ホイール

MTBホイールとグラベルホイールはどう違う? 流用は可能? Mavic/Enve/3Tの専門家による回答

グラベルバイクでMTBホイールを使うことはできないのだろうか? そうした素朴な疑問を持ったことはありますでしょうか。私は最初のグラベルホイールの検討中、この疑問を持ったことがあります。市場に出回っている多くのグラベル専用ホイール・オールロードホイールよりも、例えば過去のMavic Crossmaxシリーズのほうがずっと軽量で、しかも安いことを知っていたからです。

Mavic Crossmax Pro

Mavic Crossmax Pro © Mavic

MTBでクロスマックスを使用していたこともあるので、その乗り味を思い出しながら、アクスルの規格を揃えられるのならグラベルホイールで使っても良いのではないか、と考えたのです。

しかしBikerumorがこの件について非常に有益な記事を掲載していました。同サイトはこの疑問を、Mavic, Enve, 3Tの3社にぶつけています。本記事ではその内容をかいつまんでご紹介します。

出典 Can I use MTB Wheels for gravel riding? ENVE, Mavic & 3T explain

Bikerumorからの質問

Bikerumorの記事の主旨とメーカーへの質問は次のようなものでした。

MTBホイールをグラベルライドで使えるでしょうか? それは良い質問です。多くの場合、それはより軽量ではないかもしれませんが、ずっと安いことはあります。もし重量が大きい問題でないのなら、ホイールの面で節約できるかもしれません。我々はEnve, Mavic, 3Tの専門家に、MTBホイールをグラベルバイクで使うメリットとデメリットについてお伺いしました。

ハブのスペーシングとエンドキャップに正しいものを使うのなら、MTBホイールは(特定のブランドによらず)グラベルのそれより軽量で安価なものが多くあることに気付きました。

結局はフックレスかそうでないか、最大タイヤ空気圧はどのくらいか、エアロダイナミクスはどうなのか、という点に行き着くのでしょうか? それともMTBホイールをグラベルで使うべきでない理由はあるのでしょうか? 私は大体いつも38mmタイヤを40psiの空気圧で乗っています。

Mavic(Max Brunand, Michel Lethenet氏)の回答

アクスルの互換性を別にすると、グラベルホイールとMTBホイールを差別化するパラメーターは少なくとも3つあります。

  1. 疲労抵抗:同じ時間だけ乗るとすると、グラベルホイールはMTBよりも多くの距離を走ります。結果的に、ホイールの回転数はAll Roadシリーズのほうが多くなります。

    ホイールは回転するごとにスポークテンションに変化をもたらします(回転の度に1本1本のスポークのテンションが増減します)。この度重なるテンションのサイクルは、ホイールの耐久性に直接的な影響を及ぼします。そのサイクルが多いほど疲労が増えます。

    その結果、スポークが取り付けられているリムの下側のブリッジは、グラベルホイールではより高い強度で設計される必要があります。ニップルまわりのクラックを避けたり、スポーク折れを防いだり、ホイールの振れを防ぐためです。

  2. スポークテンションとタイヤ空気圧の関係: 空気圧はスポークの初期テンションに直接的な影響を及ぼします。リムに圧力をかけることで、空気圧はスポークの初期テンションを減らします。このバランスを取るために、より高圧のタイヤで乗ることを想定しているホイールではスポークの初期テンションが高めなのです。

    グラベルホイールは多くの場合、MTBホイールよりもより幅の狭いタイヤで、より高圧で乗られます。グラベル用の細めのタイヤで高圧で運用したMTBホイールは、テンションが低くなることが多いでしょう。

    適切に設計されたグラベルホイールは高い空気圧のバランスを取るために、初期スポークテンションが高くなるようになっています。当然リムの材質の抵抗限界も考慮されます。リムとスポークとハブはこの余剰テンションを支持するように設計されなければなりません。ホイールの全般的な寿命に影響を与えることなく、です。スポークテンションを(自分で)上げるようなことはしないで下さい、その結果ホイールはより壊れやすくなります。

  3. 衝撃吸収:MTBホイールは、クロスカントリー向け製品であっても、大きい衝撃やショックを和らげるように設計されています。ジャンプや岩やテクニカルな地形、アグレッシブなライドスタイルなどはMTB環境には付き物ですから。このアグレッシブな環境には、グラベルホイールはあまり向いていません(道を間違ったり興奮したりしている時はこういう使い方をしてしまうかもしれませんが)。

    このためMTBホイールは通常のグラベルライドにとっては丈夫すぎるように作られていますが、上で紹介したパラメーター1のような乱用に耐えるようには、少なくとも作られていないのです。まとめると、フォークやフレームのアクスル互換性(ブーストか12mmか15mmか等)以外に、適切なグラベルホイールのデザインがMTBのそれと違う結果になるのは、いくつもの要素が絡んでいるからです。

    ホイールは複雑なシステムであり、ホイールビルダーはパフォーマンス・耐久性・重量・効率性・保守性・コスト等のすべてを要素のベストミックスを探りつつ、ユーザーの用途を考えながらテンションを適切にバランスさせる必要があるのです。

Enve(Jake Pantone氏)の回答

MTBもグラベルライドもダートを舞台にしますし、MTBホイールは確かにグラベルと重なる領域で性能を発揮しますが、MTBホイールをグラベルバイクで使用すると性能が棚上げされることはあります。こうした理由で、EnveはGシリーズを用意しています。

グラベルバイクが典型的にはサスペンションを備えていないとすると、振動吸収やしなりの必要性はMTBホイールと比べると最重要になってきます。加えて、典型的なグラベルライドやイベントでサドルに座っている時間・距離は、MTBライドやイベントよりも概してずっと多いわけです。

これらすべての理由で、ある特定の目的を持ったホイールが必要になるのです。我々にとってそれは軽量さ、ライドのクオリティ、耐久性のベストバランスを探り当てることを意味します。GシリーズであろうとMシリーズ(MTBホイール)であろうと。

MTBホイールはグラベルライドで使えます。旧式のクロスカントリーホイールをグラベルホイールに仕立て上げたメーカーも結構あると思います、しかし最終的には、MTBホイールの要求はグラベルホイールの要求より大きいので、もしMTBホイールをグラベルライドで使うなら剛性が高すぎたり、必要以上に重くなるかもしれません。

もうひとつの議題はタイヤボリュームとリム幅です。モダン・クロスカントリー・レーサーは2.25〜2.4インチ(57mm〜61mm)レンジの大ボリュームタイヤを使用します。グラベルライダーは38mm-50mmタイヤを使用し、40mmが最も一般的なサイズです。もし旧式のクロスカントリーMTBホイールをグラベル用に転用するのなら、非常に軽量にはなるかもしれませんが、理想的なライド体験を提供してはくれないでしょう。

最新の超軽量クロスカントリーホイールのいくつかはリム内径が30mmだったりそれに近かったりしますが、それはグラベルには少し広すぎます。グラベルホイールは内径25mmの領域に差し掛かりつつありますが、それがサポートしているのは40-50mmのタイヤなのです。

3T(Gerard Vroomen氏)の回答

スペーシングとアクスル径が正しいのなら、(MTBホイールをグラベルバイクでも)使えるでしょう。フックトとフックレスのどちらが良いかはいくつかの要因で決まります、キーとなるのは空気圧です。

もしグラベルタイヤを低圧で使っているのなら、フックレスでも大丈夫です(スネークバイト=リム打ちパンクの頻度は増えるかもしれませんが)。お気付きのように、MTBホイールの大部分は空力的にはひどいものです、しかし大部分のグラベルホイールも同じです。

空力性能が高いかもしれないホイールでさえ、38mmタイヤを履かせると本当には良い性能は発揮しません。28mmのロードタイヤのために設計されたホイールで38mmのノブ付きタイヤを使ってもそんなに速くはなりません。我々はノブのあるタイヤで多くの空洞実験をしたのでそれがわかりました、その結果Discus 45|40ホイールを開発することになったのです。

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異なる耐久性要件

私はこの記事を読んで、大きい発見がありました。「MTBホイールは、グラベルホイールよりも断然頑丈にできているはずだから、Mavicのクロスマックスをグラベルバイクで使ったっていいじゃないか」と考えていたのです。

しかし「耐久性」と一言で言っても、短時間で大きい衝撃を受けるのと、長距離でそこそこの衝撃を受け続けるのとでは、違う設計が要求されるわけですね。また想定される使用タイヤの適正空気圧の違いによって初期スポークテンションも違っているのは、なるほど確かにそうだろうな、という気がしました。

これら各社の見解については「MTBホイールはグラベルで流用できないから別途買え」というマーケティング的なメッセージであると受け取る人もいるようですが、リム幅・タイヤ幅の問題も考えると、やはり「舗装路もたくさん乗る」タイプのグラベルライドでは、それを想定したグラベルホイール・オールロードホイールを使ったほうが良いライド体験ができるのかな、と思ったりしました。

著者

2007年開設の自転車レビューサイトCBNのウェブマスターとして累計22,000件のユーザー投稿に目を通す。CBN Blogの企画立案・編集・校正を担当するかたわら日々のニュース・製品レビュー・エディトリアル記事を執筆。シングルスピード・グラベルロード・ブロンプトン・エアロロード・クロモリロードに乗る雑食系自転車乗り。

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