“絶望笑顔”で まだまだ いっぱい坂みよう
いつも“苦しいね”って “また脚が攣った”って
嘆き喘ぐ ほら ライフがもうカラ
今日も特別へっぽこ、nadokazuです。
突然ですが、これから箱根でサイクリングするなら「はこね金太郎ライン」をデフォルトにしようと思います。少なくとも、個人的には。
なぜかって?
「より長い時間を、より楽しく過ごせるから」です。
というわけで、本日の駄文はこちら!
箱根のサイクリングは楽しいけれど、楽しくない!
箱根が、大好きです!
同じ神奈川県内だというのに、横浜とは明らかに違う清涼な空気感。四季折々に変化する山々の装いのもとに広がる、芦ノ湖と富士山の眺望は何度見ても飽きません。
そして仙石原、湖尻、元箱根など各エリアに立ち並ぶ、美味しいお店の数々…。
そんな場所を、大好きな自転車で走る。それってもう、ハッピー以外のナニモノでもない時間と体験ですよね。自転車趣味の楽しさを、存分に満喫できます。
な ん で す が !
そんな箱根でのサイクリングを「楽しくない!」と感じさせる、巨大なネガティブ要素が2つ存在します。
ひとつは、へっぽこ自転車乗りの脚を破壊する、地獄のように長い登坂があること。しかも、それは箱根に行く以上避けることができません。
そして、もうひとつが「沿線の交通量がべらぼうに多いこと」です。
前者については「坂が大好き!」と公言してはばからない方々もいらっしゃるので、万人に当てはまるものではありません。避けようも一切ないので、もはや目をつぶるほかない。
ですが、問題は後者。「渋滞の中を走るのが大好きなんです!」というサイクリストは、滅多にいません…よね?
そう、「交通量が多くて渋滞多発」というのが、人気観光地である箱根が宿命的に背負う大きなネガ要素なのです。
中でも小田原近辺から箱根湯本までの区間は、言わずと知れた交通集中箇所。箱根でサイクリングするのは、楽しくてたまらない!それは圧倒的に間違いのない事実なのですが、そこには「楽しくない時間」も、ほぼ確実に強制挿入されてしまうのです。
「はこね金太郎ライン」が、箱根サイクリングの救世主に?
箱根は好きだけど、坂と渋滞はイヤだなぁ…。そんなとき、「箱根に新しいルートが開通した」というニュースを目にしました。
それが「はこね金太郎ライン」です。
神奈川県が平成25年度から整備を進めてきた県道731号(矢倉沢仙石原)[道路愛称:はこね金太郎ライン]が、4月28日(水曜日)午前10時に開通しました。
この道路は、南足柄市矢倉沢から箱根町仙石原までの約10.9kmを結ぶ道路で、災害時の代替ルートとなるだけでなく、観光振興をはじめとする地域活性化や渋滞緩和にも役立つ重要な道路です。
迷い込んだが最後、足柄峠で地獄を見るほかなかった県道78号線。それを途中で左折して、箱根の仙石原に抜けられます。仙石原に出たあとは湖尻だろうが強羅だろうが元箱根だろうが、箱根エリアの名だたる観光名所にほぼ登坂無しで行きたい放題。しかも渋滞ゾーンの箱根湯本周辺を、完全に回避できるルーティングが可能です。
国道1号線ルートに比べて、交通量が少ないことは間違いない。この「はこね金太郎ライン」って箱根をサイクリングのするときの、新しい定番ルートになるポテンシャルを秘めまくっているかも!?
期待通りの道かどうか、人体実験で確認しました。
Ride With GPSによると、獲得標高は564m。そして前述のとおり箱根湯本など、交通量がべらぼうなエリアは華麗にスルー可能。
あとは、「へっぽこ脚の自分が自転車で超えられる坂かどうか」ですが、こればっかりは実走以外に確認方法がありません。
そうなると、やっぱり…逝くしか…ない…ですよね…。
最寄り駅は、伊豆箱根鉄道の大雄山駅。もちろん、しっかり輪行して脚力を徹底的にハードに温存します。
ちなみに、車輪を外さない状態のTyrell FXは@ab_pekoさんのお手製輪行袋「縦型」に、かなりのフィット感で収納できます。袋の上部が若干余りますが、実用上の問題は皆無。これはイイ発見でした。Tyrellでの輪行が、思いっきり捗りそうです。
さてさて、サクッと輪行を解除して、静岡県道・神奈川県道78号御殿場大井線経由で、はこね金太郎ラインの入口までアプローチします。
なんですが、さすが悪名高き足柄峠へのアクセスルート。はこね金太郎ラインの入口はまだ先だというのに、ヤバそうな斜度の坂が容赦なく出現します。
ようやく入口に到着する頃には、温存するはずだった脚力が完全に喪失されていたことは言うまでもありません。
はこね金太郎ラインで、キツイ場所はここだ!
距離10.9 kmで、獲得標高564 m (Ride with GPSのデータによる)。スペックだけを見てみると「はこね金太郎ライン」は、そこまでキツい坂ではないように思えます。もしかして、実はチョロい道なの?
…こう思い込みたいところですが、世の中にラクな坂など存在しません。坂は悪!坂は地獄!坂は…(以下、恨み節1028文字削除)走っていて特に涙目になった場所は、以下の通りです(斜度はサイコン表示の値)。
①スタートして間もなく、0.1km〜0.4km区間で、いきなり斜度10%超の洗礼を受けて早くも絶望。ここ、なんていう蓑毛ですか?
②ちょっと斜度が緩くなったと思ったら、0.8km〜1.2km区間がほぼ10%超。
③斜度が緩くなったり、下りがあったりして、気が緩みまくった1.8km付近。斜度14%に脚を破壊される。
④3.0km〜3.9kmの辺りは、斜度が5%以下になってくれない。休ませて…お願い…。
⑤6.2km付近から斜度が上がり始めて、6.7km付近で14%に。7.2kmの辺りまで、厳しい斜度が続く。つらたん。
涙目になって坂に来たことを後悔しながら、走ること8.3km。ようやく到着した「金時見晴パーキング」で、登坂は終了。あとは下るだけです。
そこまでじゃない数値に見せかけて、10%超連続区間がシレっと登場する。はこね金太郎ライン…油断のならない道です。
「はこね金太郎ライン」って、結構な快走路なのでは?坂だけど。
キツイ部分はありますが「休憩ポイント無しで、えげつない斜度の登坂が延々続く」という道ではありません。平坦や下りなど、脚を休ませられるポイントもそれなりに登場してきます。個人的な印象では「碓氷峠やヤビツ峠より、キツさは全然低めじゃないかなー」というのが、正直なところです(キツくないとは言ってない)。
ところどころに木々が途切れて山並みを見晴らせる部分があって、走行中の眺望も割と良好です。執筆時点では、一面がまぶしい新緑。心が“踊(ダンス)”っちまいます。ただし見えるのは山だけで、海までは見えません。
また、さすがに4月下旬に新設された道路だけあって、路面の状態はとても良いです。舗装が損傷した部分なども、走ったときには見当たりませんでした。
「坂…きつい…つらたん…」という感情を無視さえできれば、走っていて気持ちがいい道である、というのは間違いのないところでしょう。少なくとも、箱根の他のルートの登り区間と比べて、かなり快適なルートに思えました。
「はこね金太郎ライン」を走っていて、気になるところ。
斜度がヤバい部分を除いて、いちばん難点だと感じたのは、2車線のコーナーにセンターポールがガッツリ設置されているところ。自動車のすれ違いだけを考えると安全性が高まるだけですが、自転車で走ると話が全然別。道幅が狭い+避けるだけの幅が無くなるという二重苦になるので、追い越していくクルマとの距離がむしろ近くなってしまい、かなりの冷や汗をかかされます。
特に、はこね金太郎ラインに入った直後。10%近い斜度を登らされるのですが、そこがちょうどカーブになっててセンターポールがバッチリ設置されています。斜度のキツさでフラついたら、轢かれますよ、コレ…。
また、マサカリ型で非常にかわいいデザインのキロポストが、きっちり100メートルおきに設置されています。脚力のある方にとっては現在位置を把握し続けられるので、非常に良い設備。
…ですが、へっぽこ脚の自分にとっては「1km走ったつもりが100mしか走っていない」という現実と常時向き合い続けることを強いる、絶望メーターでしかありません。
ちなみに、kmちょうどのキロポストは、専用デザインになります。凝ってるなぁ。
あと、街灯の類いは確認できませんでした。夜間は、おそらく真っ暗になるはず。陽が落ちてからの走行は、かなり難易度が高くなると考えられます。
それと「はこね金太郎ライン」のルート上には、商店どころか自販機すら皆無。金時見晴パーキングにも、売店の類いはありません。補給は事前にガッツリ用意して挑まないと、特に夏場はヤバいことになる可能性大です。
自分の見た限りでは、箱根登山バス「苅野原」バス停付近にあるのが道中最後の自販機になります。
箱根の新しい定番ルートになれそう?
箱根駅伝と同じ国道1号線を使って元箱根に向かうと、それこそ途切れなしでクルマと並走しっぱなしです。箱根湯本の商店街を抜けて登坂に入ると渋滞はさすがに緩和されますが、大量のクルマやバイク、そして観光バスや路線バス、トラックなどの大型車にも抜かれ続けます。事故のリスクだって、高まりこそすれ低くなることはありません。
結果、かなりの距離と時間を、ストレスフルな走行に吸い取られてしまうことになる。せっかくの箱根路が、「とっとと通過したいだけの、あまり楽しくない場所」になってしまいます。
それが、「はこね金太郎ライン」だとどうでしょう。まずは、そこまでのアクセスルートである県道717号線や県道72号線ですが、さすがに交通量は圧倒的な少なさです(n=1)。
そして、はこね金太郎ラインは、最大積載量3t以上の貨物車やバスが進入禁止。自分を抜いていくのは、乗用車とバイクが殆どです。走行動画を見返すと、結構な台数に抜かれていますが「ひっきりなし」というレベルでは全然ありません。
元箱根エリアまでの走行距離は、約15km増加。獲得標高も、150mプラスになります(Stravaのルート作成機能による)。遠回りになって登坂量も増えるので、走行効率だけを見ると「悪化している」と、言わざるを得ません。
なんですが!
じゃあ、その15kmを節約するために、延々続く渋滞に突っ込んで行くのって「サイクリングの楽しさ」という視点で考えると、どうなんでしょう。
15kmなんて、自転車乗りには誤差の範囲。それに到着までの時間が増えたところで、それは自転車に乗っている「楽しい時間」です。
良好な路面状態と眺望も相まって「快適に走れる時間を、より長く楽しめる」ことは、間違いありません。
というわけで個人的には、箱根をサイクリングするなら、もう「はこね金太郎ライン」がデフォルトでいい!と感じるぐらいの推しルートになりました。
まとめ
【はこね金太郎ラインは、ここがイマイチ】
- 遠回りになることが避けられない。
- 道幅が狭いし、休日の交通量もそこそこあるので注意は必要。
- 街灯が皆無なので、夜は真っ暗になるはず。夜間走行は、オススメできない。
【はこね金太郎ラインは、ここがイイ!】
- きれいな路面と新緑の山並み(執筆時点)が、存分に楽しめる。
- 東海道旧道の七曲りも回避できる。
- トラックやバスが通らない。
- 箱根湯本周辺の大混雑を、華麗に回避。ストレスを抱えて走る時間が少ない。
あと、記事を書いていて気付いてしまったのですが、これって「箱根で楽しむことが目的」の場合の考え方ですよね。「箱根を経由して沼津に向かうときはどうなのか?」というのは、完全に別軸で考える必要があります。
そうなると、国道1号線ルートと、旧道ルートと、熱海経由ルートと、足柄峠ルートも合わせて人体実験のうえで比較をしないといけないですね…? え? やりませんよ!?