スペシャライズドから超軽量なロードバイク「Aethos」が発表されました。Bikerumorの記事がわかりやすかったので主な情報をわかりやすく箇条書きで整理してみました。
Aethosの読み方はスペシャライズド日本のサイトでもまだ書かれていませんが、米語読みなら「イートス」か「イーソス」といった感じでしょうか。
参考 585g Specialized Aethos is the newest World’s Lightest Road Bike.
公式 Aethos | Specialized.com
レースで勝つことを目指したバイクではない
- 単純にライドを愛するためのバイクを作ってみたらどうだろう? という考えからスタートしたプロジェクトだった
- Tarmacは明らかにレースで勝つために作られたバイクだが、Aethosはそれ以外の人々のためのバイクである
- 驚くほどシンプルな造形、ロゴは小さく、ボトムブラケットはスレッド式で、塗装も最小限で、ユーザーフレンドリーな仕様
- これまでに彼らが作った中で最軽量のバイク
- また過去に作られた最軽量のディスクブレーキ・ロードバイク
- 完成車重量は一般的なパーツを使用しても5.9kg。ハイエンドビルドにはなるが、標準的な市販パーツで組まれる
- スペシャライズドの技術的に最も進化したバイクとする
- これらは非常に奇妙なコンセプトであるため、ロード及びグラベルのプロダクト・マネジャーは経営陣からの承認はまず得られないだろうと考え、極秘裏にプロジェクトを開始した
- このバイクのアイデアは数年前、Tarmac SL6の開発に着手した際に生まれた
- Tarmac SL6とSL7の優先事項はあなたや私のような一般的なライダーのそれから遠く離れていた
- 一般的なライダーの目標は「完璧なライド」だけである。それがAethosを作る際の目標となった
無駄な繊維を減らし規格は標準的なものを採用
- バイクデザインの伝統的な考え方はパワー伝達を最大化するためにオーバーサイズのダウンチューブとBBセクションを用意し、上部では快適性を高めるために小さくより薄いチューブを使うというものだが、テスト用治具でフレームを観察しているとヘッドチューブの捩れから「悪い」しなりが多く発生していることがわかった
- そのためフレームの各部で100の異なる形状・サイズ・レイアップをバーチャルモデルで試した
- 最終的には16週間以上かけて100,000以上の異なるフレームがコンピューターでシミュレートされた
- 最初のプロトタイプは560gに仕上がり彼らのテストの75%をクリアすることができた
- それはフレーム形状が素晴らしく仕上がっていることを意味した
- 全ての繊維が意図した負荷をかけた時にテンションが与えられていることも意味した。機能的な目的に貢献しない「無駄な繊維」がなかったのである
- 開発者によれば、いくつかのバイクフレームでは少ない場合で60%しか負荷を担わない場合があるが、Aethosでは約95%のカーボンファイバーが直接テンションを受けている
- これを実現するために最初のプロトタイプに多くのファイバーを付け加える必要はなかった
- 最終的に全てのテストをパスしたフレームはサイズ56・S-Worksレベルのレイアップ、Satin Carbon/Jet Fuelフィニッシュの場合で、平均585g +/- 5gとなった
- フレームは標準的な規格を採用している。BSAスレッド式のボトムブラケット、スタンダードなテーパード・ヘッドチューブと円柱型のシートポストとクランプ、タイヤクリアランスは32mm、ライダー重量制限は125kg
- チューブの厚みはSL6と事実上同じであり、信じられないほど頑強だという。グラベルバイクではないが、グラベルで乗ることもできる
- これらはほとんど全てチューブの形状によって成し遂げられている
- 特にクレバーなのがフォーク・ドロップアウトのデザインだ
- 大部分のフォークは140mmローターに対応するための金属製フラットマウント・インサートが低い場所にあり、160mmローターではスペーサーが必要なためディスク側のドロップアウトエリアが非常に固くなるという
- しかしほとんどの一般向けロードバイクでは160mmローターが使われているため開発者はよりスリムで軽量なブレーキマウントを制作し160mmローターの位置に埋め込んだ
- これにより空洞部分が広がりドロップアウトから無駄な素材を約10g削ることができた(さらにブレーキマウントを短くすることで2g削減のボーナスも得られた)
- 剛性重量比は主要な競合製品よりも優れているため信じられないほど軽量でありながらも上りだけでなく下りも優秀である
- 長く高速な山岳の下りでも大変な安心感があったという
- 今年のツール・ド・フランスでこのバイクを使わなかったのはUCIの最低重量規定を満たすためにはより多くの重さを足さなければならなかったから、とスペシャライズドは言う。そのためTarmac SL7のエアロ面でのアドバンテージを取ることにした(Aethosのフレーム自体はUCI認証のステッカーが貼られている)
フレームセットは5,200ドル 完成車は12,500-14,500ドル
- 最軽量の完成車はFounder’s EditionでRoval Alpinist CLXホイール、一体型のハンドル・ステム、Romin S-Worksサドル、パワーメーター付きのShimano Dura-Ace、CeramicSpeedのボトムブラケットとディレイラープーリーという仕様で5.9kg。これは2番目に軽量なS-Worksビルドより100g軽い。価格は$14,500で300台のみ作られる
- AethosはまずS-Worksレベルでのみローンチされカラーは7色、価格は$5,200
- ペイントレディーのJet Fuelはデカールは自分で剥がせるようになっている
- Aethos S-Works完成車はDura-Ace Di2とSRAM Red AXS eTapのビルドのみ。いずれも定価は$12,500で電動のみである
- 完成車もフレームセットもメカニカル用のケーブル穴はない
- シマノ版は52/36チェーンセットでデュアルサイドのパワーメーターもちゃんと含まれている
- SRAM版はフロント48/35でQuarqパワーメーター搭載
- サイズは49, 52, 54, 56, 58, 61の6つ
- 既に購入可能である
スレッドBBや丸シートポストなど汎用性の高い規格を採用しているところは好感が持てますね。フロントのローターを160mmに固定したり、電動コンポのみ対応など思い切った設計もなかなか面白いと思いました。
価格はさすがに多くの「一般」ライダー向けではないかもしれませんが、本当に超軽量な完成車やフレームが欲しい方にとってスペシャライズドのようなビッグブランドが選択肢に加わることは大いに歓迎なのではないでしょうか。
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