ツール・ド・フランス2023は昨日第9ステージを終え、本日は最初の休息日。まだ1週目とは思えない白熱した展開が注目されていますが、海外のロードレースファンは優勝候補のヨナス・ヴィンゲゴーとタデイ・ポガチャルについてどう見ているのでしょうか。海外掲示板での議論からピックアップしてご紹介します。
▼ 虎視眈々とヴィンゲゴーの背後に付くポガチャル。ハンターの眼差しです
出典 Pogacar!!!
出典 Thank you Tadej and Jonas
- UAEがポガチャルをもっとサポートできていないのが心配だ。ユンボ・ヴィスマは去年の戦略を繰り返すだろうし、するとユンボ3人 vs ポガチャルになる
- (上の人に)うん、でも今年はログリッチがいないからポガチャルを捕まえるのはもっと難しい
- そうだね、今年ポガチャルはヴィンゲゴーだけ見ていればいいからね、2人ではなく。文字通り後ろに付いて、遅いアタックを仕掛ければいい
- まったくだ。簡単に去年と同じ展開になってしまうかもしれないね。ポガチャルは一人だけで戦っていた。イエーツか他の人がサポートするべきなのだが。なぜそうなっていないのかわからないよ
- (上の人に)UAEは高山ではそこまでやれないんだ。平地や丘陵地帯では徹底的にやれる連中はたくさん持っているんだけど、長い山岳フィニッシュで単独で周囲を全滅させられるセップ・クスやファン・アールトのような人材がいないんだ。
ここからは憶測になるんだけど、UAEは去年のツールから教訓を得たんだと思う。ポガチャルに気ままにアタックさせるのは、ユンボの2人以上の選手に攻撃させて潰してもらうのをお願いしているようなものだ。
ユンボが自分のチームを含めてフィールドを木っ端微塵にした後、ヴィンゲゴーのホイールの後ろに付いて、フィニッシュまで5km以内のあちこちで20〜30秒拾う。ポガチャルが狙っているのがまさにそれだ。ユンボが死に絶えるまで搾り取りたいと思っているんだ。
ヴィンゲゴーはポガチャルが今日(※第6ステージ)やったような素早くて壊滅的な加速はあんまりやれない… もしポガチャルが今日のような走りを続けるのなら、ユンボは毎日のように集団を切り刻むような戦略を見直す必要があるだろうね。かといってユンボが速度を落としたら、ポガチャルの横にはチームメイトが増えてくるんだよね… - (第9ステージ終了後)めっちゃエキサイティングになってきたよね! ポガチャルのほうが今では強いように見える、でもヴィンゲゴーはだいたい第3週にピークが来るし、その頃には彼にかなり向いているステージがある。15〜17と20ステージがそうだと思う。ヴィンゲゴーを応援しているし、持ちこたえてほしいけれど、ポガチャルがいまのような調子で走り続けるのなら、負けたとしてもまったく恥ずかしいことではないよ!
- (上の人に)そうだね。ヴィンゲゴーはどう考えても遅かったとは言えない、ポガチャルがばかみたいに速すぎるんだよ
- ヴィンゲゴーはレース開始直後に今日は脚の調子が良くないことを悟って、セップ・クスにペースをコントロールしてもらいたかったらしい
- もし今日がヴィンゲゴーのバッド・デイだったとしたら、彼のレベルのすごさがわかるというものだ
- これから数日はスプリンター向けのステージで、その後は3〜4のすごいステージが続く。現時点ではどんな展開も考えられる
ユンボ・ヴィスマとヴィンゲゴーは戦略の見直しを迫られているのではないか、という点は個人的にも納得しました。ポガチャルは去年とは明らかに違う戦い方をしていますよね。チームメイトがやや足りない印象は受けますが、ヴィンゲゴーの後ろにピッタリ付いて、最後の最後で地道に数秒稼いでいます。いつでも飛び出したい衝動を抑えることだってできるんだ、という感じで、やんちゃな選手からクレバーな選手に変貌しつつあるのではないかと感じました。
しかし戦略を見直す、といっても簡単ではないですよね。上でも言われていたように、ユンボがペースを落とすならポガチャルのアシストが増えるかもしれないというジレンマがありそうです。ポガチャルとヴィンゲゴーはいまピークの何パーセントまで仕上がっているのか。ポガチャルがこの勢いを維持しても、ヴィンゲゴーがより長くきつい登坂で底力を見せることになっても、どちらに転んでも熱い展開が待っているのは間違いなしですね。