独Schwalbeが先日発表したばかりのレース志向グラベルタイヤ「G-ONE R」について、英国のroad.ccと米国のBikerumorがファーストインプレッションを公開しているので、それぞれの要点をまとめてみました。
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road.ccによるレビュー
※以下、直訳ではなく抄訳による要約です。
出典 Schwalbe G-One R tyre review
- テストに使用したのは40mm版。WTB XZR i23リムにてチューブレスで使用したところ装着の際にレバーは不要で、トラックポンプでビードが簡単に上がった。その時のタイヤサイズは39mmで公称値よりやや細い
- テストでは体重約65kgの筆者が30-35psiで行った(このタイヤには最小空気圧の推奨値はない)
- 舗装路では非常に速く、静かでスムーズ。岩や石、グラベル・トラックでのグリップには際立ったものがある
- 様々な路面で試したが、このタイヤの弱点はまだ見つからない。草の多いムーア(湿原)でもマッドでも全方向にトラクションを得られた。トレッドはドライな路面に入ると泥を上手く吐いてくれるように見える。ブレーキング中のトラクションは想定外の良さで、いつもならリアがロックするような場所でも短い距離で止まれた
- シュワルベはこのタイヤの転がり抵抗値を発表していないが、私の経験では現在手に入るタイヤの中では最も速い。Maxxis Receptorはスムーズでドライなトレールならもう少しクイックかもしれないが、逆にゆるかったり滑る路面ではグリップの面で遥かに劣る
- スープレス(Souplesse ※仏語で「柔軟性」の意)カーカスはその名の通り快適だが、フィードバックも十分にあり、ゆるんだコーナーでもドリフトが始まるタイミングを感じることができた
- 柔軟性のあるカーカスは部分的には耐パンクレイヤーのV-Guardが功を奏していると思われるが、G-One RではV-Guardはタイヤが地面に触れる箇所の下にあるだけで、サイドウォールまで回っていない。そのため快適性は向上するがパンクのリスクはやや高くなる
- より一般的な用途で、かつ速いタイヤならVittoria Terreno Dryが良いタイヤだ。耐パンク性能は完全で、泥やゆるい路面でもベターな性能を発揮する。だがG-One Rのグリップには敵わない
- Continental Terra Trailもしなやかで軽量なカーカスだが泥や草では性能が劣る
- G-One RはContinental Terra Trail, Maxxis Receptor, Vittoria Terreno Dryに比べると非常に高価だが、グラベルレースに出る人でスピードとグリップを求めているのなら、これに勝てるタイヤはない
Bikerumorによるレビュー
出典 First ride: Schwalbe G-One R gravel tires
- Hunt 42 Limitless Gravel Discでは装着にやや格闘したが、特に大きい問題はない
- G-One Rは舗装路ではその他のG-Oneシリーズとかなり良く似たフィールで、転がり抵抗は良い。ノブがたくさんあるが、トレッドの中央部では緊密になっているため舗装路ではスムーズなライドとなる
- Unbound Gravelの元チャンピオンAmity Rockwellと話したところ、G-One Allroundsからこのタイヤにアップグレードしたところ、スープレス・カーカスの効果は感じると言っていた。確かにケーシングはしっかりしていながらも柔軟性がある
- このタイヤは確かに柔軟性とサポート(支持力)の両方を提供するが、G-One Allroundsと比べてG-One Rがはるかに柔軟かと問われるとそうとも言えない。柔軟性という点では非常に良く似ていて、どちらも良いものだ
- G-One Rの転がりはハードパックでも舗装路でも、固まった土の上のゆるい路面(loose-over-hard)でも信じられないほど速い。センタートレッドがリアルタイムで土や泥を吐いていく様子には脅かされる
- コーナリングは気を付けたほうが良い。コーナーノブは低いためスムーズな路面では良いが、ハードパック上にゆるいグラベル層がある場合、G-One Rはトップ層を切り裂いてその下でグリップを取るのに苦戦する
- だがべとついたダートや軽いマッド、上にゆるい層のない乾いた路面でのコーナリングでは問題ない
- 筆者は185ポンド(約84kg)で35psiでテストしたので、耐久性についてもある程度確認できたと考えている
- スーパーファストなタイヤを探していて、粒状の粘土や固まった土の上のゆるい路面でのコーナリングで少しだけ集中することを厭わないのなら、G-One Rタイヤに勝るものはないだろう。しかしどんなコンディションでもコーナリング時により多くの安心を得たい場合は、このタイヤは向いていない
上級者向けの高速タイヤ
road.ccのレビュワーは英国初のグラベルイベント、Gritfestのコースの一部を含む英国で、BikerumorのレビュワーはUnbound Gravel開催地のカンザス州エンポリアでこのタイヤをレビューしています。
両者ともに非常に高い評価で、特に泥捌けの良さが際立っている印象を受けます。Bikerumorの記事を読むとハードパック上に薄い砂利の層があるようなセクションではコーナリングに気を使うようですが、それ以外ではグリップもトラクションも優秀らしいので、バイクコントロールに自信のある上級者ならグラベルレースで使ってみたいと思わせるタイヤに仕上がっているのではないでしょうか。