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コンポーネント

SRAMは今後メカニカルコンポーネントを更新しない? Rival eTap AXSでシマノから完成車市場を奪還できるか

SRAMがRival eTap AXSを出す、という噂が海外で出回っています。Red・Forceに続くこのサードグレードのeTap AXSは、サテライトスイッチこそ非対応かもしれないし、重くはなるかもしれないが、当然12スピードとなり、上位グレードとの互換性の多くが保たれるだろう、とCylcingTipsが推測しています。

出典 What wireless Rival eTap AXS might mean for SRAM’s mechanical groupsets – CyclingTips

しかしそれよりも気になるのは、SRAMは今後メカニカルコンポーネントを出すのだろうか? Red 24やForce 24は出るのだろうか? という点についての同サイトの考察です。

メカニカルを更新しないのは金欠か、戦略か

ソースは長文記事なので、以下、私の理解による内容の一部の要約です。

  • 現在は電動ドライブトレインが大流行中かもしれないが、メカニカルドライブトレインは一般的により安価で、保守性が良く、ある価格帯においてはずっと軽量でもあることを忘れてはいけない
  • そうしたことを考えると、SRAMはメカニカルの選択肢もカタログに残しておきたいはずだ、と考えるのが論理的だろう
  • SRAMは2000年代後半と2010年代前半に絶好調だった。アルベルト・コンタドールとアンディ・シュレックは2009年と2010年にSRAMコンポ搭載のバイクでツール・ド・フランスで勝利した。その頃同社のメカニカルコンポはあらゆる場所で見かけられた。しかしそれ以降、メカニカルを新鮮に保ってきたのはシマノ
  • たとえばDura-Ace R9100は2016年に、Ultegra R8000と105 R7000は2018年に登場している
  • 対してSRAMの機械式コンポのフラッグシップであるRed 22は2013年、Dura-Ace 9000登場のちょうど1年前に現れた。Force 22は2014年に、Rival 22は2015年に登場した。メカニカル1xのプッシュも織り交ぜられたが、それも既存製品に基づいたものであり、それ以降は大きい注目は浴びなかった
  • SRAMにはメカニカルコンポの頂点を争うための研究開発費がなかったのかもしれない。2000年代後半の世界的な不況のあおりを受け同社のIPOによる拡大計画はなくなり、2013年には同社初のロード用ディスクブレーキを出したものの大規模なリコール騒ぎとなり、1500万ドルもの損失を被ってしまった
  • しかし第一世代Red eTapの開発はそのあいだずっと続けられていて、2015年に登場すると大変な成功を収めた
  • SRAMがメカニカルグループセットをアップデートしてこなかったのは、予算がないからではなく、メカニカルの市場をシマノに譲るという戦略的な決定だとしたらどうだろう?
  • SRAMのこの賭けは、電動コンポが主流であるハイエンド市場ではうまく行っているが、その間シマノはちゃんと動くメカニカルコンポで、ハイエンド以下の完成車のスペックシートからSRAMの文字を駆逐してきた
  • より低価格なRival eTap AXSが、その方面でのシェアを回復してくれるはずだ、という長期的な賭けにSRAMは出ているように見える
  • それが意味するのは、SRAMのメカニカルコンポの将来は明るくないということだ
  • 業界全体が、ハイエンドモデルでは電動コンポの方向に流れていて、ますます多くのバイクがメカニカルコンポを想定しないようになってきている点も忘れてはいけない
  • ビジネス的にはSRAMがメカニカルの新しい大型コンポを出すとはほとんど考えにくい
  • しかしSRAMコンポは巧みなモジュラーデザインの上に成り立っているので、AXS 12スピードの部品を流用するだけなら大きい開発リソースは不要であるに違いない
  • 12速化するなら新しいラチェットリングと新しいリアディレイラー、アップデートされたフロントディレイラー・ケージくらいで済むのではないだろうか。残りはAXSシリーズから借りてこられる
  • Red eTap AXSのワイドレンジを持ち、保守性が良く、より軽量でより安いRed 24を想像してみてほしい。あるいは機能面では同じで少し重い、そして財布に優しいForce 24はどうだろう? そして銀行に借金をしないでも買える値段のRival 24などがあったらどうだろう?

Cyclingtipsのこの考察を読むと、メカニカルのRed 24, Force 24, Rival 24などは確かに少ない研究開発費で実現できそうなので、SRAMがメカニカルも無難に抑えていく可能性もゼロではなさそうです。また、低価格帯の機械式を抑えておかないと完成車市場でシマノに負け続けるリスクがあります。

一方でeTap AXSシリーズを低価格帯までトリクルダウンしていくことで、ミドルグレード・エントリーグレード完成車でも採用されるように仕向けていく、という方向性も十分に考えられますね。仮に機械式に対応しないミドル・エントリーグレードのロードバイクフレームが増えてきたら(あるいはSRAMがそれを増やしていけたら)、その賭けは勝率が上がりそうです。

SRAMとしてはどちらの戦略もありでしょう。ただ、お金がかからないのはAXSに集中することなのは間違いないですね。私もSRAMから今後メカニカルが出る可能性は低いような気がします。出るとしたらRival 24で、それが最後。

また(セミ)ワイヤレス化が確実と思われる新型デュラエースにメカニカルバージョンが存在するのかどうかですが、メカニカル非対応フレームが増えていることを考えるとこちらも微妙な気がしてきます。仮にR9200シリーズにメカニカルが存在するとしても、Dura-Aceではそれが最後のメカニカル、ということになるような気もします。

著者
マスター

2007年開設の自転車レビューサイトCBNのウェブマスターとして累計22,000件のユーザー投稿に目を通す。CBN Blogの企画立案・編集・校正を担当するかたわら日々のニュース・製品レビュー・エディトリアル記事を執筆。シングルスピード・グラベルロード・ブロンプトン・エアロロード・クロモリロードに乗る雑食系自転車乗り。

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