4iiiiに「Fliiiightスマートトレーナー」という製品があります。スポークの動きを光学センサーで読み取り、アロイリムに対して磁力を発生させることで負荷を生み出す、これまでになかったようなトレーナーです。昨年の9月に4iiiiが低価格・ゼロコンタクトの新型製品「Fliiiight Smart Trainer」を発表という記事で詳しく紹介しました。
この製品、私も試乗しました。するとどうもペダリングが不自然な感じで、値段は安いし発想は面白いんだけど微妙かな… という印象を持っていました。
そしてつい最近、RedditでたまたまこのFliiiightスマートトレーナーのユーザーレビューを見かけました。これが非常にわかりやすく優れた内容だったので共有します。
出典 4iiii Fliiiight Smart Trainer Review
ペダリングが不自然でパワーを出すにはハイケイデンスが必要
以下、内容のおおまかな要約です。
- セットアップは簡単だった。組み立て済みなので展開するだけですぐ使えた
- 通常は起動後に2本のマグネットアームがセンタリングのために近付き、その後に離れるという動作をするとライド準備完了を意味するが、私の個体は左アームがホイールに近付いたきり戻らない不良品だった
- 4iiiiのサポートは非常に良く、代替品を即日で送ってくれた
- 私のホイールでは厚みのあるブレードスポークが使われているが、これがFliiiightの光学センサーと干渉するようだ。幸いなことにより伝統的なホイールを持っていたのでそれを使った。4iiiiのサイトには、磁石に反応するアロイホイールが必要であることは書かれているが、このことについては触れられていない
- 伝統的なスチールビードのタイヤを使っていると、このトレーナーは使えない(スチールビードが磁石を引き寄せるから)。この場合はフォールディングタイヤに交換する必要がある。このことは4iiiiのサイトに書かれているが見逃してしまっていた
- 起動時の接続は不安定なことがある。ソフトウェアに認識されているが、ホイールを回せなくなるほどの負荷がかかってしまっていて、信号も送信していないということがあった。こういう場合は本体もソフトも全て再起動するとうまく行く
- 紆余曲折あった後にようやく乗れるようになったが、使用感はかなりガッカリするものだった
- このトレーナーはマグネティック・アームを近付けたり離したりすることによって抵抗を発生させるが、理論上これはうまくいくように思えても実際はヘンテコな乗り味を生み出す
- 40回に1回はペダリングが上か下にスリップしていくような感じだ
- 砂か泥を走っていて、ペダリングにあわせてリアホイールがトラクションを失うような感覚がある
- シフターで変速しても必要なパワーを継続的に出せない。ハイパワーを出し続けるにはケイデンスを上げる必要がある。いちばん重いギアで126rpmで回してはじめてパワーを上げられる感じで、100rpmまで落とせばパワーも納得の行く落ち方をするが、90-100rpmでは数字が上下して何も維持できない感じだ
- このトレーナーではローケイデンスでハイパワーで乗る練習ができない
- Zwiftではいつもハイ・ケイデンスで走らないといけなくなる、平地で120rpm、坂で100rpmという感じだ。勾配の変化も感じられない。実際のライドならその坂は70rpm、平地では90-95rpmで走る感じだろう
- この製品は静粛性が非常に高い。セットアップは簡単で充電も簡単だ。法外な値段でないのも良い
- スマートトレーナーはどれも高価過ぎると私は考えているので、この製品には本当に期待していたが、トレーニングツールとしては良いものではないと思う。ペダリングがぎこちなく、現実世界では全く不自然な感じのケイデンスで回すことになる。Zwiftも単純なエルゴモードも不自然だ。出力の上げ方が実際のライドとは全く違う
- 完璧なものは期待していないし初期不良のゴタゴタにも腹は立てていないが、これで適切なサイクリングのトレーニングができるとは思わない
ペダリングの感覚については、「砂か泥を走っていて、ペダリングにあわせてリアホイールがトラクションを失うような感覚がある」という箇所を読んで、そうそうそんな感じだった、と膝を打ちました。
ブレードスポークに起因する問題についてはDCRainmakerという有名なレビューブログに解決法が書かれてあるらしく、ペダリングがスリップするような感覚もホイールの振れ具合とも少し関係があるようですが、いずれにしても投稿者は最終的にこの製品には納得が行かず、高すぎて本当はイヤなんだけど… と言いつつSaris H3に買い替えたそうです。
抵抗の強さを自然に増減するのはなかなか簡単なことではないようですね。また4iiiiもパワーとケイデンスの不自然さについては把握している模様で、この点についてはもしかするとファームウェアのアップデートで将来的に改善する可能性もありそうです。
この製品は私も期待していましたが、やはりZwiftを思う存分楽しんだり本格的なパワートレーニングをしたい方には不向きなのかもしれません。レース志向の方はレース会場に持ち込んでアップで使う… というのもありでしょうか。でもカーボンホイールは使えないので、それも微妙でしょうか。
ところでこのレビュー、投稿されている方は良いことも悪いこともちゃんと書いてあって、メーカーへのレスペクトも感じられ、親切で知的で本当に良い人だなと思いました。それだけに内容に説得力があります。英語に抵抗がない方は是非元記事を読まれることをおすすめします。
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