最近グラベルロード用にSHIMANOのリアディレイラー、SLX RD-M7000-11-GSを調達して使っています。MTB用コンポを使うのは久しぶり。すると見たことのない機構が搭載されていることに気づきました。
ロード乗りには見慣れない機構
ON/OFFのスイッチがあるのです。これ、なんだろう。大昔のXTにはこんなものなかったぞ。ロードバイクだけ乗る方にとっても見慣れないものではないでしょうか。
調べてみるとこれは「SHADOW RD+」という機構で、起伏の大きい道をガッツンガッツン乗ってもチェーンが暴れない・外れないようにするためのものでした。チェーンスタビライザー。
欧米では単に「クラッチ」とも呼ばれているようです。2013年には既にあったらしいので、十分枯れたテクノロジーです。
大きいグレーのレバーがあり、下の写真のように右側に倒した状態がOFF。
ONとOFFで何が違う?
ONとOFFとで何が違うか。ONの時、プーリーケージを手で掴んで向かって右側に、つまりチェーンテンションがゆるむ方向に動かそうとしても、全く動きません。固定されています。えっ、すると変速しないんじゃないの…と思ってしまいますが、シフトレバーを操作するとプーリーケージはちゃんと動くのです。クラッチが入っているのです。
OFFにすると、ケージはロードバイクのディレイラーのように手で動かすことができます。よって組み付けやメンテナンス時にはこのレバーをOFFにする必要があります。取扱説明書にはこれをOFFにして作業するように書かれてはいましたが、何のためのメカなのかは一切説明がなかったので最近までこれが何なのか知らなかったというわけです。
激しいオフロードライドをする人にはありがたいメカニズムでしょう。特にチェーンが外れやすくなる1xシステムでは活躍するはずです。
SHIMANO SHADOW RD+対応リアディレイラー
このSHADOW RD+は、MTB用リアディレイラー以外にも搭載されています。
昨年発表されたグラベル・アドベンチャー向けリアディレイラー「ULTEGRA RX」にもこのON/OFFスイッチが搭載されました。
グラベル・アドベンチャーライド以外でもULTEGRA RXが活躍しそうな局面があります。
それは石畳セクションのあるクラシック・レース。トレック・セガフレードのヨーン・デーゲンコルプが2018年のパリ=ルーベでUltegra RX805を使用していました。
シマノは長年、MTBで育てたテクノロジーを後からロードに投入するというパターンが多いように思います。というわけでついにロードバイクの世界にもSHADOW RD+が登場です。
これはシマノが将来的に1xのロード用コンポをリリースすることも示唆している…ような気がするのですがどうでしょうか。Ultegra RXがフロントシングルのセットになるとか(ULTEGRA RXは現時点ではリアディレイラーしかありません)。
SHADOW RD+搭載のシマノ製リアディレイラーは現時点で以下のようになっています。
ロード
- ULTEGRA RX
グラベル
- GRX
MTB
- XTR M9100
- XTR M980
- XTR M9050
- XTR M9000
- XT M780
- XT 8050
- XT M8000
- SLX M7000
- DEORE M6000
- SAINT M820
- ZEE M640
普通のMTB用リアディレイラーではDEOREから下のALIVIO, ACERA, ALTUS, TOURNEYには搭載されていません。DEOREにも搭載されているのは好感が持てます。DEORE以上は悪路で暴れまわってもいいぞ、という感じでしょうか。
SRAMのクラッチ式リアディレイラー
一方シマノのライバル・SRAMはどうでしょうか。SRAMにも2012年頃から同様の機構があり、このクラッチを搭載したものは「TYPE 2リアディレイラー」または「TYPE 3リアディレイラー」と呼ばれています。製品としてはXX1, X01, X0, X9シリーズが対応しています。
TYPE 3は11/12 speed向けにTYPE 2を改良したもの。XX1 EagleはTYPE 3です。XX1 Eagle AXSにも搭載。
SRAMのリアディレイラーにはホイール着脱時に便利なケージロック機構もあるので、SRAM式のクラッチとあわせていつか試してみたいと思っています。
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