サイクリングに関する記事です。夜のJR東京駅周辺をポタリングしながら写真撮影を楽しみました。振り返って思うのは、東京駅の「丸の内側」と「八重洲側のコントラスト」。
丸の内側が華やかな「表」だとすれば、八重洲側は「裏」と言えます。「ハレ」と「ケ」とも言えましょう。
ともあれ、夜の東京駅周辺サイクリングの模様をお伝えします。写真はすべて2019年9月初旬のものです。
JR東京駅
JR東京駅の丸の内側から走りはじめます。まずはこの立派な駅舎を撮影。とても絵になるので多くの写真愛好家が近辺で三脚を立てて駅舎や、モデルの女の子、モーターサイクルなどと一緒に写真を撮っています。観光客も多いです。結婚写真を撮っている様子もよく見かけます。
この西欧風の駅舎は1914年に竣工され、オランダのアムステルダム中央駅またはロンドンのターミナル駅をモデルにしたと言われています。皇居の目の前にある駅という事情もあったのでしょう、かなり立派です。当時の日本人の近代化への意欲がひしひしと伝わってきます。
東京はいまあちこちでオリンピックムードで、東京駅前にもこんな開幕前カウントダウンの電光掲示板が設定されていました。夜はなかなか映えます。
丸の内口の右手側、旧丸ビル前の東京駅中央口の様子。とても日本の建築とは思えないですが、こういうものが保全されているのは良いことですね。
下は東京駅から皇居に向けてまっすぐ伸びている行幸通り。「パレスサイクリング」で有名な内堀通りに至る道です。東京駅舎をバックにモデルさんを撮影する方が多く集っています。この道を含めて、皇居まわりの道は風水を非常に意識した作りになっていると個人的に感じます(根拠なしw)。ここはかなり風通しの良い道。
丸の内仲通りへ
行幸通りの途中で有楽町方面に向かい、「丸の内仲通り」という華やかな道に入ります。路面は敷石で、歩道には様々なオブジェが設置されています。
道の両脇にはハイファッションや高級ブランドのお店が並び、「ハレ」のエリアであることを強く感じます。居酒屋などは一切ありません。コンビニも自動販売機もありません。その意味で異質な空間です。
これは丸の内ブリックスクエア。広くはないですが、中欧や東欧の町の中心に入ったような錯覚に陥ります。自転車も一応通れます。
テラス席で仕事帰りにワインを楽しんでいる人々がいます。非常に洗練された雰囲気であり「富士そば」や「はなまるうどん」のある我が家の周辺とは異質な空間です。ここにあるのはジョエル・ロブションやフランス産のチーズ屋さんやパン屋です。
丸の内エリアは三菱地所グループと深い関係があり、その三菱地所がラグビーワールドカップ2019をスポンサードしている関係からか、下の写真のような謎のラグビー関連オブジェが点在していました。
「丸の内ラグビー神社」なるものも。シュールです。
ところでこの「丸の内仲通り」はイルミネーションで有名です。昨年は11月初旬からライトアップがはじまっていたのですが、この夜、ちょうど木々へのイルミネーションの取り付け作業が行われていました。この道は11月になったら絶対に来たほうが良いです。とてもきれいですよ。
いまはまだこんな感じで少しさびしい雰囲気ですが、イルミネーションがはじまると丸の内の「表」感、「ハレ」感が爆発します。ライトアップがはじまったらまた来たいと思います。
自転車ネタとしては、丸の内仲通りにビアンキ・バイクストアがあります。丸の内にある唯一のスポーツバイクショップと言っていいでしょう(※京橋近くまで行くとスペシャライズド銀座があります)。ここではじめてのロードバイクを買う丸の内勤務のサラリーマンの方もいるのかもしれません。
営業は夜8時までのようです。お近くの方は寄ってみてはどうでしょうか。最近のビアンキは勢いがあって良いです。チェレステブルーはスチールでもカーボンでも映えます。
東京駅の丸の内側に戻ります。これは新丸ビルで、2FのBEAMSの文字が目立ちます。カジュアルウェアのお店。
駅の右手側にはKITTEという建物があります。これは東京中央郵便局が1Fに入っている商業ビルで、建物の中には東京駅を俯瞰で撮影できるエリアもあります。じっくりと駅舎の写真を撮ってみたい方は中に入ってみるのも良いでしょう。
KITTEを通り過ぎ、さきほど中に入った丸の内ブリックスクエアの裏側の道を有楽町方面に向かうと東京国際フォーラムにぶつかります。
このあたりからガラッと町の雰囲気が変わります。これは有楽町ビックカメラ。丸の内の洗練された「ハレ」な感じはこのあたりで終わります。
八重洲へ
来た道を引き返し、今度は東京駅の丸の内とは反対側、すなわち八重洲方面へと向かいます。ちなみに、嘘みたいな話ですが「八重洲(やえす)」という地名はオランダ人の「ヤン・ヨーステン」に由来しているそうです。17世紀の初頭に日本に流れ着き、徳川家康の通訳になった人です。
そしてこの八重洲ですが、丸の内とは全く雰囲気が違うのです。
駅ビルには一応ハイファッションのお店もあるにはあります。
しかし駅前はこんなふうに消費者金融の看板や「昭和天ぷら粉」や「サロンパス」のネオンが怪しく輝く雑然とした空間です。銀座から新宿歌舞伎町に瞬間移動したような雰囲気です。
東京駅八重洲口の前の外堀通りを渡り、八重洲北口通りへ。狭い路地にはところどころにゴミ袋が積み上げられ、怪しげな客引きが立っていて声をかけてきます。麻雀屋があり、スナックがあり、マッサージ店があり、カラオケ店があり、そば屋があり、ネズミが走ります。
八重洲仲通りには立ち飲み屋もたくさんあります。先に見た「丸の内ブリックスクエア」とは対象的な雰囲気です。丸の内が東京駅の表・ハレ・光であるなら、八重洲は裏・ケ・影、と言えるでしょう。ひとつの駅の西側と東側にこれだけ雰囲気の違う町が広がっているのが面白い。
八重洲仲通りを先に進むと、皇居の大手門からまっすぐ伸びている永代通りに出ます。この道を西進すれば、やがて荒川に到達し、その先は千葉県です。
暗闇の奥に見えているのは、コレド日本橋という商業ビル。その左手側には日本橋があり、右に行くと銀座です。ちなみに日本橋エリアは三菱地所ではなく三井不動産が強い存在感を持っています。
三菱地所系の建物は重厚でゴチックな感じで、三井不動産系の建物はより線の細いモダンで洗練された感じ。どちらも方向性が違います。丸の内エリアと日本橋エリアを両方ポタリングすると違いがはっきりわかります。
なお八重洲仲通りの1本向こうは「中央通り」です。銀座と日本橋を結ぶ立派な道で、これも「ハレ」な感じがする華やかな道。八重洲という庶民的で雑然としたエリアが2つの「ハレっぽい空間」にサンドイッチされているのがなかなか興味深いとこの夜は思ったのでした。
ポタリングのアイデア
今回紹介した東京駅の丸の内側を一通り走ったら、永代通りに出て中央通りへ。そこから上野方面を目指し、最終的に浅草まで足を伸ばしてみると面白いと思います。昼でも夜でも楽しめます。
今回の撮影機材
この夜に持って行ったカメラはOLYMPUS OM-D E-M10 III。レンズはLUMIX G 20mm/F1.7 II ASPH.という35mm換算40mmの単焦点レンズ。AFは苦手ですが、画に魅力のある名レンズです。
本当は東京駅の駅舎を撮るなら超広角レンズも使いたかったところですが、この日は単焦点レンズ縛りにしました。マイクロフォーサーズはセンサーが小さいので高感度撮影には不向き。
昼間ならISO800でも問題なく撮れますが、夜の黒い空などは高感度ノイズがやはり出やすいのでこの夜はほとんどISO400, F1.7の設定で露出補正を常時-1.3〜-2で撮影しました。
それでもシャッタースピードは1/20になったりするのですが、E-M10は手ブレ補正が超強力なので急ぎのスナップ撮影でもなんとかブレブレの写真にならずにすみました。
今回のような「引き」の風景を多く撮るのであれば、LUMIX G 20mm/F1.7は本来F4程度まで絞ったほうが解像感が出ます。しかしそれではシャッタースピードが稼げない。しかもこの夜は非常に湿度が高かったせいか、全体的にややもわっとした感じの写真になってしまったのが反省点。
11月にイルミネーションがはじまる頃にはきっと空気がもっと乾いていて、もう少し良い写真が撮れると思います。
とにかく夜は丸の内側の撮影が面白いので、写真好きの方はカメラ片手に是非このあたりをポタリングしてみてはどうでしょうか。
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