ドイツのVecnum(ヴェクナム)が混合路面用のサスペンション・ステム「freeQENCE(フリーケンス)」を発表しました。このタイプの製品ではRedshift Shockstopが有名で、日本でも愛用されている方が多いと思いますが、シングルピボット・20mmの同製品に対してこのVenum freeQENCEは4バーパラレログラム・30mmトラベルという点が大きい特徴となっています。
出典 Vecnum freeQENCE stem delivers 30mm of adjustable 4-bar suspension for your gravel bike
公式 Vecnum freeQENCE suspension stem — Vecnum GmbH
ハンドルが回転しない
以下、Bikerumorの紹介記事を要約してみます。
- ロード・グラベル・シクロクロス・コミューター・ツーリングバイクでの使用を想定したもの
- 4バー・パラレログラムで動作し、ほぼどんなバイクにも取付可能で調整も簡単である
- 比較的軽量である
- 同社によると、振動や衝撃を最大75%カットする
- 多くのサスペンション・ステムは最大20mmトラベルだが、4バー・パラレログラムを採用することにより30mmトラベルを実現し、さらにハンドルバーやレバーも回転しない。ハンドルの何処を握っていてもサスペンションのフィールが同じだ
- RockShoxの新型XPLR RudyフォークやLauf Grit SLリーフスプリング・フォークと同じトラベル量だが、それらはテーパード管が必要であり、フォークにバイクパッキング用具は装着できないのが難点だ
- 1⅛インチのステアラー、31.8mmハンドルに後付けできる
- 10mmをポジティブ(上方向)、20mmをネガティブ(下方向)に確保するよう設計されており、50-120kgのライダーに対し、3mmヘックスボルトでサグを無段階調整できる
- 自社で7075アルミを切り出し製造している。空洞のチタン軸の周りに交換可能なスライドブッシングがあり、そこで回転する
- 公称重量は90mm版で287g、120mm版で317g
- リンクとスプリング機構は内部に隠されているため、土や泥の影響を受けにくい
- サスペンションの動きは均一かつリニアだが、両側の終端では強く動くため、トップアウトやボトムアウトのフィールがなく、ロックアウト機構の必要も感じないという
- 装着にはヘッドセット上に42mmのスペースが必要
- 価格は300ユーロ、2年保証付き。サイズは90, 105, 120mmでライズは3°。カラーはアノダイズド・ブラックのみ
フロントサスに比べると軽くて安い?
4バーのパラレログラム機構にすることで、サスペンションが稼働してもハンドルがティルトしないところが良いですね。重量的には300g前後と、ステムとして考えれば勿論重いのですが、30mmトラベルのフロントサスペンションの代替と考えれば超軽量とも言えます。300ユーロという価格もステムとしては高額ですが、フロントサスの代わりと考えると検討の余地ありですね。
ユーザーマニュアルによるとトップキャップより上に42mmの長さが必要で、これを測定するゲージも付属するそうです。グラベルやコンフォート系バイクならこの長さは確保できている人も多いのではないでしょうか。
ただし本記事作成時点では、日本やアメリカ合衆国からは買えないようです(ヨーロッパ・オーストラリア・台湾・韓国などからは買えます)。欲しい方は海外の知人などにお願いするしかなさそうです。
ちなみにBikerumor記事のコメント欄では、SoftrideやCirrus CyclesのKinektサスペンションステムに非常に良く似ているという意見が見られます。しかし全く新しいコンセプトの製品ではないものの、軽量化されているらしい点は高評価。
▼ KinektはVecnum freeQENCEより確かに重く、トラベルも20mm。このあたりが差別化になっているのでしょうか(パテントがどうなっているのか気になりますが)。
またShockstopについては、価格を考えると性能は素晴らしいものの、ハンドルが回転することによる手首の動きは嫌だったのでこの点は期待したい、という声も見られました(この人はShockstopからLaufに換えてかなり満足しているようですが、それでもShockstopは価格帯性能比は非常に良い、と書いているのが印象的でした)。