ロードバイクのチェーンセットは長年にわたりダブルが主流でした。2枚チェーンリング。現在でも主流です。フロントシングルの波も来はじめていますが、まだ2枚が主流。一方MTBではSRAMの1xドライブトレインに各社追従する動きがあり、今後こちらは1xが主流になるでしょう。では、トリプルチェーンセットは今後どうなるのでしょうか。もうご用済みなのか。
主要コンポーネントメーカー3社にroad.ccがこのことを聞いてみたところ、次のような回答を得られたそうです。
Campagnoloの回答
大部分のアスリートの要望はコンパクトチェーンセットが提供するギアと大型カセットでカバーできるが、トリプルを使いたいという熱心な信者はまだ少数存在する。要望が多いのは不思議なことにフランス、ベルギー、カナダといったエリアだ。
しかしながらコンパクトクランクのアドバンテージと歯数の多いカセットへの移行に伴い、トリプルを使いたい人々は減ってくるだろうと思っている。2枚チェーンリングを選択する人が増えてくるだろう。今のところはまだトリプルを提供しているよ。
SRAMの回答
Q: トリプルチェーンセットは死にましたか?
A: 死んだ。埋葬した。
Q: モダン・ロードバイクのチェーンセットの未来はどのようなものになりそうですか?
A: 1xには明るい未来がある。よりシンプルで、より静かで、より安全だ。現在のカセットオプションでほとんどのサイクリング活動が可能だ。1xはタイムトライアルやトライアスロンによりエアロなドライブトレインを提供しさえする。2xはもちろん支配的だね、最も広いギア比とクロースレシオを提供できるからね。
SHIMANOの回答
シマノの現在のロードラインナップでは、トリプルチェーンセットはティアグラ以下のレベルでより普通の選択肢だ。これらのグループセットはより多くのユーザーとライディングスタイルを惹きつけるから、競技者やパフォーマンスを求めるサイクリストとは違う需要に対応しているんだ。
トリプルチェーンセットはギア比がよりクロースで、ギアからギアへの移動がよりやりやすい、結果、個々人のパフォーマンスの効率性が高まる。多くのライダーにとって、トリプルチェーンセットは多くのライド環境、ライド状況でサイクリングし続ける選択肢となっている。
しかしながら競技寄りの世界では、トレンドは何年にもわたってダブルチェーンセットだった。ワイドなカセットレシオは今では大部分のギアレンジをカバーできるし、クランクの重量も軽い。
これを読む限り、各社ともトリプルチェーンセットの提供については消極的です。
とはいえコンパクトチェーンセットとワイドカセットとの組み合わせで近いギア比は得られても、きめ細かいクロスレシオ設定で走ることによって疲労を軽減したいというサイクリストも少なくないようです。特に元記事のコメント欄を見ると、前後にパニアバッグを積んで峠超えのツーリングをするようなサイクリストにそうした傾向があるらしい。
コメント投稿者の1人は、今後トリプルチェーンセットは消滅するだろうが、それは恐らくE-bikeの進歩と関係があるだろう、と書いています。なるほど今後、電動アシスト自転車のバッテリーの小型化が進み、ヒューマンパワーのみでの走行にこだわらないサイクリストが増えてくれば、シマノのティアグラ以下のコンポーネントからトリプルが消えるのはそのタイミングになるような気もします。
トリプルチェーンセットのデメリットとしては、使ったことのある方ならわかると思いますが、フロントディレイラーの調整がとにかく厄介なこと。コツがわかれば、慣れれば大丈夫、という意見もあるかもしれませんが、セットアップの面でダブルチェーンセットに大きく劣るのは間違いない。重量面でも不利です。チェーンリング1枚増えるわけですからね。
しかもメーカーとしては開発リソースを節約し、生産ラインを効率化したいという思惑もあるでしょう。トリプルのユーザーがコンパクトチェーンセットに移行してくれればそれに越したことはない。特に規模の大きいシマノなどはそう考えているはず。
いずれにしてもあと2年や3年でシマノやカンパニョーロのトリプルチェーンセットが市場から消えることはないと思いますが、果たして10年後、いや5年後はどうか。小規模メーカーがニッチなプロダクトとして出し続けはするでしょうが、シマノやカンパはもう作ってないんじゃないかと個人的には考えます。
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