フィットネス用品メーカーの米国Bowflexがスマートトレーナー的な要素も持つフィットネスバイク「VeloCore Bike」を発表しました。サイクリスト向けというより一般の方向けの製品ですが、なかなかおもしろい機構があります。
なお公式製品ページには何らかの理由で日本国内からはアクセスできなくなっており、下のURLから飛んでもすぐにBowflexトップページに遷移してしまいます。ご参考まで。
左右にガチ揺れ
下が公式の製品紹介動画ですが、ハードウェア的な最大の売りは左右に揺れること。見たところフレームが「しなる」のではなく、パイプがフレームを貫通していてそれを中心にトレーナー全体が回転するようです(※揺れないように固定するモードもあり)。体幹や上腕二頭筋の強化ができます。
左右に大きめにしなるスマートトレーナーとしては過去にBkool SMART AIRがありましたが、Bkoolはその後ハードウェア部門をスペインの他の会社に売却してしまいました。またWahoo KICKR 2020年モデルは少しだけ左右に揺れる「AXIS Feet」を搭載するなど、「車体の傾斜」はメーカー各社、取り組んでいるところだと思います(スマートトレーナーを乗せるロッカープレートという製品もあります)。
エンターテイメントが充実
しかしです。所詮一般向きなんでしょ? 車体横揺れするから何なの? それにそのモニター画面、何? 退屈な安っぽい自社製ワークアウトプログラムが入ってるだけでしょ? と思いますよね。
JRNY™という有料サービスにサブスクライブする必要はありますが、加入すると下のようにNetflexやAmazon Prime、huluなどを見ることもできるのだそうです。エンタメ系体験を重視している感じです。
さらにリアルワールドの映像もいくつか用意されているようです。自社開発のものらしいですが、どの程度の没入感が得られるのか気になるところです。
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ZwiftとPelotonにも対応 でもどこまで対応?
でもさぁ、Zwift使えないと意味ないんじゃないの… と思いながら動画を見ていたら、こんな画面が!!
はい、まさかのZwift対応です。さらにPelotonにも対応、と動画では説明されています。ただし自前のスマートフォンやタブレットと接続し、それらのデバイスをVeloCore Bikeのモニター前に置いて使います。JRNY™というサービスにこれらが含まれているわけではありません。これはなんとも惜しい!(目の前のモニター使いたい!)
またZwiftとの通信に関する詳細情報はなく、コースプロファイルに応じて負荷が変化するかどうかなど、不明点は多々あります。接続できるからには少なくともスピードだけは送信できるはずですが、パワーとケイデンスは果たして?
他に一般の方向けだな、と感じるのが、負荷レベルの変更が見たところまさかの手動操作らしいこと(動画を見ると何かボタンを押している)。そして負荷の単位はワットではなく「抵抗(resistance)」というもの。
一応100段階の抵抗レベルがあり、さらに将来的にワット表示にも対応するとあるのですが、Zwiftと通信できているということはパワーメーターは一応内蔵しているのだろうか… 大事な情報だと思うのですが製品ページには掲載されていません。負荷の自動変更がないとしたら魅力は半減しますよね。
米国価格はモニターの大きさによって異なり、16インチコンソールが$1,699、22インチが$2,199と思ったよりは安いです。Bluetoothのリストバンド式心拍計と3ポンドのダンベル付き、ボトルホルダーは2つありポップコーンも置けるそうですw
Wahoo KICKR BikeやTacx Neo Bike Smartに比べると安く見えますが、Zwift等の本格的なインドアサイクリングをフルに楽しめるかどうかは微妙です。でもこれがスポーツジムにあったら個人的には嬉しいですね。筋トレ後にZwiftも楽しめるかも?
とはいえ左右へのロック、ロール機構は本格的なスマートバイクに搭載されてほしい機能でもありますし、徐々にプロトコル化が進んでいるZwiftのステアリング機能についても、将来的に車体の傾斜もパラメーターのひとつとして取り込んでくれるようになると、よりリアルなインドアサイクリング体験に繋がるのではないでしょうか。数年内にはZwiftに実装されそうな気もします。