ロードバイク用のペダルとして私が最初に使ったのはシマノのSPD-SLでした(グレードと型番は忘れました)。その後デュラエースも含めていくつかの同社製SPD-SLを試したのですが、あるとき右足首のくるぶしあたりに痛みを感じるようになり、その後LOOKのペダルを経てTIMEを使うようになって痛みから開放されました。
人間の身体は非対称
人間は身体も顔もぱっと見ると対称形をしていますが、工業製品のような完璧なシンメトリーにはなっていません。生まれつき微妙に非対称だし、その後の生活によっても対称加減が失われていきます。
人間の顔の左半分とか右半分を鏡像にして1つの顔をつくるとかなり不自然な感じがするのですが、そう考えると「非対称であること」が人間の、あるいは生物の生物らしさの大きい要素のひとつのような気もします。
と、それはさておき、私はどうもペダリングに癖があるらしく、シマノやLOOKのロード用ペダルで乗っていた頃は距離が100kmくらいになるときまって右のくるぶしが炎症を起こすのでした。
10km・20kmの距離ではわからなくても、「癖のある動き」を50km・100kmと続けていくとやがてそれがはっきりとした痛みになって現れてくるんですね。
TIMEのペダルは膝に良い、と聞いて
そんな時、「TIMEのペダルは膝に良い」という話がよく耳に入るようになったので試してみることにしました。10年以上前の話です。最初に試したのは、たしかRXSだったと思います。すると右足首の痛みは現れなくなりました。
TIMEのペダルの特徴はその独自の「フローティング機構」。爪先で固定するというよりも、母子球の下あたりに支点があってその上で爪先が左右に動くような、そんなイメージです。そして左右に動いてもセンタリングが働いてまた中心に戻ってきてくれる感じ(あくまで感覚的な話ですが)。
これがシマノやLOOKだと同じくらいの遊び、自由度はないので(使うクリートの種類によってある程度調整できます)、脚の動きが左右で大きく違う人は膝に痛みが出ることがあるようです。私の場合は膝というより、足首が主でした。
TIME Xpresso 4
これはTIMEのペダルとしては私が買った最後のもので、Xpresso 4というモデルです。これを買った頃、とりあえず新しいバイク用のペダルが必要だったのですが新システムを試してみたかったこともあり、つなぎとして買ったエントリーグレードのモデルです。
TIMEのペダルはRXSからIclic, Xpressoと3つの製品を乗り継いできたことになるのですが、クリップインがいちばん難しかったのがRXS。それがIclicになってかなり改善して、本当に軽い力で入るようになりました。
またTIMEのペダルは爪先が上を向いてくれることが多く、キャッチもかなり楽だった記憶があります。ただこのXpresso 4については上を向いてくれないことが多く、肝心のフローティング具合もどうもかつてのIclicやRXSのような感触と感動がありません。
Xpressoの上位グレードだとまた違うのかもしれません。私は最近ロードバイクでもSPDを使うようになったので、今後TIMEのペダルを試す機会はないかもしれません。
TIME 2020ペダルのラインナップ
以下、TIME公式サイトに掲載されているペダルについて主だったスペックを一覧表にしてみました(2019年6月24日現在)。Xproシリーズは踏み面積がやや広いのが特徴。スタックハイトはすべてのモデルで13.5mm(シャフト中心〜クリート上面までの距離)。
製品名 | 重量 | アクスル | ボディ | ベアリング | 接触面積 |
---|---|---|---|---|---|
Xpro 15 | 174.6g | ホローチタン | カーボンコンポジット | セラミック | 725mm² |
Xpro 12 | 188g | チタン | カーボンコンポジット | スチール | 725mm² |
Xpro 10 | 226g | ホロースチール | カーボンコンポジット | スチール | 725mm² |
Xpresso 12 | 160g | チタン | カーボンコンポジット | スチール | 700mm² |
Xpresso 10 | 198g | ホロースチール | カーボンコンポジット | スチール | 700mm² |
Xpresso 7 | 198g | ホロースチール | カーボンコンポジット | スチール | 700mm² |
Xpresso 6 | 216g | ホロースチール | グラスファイバー混合 | スチール | 700mm² |
Xpresso 4 | 230g | スチール | グラスファイバー混合 +ステンレスプレート |
スチール | 700mm² |
Xpresso 2 | 230g | スチール | グラスファイバー混合 | スチール | 700mm² |
全製品中最も軽量なのがXpresso 12ですが、セラミックベアリングを搭載しているのはXpro 15のみです。クリートはすべてIclic。
TIMEのペダルはこれからどうなる
TIME社はここ数年、不調です。経営状態が思わしくないらしく、同社のバイクをグランツールのレースで見かけることも減ってきました。数年前は日本の新城幸也選手がカンパニョーロで組んだTIMEでツール・ド・フランスを走り、その姿に興奮させられましたが、現在のTIMEには当時の勢いはもうありません。
ペダルについても去年はTIMEを採用しているチームはなかったはず。大部分がシマノとLOOK。
ペダルはシューズの下に隠れて見えないので、TIMEのペダルを好んでいる選手がこっそり契約違反をして使っている可能性はありますが、少なくとも表向きはTIMEのペダルの露出は減っています。
ただ身体の非対称性、不均衡が原因で膝や足首に痛みを感じるような人は、一度試してみても良いと思います。いちばん安いXpresso 2でも痛みが減ったという声は多いです。膝や足首は炎症が慢性化すると数週間から場合によっては数ヶ月自転車に乗れなくなるので気をつけましょう。
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備考: 膝が痛い、と言っても様々で、膝の裏側が痛い場合は単にサドルが高すぎるのが原因のこともあります。