14mmくらいらしいけど)F2.4というレンズは、デジカメ用の交換レンズとして作れば結構な大きさになるはずです。
では、もはやカメラは必要ないのか? サイクリングにカメラが必要な局面はもうないのか? と考えると、そんなこともありません。
それは望遠レンズでしょう。iPhone 11 Proの言う「望遠」は換算52mmのいわゆる「標準」に近いもののですが、そうではなく、換算で200mmとか400mmとか、そういう世界。
ちょっと先の木にとまっている野鳥とか、道から出てきた鹿とか猿とか、サイクリング中にそういうものを撮りたい場合は、望遠の単焦点やズームレンズが今後も活躍するでしょう。換算200mm F2.8、みたいな表現は、さすがにiPhone 11 Proでもできません。
しかしサイクリングしながらそういうものを撮る機会はそんなに多くなかったりします(笑)。そう考えると、ほんとカメラ危うし、という感じがします。
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