シマノが3月1日、新しいコンポーネントシリーズ「CUES」を発表しました。CUESは”Create Unique Experiences”(ユニークな経験を生み出す)の頭文字とされており、様々な名称を持つこれまでのエントリークラスのコンポ群を「CUES」の名の下に統合していくような方向性を思わせる製品です。
今年の1月にシマノの複数のグループセットの名称が変更されるかもしれないという噂をお伝えしていましたが、このCUESの話だったと思われます。
公式 CUES U6000 11-speed
公式 SHIMANO CUES | SHIMANO BIKE(自転車部品)-日本
9〜11スピードまでの4ラインナップ
CUESはシマノ公式サイトではMTBカテゴリーとLIFESTYLEカテゴリーに組み込まれています。全部で以下の4つのラインナップがあり、U6000シリーズのみMTBカテゴリー、残りはLIFESTYLEカテゴリーに入っています。
- U8000シリーズ(11スピード):トレッキングから街乗りまでカバーする最高峰の11スピード。トレッキング用DEORE XT T8000の後継品と思われる
- U6000シリーズ(11スピード):全力でのトレイルライドからスポーティーなデイリーユースまで幅広いスタイルに対応する11スピード。「11スピードのベンチマーク」と謳われている
- U6000シリーズ(10スピード):同10スピード版
- U4000シリーズ(9スピード):気軽なトレイルライドからカジュアルなライドまで幅広いラインナップを揃えたエントリークラス
高い互換性のあるシステムで旧ラインナップを統合か
英Bikerumorの紹介記事によると、
- 10スピードと11スピードのDEORE、Alivio、Acera,、Altusが今後CUESに置き換えられていく(旧シリーズのサポートは続けられる)
- 9〜11スピードまで全てのコンポで11スピードチェーンが使用される(既存の11チェーンも使用可能)
- カセットはどのスピードでもスペーシングが同じでワイヤーの引き量が同じ
- チェーンリングも同じ厚み
- これにより小売店は在庫を少なくすることができ、消費者もパーツの代替品を入手しやすくなる
- HyperGlide+より3倍耐久性が高いLinkGlideを採用
- カセットのLG400とLG700はXT用のLG600よりも軽量に仕上がっている
- フロントディレイラーも用意されるがワイヤーのプルレシオはどれも同じである
- U6000 11-Speedのリアディレイラーにはクラッチもある
とのことです。CUESシリーズ内部であれば、たとえば11スピードのシフターでも9スピードのカセットやリアディレイラーを引ける互換性が保たれているものと見られます。ただ、他の情報も観察するとCUESのワイヤー引き量は現行のロード・MTB用コンポとは違っておりそこは互換性がないようです。
また英Bikeradarによると、
- シマノはCUESのドロップバー用バリエーションが将来的に登場することを強くほのめかしており、Tiagra, Sora, Clarisが消える可能性がある(公式にはまだ発表されていない)
- 既存のHyperGlideカセットはCUESのドライブトレインと互換性はない
とのことです。
これまでDEORE、Alivio、Acera,、Altusと数多くあったエントリーシリーズを一気にまとめるのは合理的な流れと思われ、ユーザーにもショップにも歓迎されそうな気がします。またこれから追加でドロップバー用のCUESが発表される可能性があり、そうするとTiagra, Sora, Clarisがなくなってしまいます。少し寂しい感じはしますが、これも自然な流れかもしれませんね。
海外サイクリストの反応
シマノCUESの発表について、海外のサイクリストからの反応も現れはじめているので追加します。概ね肯定的な意見が多く見られます。
- 9, 10, 11スピード間の互換性は素晴らしい。新しいコンポ全体を買うことなく安価にアップグレードできるね。ロード用(出た場合)とMTB用が混在できれば良いのだが
- ショップはカスタマーから得られるお金が少なくなるから、これは歓迎しないという話を聞いた
- (上の人に)私のショップでは歓迎ですよ
- ローエンドバイクのためにパーツを探す手間が省ける
- シマノが70年くらい経ってからカートリッジベアリングを作るなんて衝撃的だ
- どれもポジティブな内容に思える
- MTBとROAD用はGRAVELに統合してフラットバーとドロップバー両方のシフターが用意されるといいな
- 耐久性と互換性を重視したコンポは素晴らしいと思う。これはMicroshift Adventへのダイレクトな反応だ
- 9スピードで11-46があるの? 俺も仲間に入れてくれ!
- 46/30と11-50があるんだって?
- スティーブ・ジョブスが90年代にアップルに戻った時にやったことみたいだね。彼は自社の製品群が消費者にとってあまりに複雑になっていると考え、どれもシンプルにした。シマノが同じことをやるのは理に適っている。お客さんからすると「ティアグラ?ソラ?クラリス?どれが自分に必要なんだろう?」となるが、これからはCUESだけになる