鉄のフォークコラムに収納できるマルチツールがあります。OneUp Componentsから出ている”EDC TOOL SYSTEM”とSpecializedから出ている”SWAT Conceal Carry MTB tool”の2つが有名です。似たようなコンセプトの製品なのですが、どう違うのか。どちらが良いのか。この記事で観察していきます。
OneUp EDC TOOL SYSTEMは多機能が売り
まずはOneUpの”EDC TOOL SYSTEM”から。EDCは”Eveyday Carry”(毎日持ち運ぶもの)という意味。フォークコラムの中に筒状のケースを挿入し、その中にマルチツールを仕込みます。底部にはCO2ボンベまたは小物入れを装着できます。
このマルチツール、2, 2.5, 3, 4, 5, 6, 8mmヘックスのほかT25 Torxも付いています。別途チェーンカッターもあり、ボンベのかわりに付けられる筒には下画像のようにミッシングリンクやタイヤブート等のこまごまとしたものを収納できるというわけです。
動画も見てみましょう。※音量大きめなので注意!
お札やひと通りのパンク修理工具が入りそうですね。カプセルはCO2ボンベと排他なのが微妙に惜しい…でもデッドスペースの有効活用ですから、多くを求めすぎてはいけませんね。
フルスペックはこんな感じ。
- 2, 2.5, 3, 4, 5, 6, 8mm ヘックスレンチ
- T25 Torx
- タイヤレバー
- チェーン切り
- スペアのクイックリンク入れ
- マイナスドライバー
- 0,1,2,3 スポークキー
- 仏式バルブコアツール
- EDCトップキャップツール
- スペアのチェーンリングボルト
- 密閉収納カプセル、またはCO2カートリッジ入れ(排他。12, 16, 20g対応)
価格は直販で$59。
機能面だけ見ると非常に便利そうではあります。実際便利なはずです。
ただインストール方法がやや特殊です。スターファングルナットを外してから(カーボンコラムは非対応)、トップキャップをはめるためにタップを立てる必要があるのです。
サイズの合うタップツールを持ってない人のほうが多いでしょうから、別途買う必要が出てきます。OneUpからも用意されていて、それが$35。
そしてトップキャップはカセットスプロケットのロックリングのようなものですが(ロックリング工具またはEDCツールで締められる)、それはいろんなカラーが用意されていて$25。
本体とタップツールとトップキャップの合計で$119ドル。今日のレートで13,241円します。結構いいお値段です。
多機能で評判も良いのですが、このように値段が少し張ること、あと作業自体は簡単とはいえ、フォークコラム内側にタップを立てる必要があるので作業が苦手なユーザーにはハードルが高い製品かもしれません。
Specialized SWAT Conceal Carry MTB toolは簡単インストールが売り
今度はスペシャライズドの類似ツール、”SWAT Conceal Carry MTB tool”です。こちらも鉄フォークコラムのみ対応というところは同じ。
マルチツールはEDC Toolよりも限られていて、3, 4, 5, 6, 8mm ヘックスとT25 Torx。あとチェーン切り。下の部分はマグネットになっていてクイックリンクをくっつけておけます。
マルチツールは上から押し込むとポンッ、とポップアップして出てくるのが見ていて気持ち良いです。無意味にポンポンやって遊んでしまいそう。あとこれだけ取り出しやすいと細かい調整を繰り返すライドでは重宝しそうです。
スペシャライズドのこのツール、インストールはOneUp製品よりも断然ラクそうです。スターファングルナットを取る必要があるのは同じですが、タップを立てる必要がありません。フォークコラムの下側とトップキャップまで長いシャフトで繋ぎ(シャフトは複数の長さが同梱される)、ヘッドセットへの予圧はコラム下側から5mmヘックスレンチで締めて与えるというもの。
実勢価格は欧州で12,000〜13,000円です。ということは、OneUp EDC TOOL SYSTEMの工具・ヘッドキャップ込みの値段と大体同じですね。
多機能なのは間違いなくOneUp製品ですが、Specialized SWAT Conceal Carry MTBツールのギミックとインストールの簡易さも魅力的です。
フォークコラムにマルチツールを入れておきたい人は、機能を取るか、手軽さを取るかで選ぶと良いでしょう。
公式 OneUp EDC (Everyday Carry) TOOL SYSTEM
公式 Specialized SWAT™ Conceal Carry MTB tool