オーストラリア初のトップチーム「グリーンエッジ」(現ミッチェルトン・スコット)の5年間に密着したドキュメンタリー映画「栄光のマイヨジョーヌ」が、2/28から東京と大阪の2館(少なっ!!)で上映がたぶん始まりました。3/12まで。
なんで「たぶん」かというと、例のコロナウイルスの関係で観に行くか悩んでおり、映画館にまだ行っていないからです。
なので感想は書けませんが(おい)、便乗して私がこれまで触れてきた、ロードレースを題材とした映画、エッセイ、ドキュメンタリー、マンガのオススメを10点紹介したいと思います。
花粉や寒さでライドに行けない休日は、脚ではなく目と耳でロードバイクを楽しんではいかがでしょうか。
各作品の紹介には微量のネタバレと、大量の主観が含まれます。
「栄光のマイヨジョーヌ」
公式サイトによると「選手ひとりひとりが(中略)信頼を糧に(中略)『本当に強いチーム』とはを描き出していきます」「企業戦士たちにも十分に参考になるチーム作りの秘訣が満載」。
であるならば、個人的には原題の「ALL FOR ONE」のままの方がよかったと思いますが、やはりマーケティング的には「ツール」「マイヨジョーヌ」といった単語を入れたかったのでしょう。
現状で触れておかねばならないのは、上映館の少なさ(涙)。
公式サイトをご覧いただきたいのですが、2/28~3/12→2館、3/13~26→5館、4/3~16→5館でしか観られません。しかも首都圏と関西圏だけです。
そしてこの状況下で映画館に行っていいものか、大変悩ましい(*行く/行かないについて、どちらか一方の選択を推奨する意図はありません)。
ただ、日本でパッケージ化やネット配信される期待は相当低いので、この機会を逃すと一生観られないかも。う~~~ん。もうしばらく考えます。
「EAT.RACE.WIN.」
アマゾンオリジナルのドキュメンタリービデオ(約30分×6回)。プライム会員ならいつでも無料で観られます。アマプラのオリジナルドキュメンタリーは本作以外も粒ぞろいでオススメ。
内容ですが、オーストラリアのプロチーム「オリカ・スコット」(現ミッチェルトン・スコット)が2017年のツール・ド・フランスを戦う様子を、チームに帯同する女性シェフを主人公として描いてます。
フランス郊外の美しい自然、体に良くておいしそうな料理など、観ているだけでお腹いっぱいになれます。チームの戦況は胃が痛くなる感じですが。。。
*っていうかこれを書いてて気づいたのですが、上記「栄光のマイヨ~」の「グリーンエッジ」と同じチームのことですよね。わお。
「疑惑のチャンピオン」
ランス・アームストロングの栄光と転落を描いた映画。ネタ自体は数あるランス本に載ってることの域を出ませんが、「ランス学入門」にはちょうどいいかと。
今は賠償金の支払いでド貧乏…なのかと思いきや、2018年12月のBBCの報道によると、「ウーバー」に草創期から投資してたおかげで暮らしぶりは悪くないもようです。不死鳥かよ。。。
「シークレット・レース」
ランスの元同僚で、自身もドーパ-(ドーピング常習者)だったタイラー・ハミルトンの自伝本。
小学館 (2013-05-08)
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ドーピングは悪!
だけど、みんながやっているとしたら?
やらないとクビだとボスに言われたら?
「ドーピング」を会社内や業界の悪習に置き換えたとき、あなたは/私はどういう選択をするでしょうか。
本書最終盤の一節に、私は涙しました。
そのとき、気づいたからだ。
〝ドーパーだったけど、最低じゃない〟
――それが、僕の物語だということに。
(中略)
大きな過ちを犯し、それでも現在を懸命に生きている男についての物語だった。
「敗者たちのツール・ド・フランス ~ランタン・ルージュ~」
ツールで総合最下位となった選手に贈られる称号「ランタン・ルージュ」を巡るエピソード集。
辰巳出版
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なまじの上位入賞者より注目され、スポンサーへのアピールになるため熾烈な争いが繰り広げられることもあるとか。過去には個人TTでわざとこけたり、仮病でトイレに行ったりする例もあったそうで。
他方、ダラダラ走ってるだけでは山岳ステージで足切り失格になるリスクがあるため、狙って取るのも楽ではありません。
翻訳本のためか筆致は淡々としていて、笑いや涙を期待すると肩すかしかもしれません。でも事実だけでじゅうぶん面白い。
「敗北のない競技:僕の見たサイクルロードレース」
日本人初のブエルタ・ア・エスパーニャ完走を成し遂げ、2018年に引退した土井雪広元プロのエッセイ。
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「プロトンは皆がライバルだが、同時に、ひとつのゴールを目指す200人の仲間でもある。これほど美しいスポーツが他にあるだろうか」
「影を見たくない気持ちは、正直言って分かる。たとえば、ドーピングなんてない方がいいに決まっている。でも、それがあることははっきりとしてしまった。ならば、より深く愛するためには、そこも含めてしっかりと見つめないといけないんじゃないだろうか」
終始直球で綴られる歓喜と苦悩は、読者への問いでもあります。「土井ちゃん節」は現役時代にいろいろ物議を醸すこともあったそうですが、業界のトップリーダーたる人はこれぐらい発信力があった方が頼もしいと思います。
さまざまなスポーツの試合後インタビューで「次もがんばるんで、応援よろしくお願いします!」という定型文コピペみたいなことしか言わない選手を目にすると「土井さんを見習え!」と言いたくなります(彼らもまた、コンプラ・ポリコレ至上主義社会の犠牲者なのだとは理解していますが)
「逃げ」
2014年の全日本選手権を丹念に描いたノンフィクション。
小学館 (2018-07-06)
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「逃げが逃げ切って勝つ」というのはリアルタイムで観戦中のレースとしては最高に面白い展開です。
…が、それを書籍として再構成する場合、当時レースを観ていた人はもちろん、観ていなかった人にも「タイトルで既にネタバレ状態」でどうやって最後まで読ませる作品に仕上げるのかなーと思ったんですが…全然ダレませんね。いやすごい。
「速くなる! 栗村修のロードバイク「輪」生相談」
元選手・現解説者の栗村修さんがウェブサイト「Cyclist」上で現在も連載している、読者相談コーナーの単行本。
洋泉社
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連載は第1回~最新回まで今でもネットで公開されていますが、いつまで読めるかは分かりません。本棚に永久保存する価値のある逸品なので、ぜひ単行本のお求めを。
人生相談って、無責任な慰めかお茶濁し、もしくは回答者のオ〇ニーのような珍答が多いというイメージがあって好きじゃなかったんですが、本連載は相談者に寄り添う栗村さんの温かな人柄が伝わってきて癒やされます。
「Odds」
往年の少年サンデー読者にはおなじみ石渡治氏の競輪漫画。シーズン2に当たる「Odds VS!」もあります。
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「競輪じゃん!ロードじゃないじゃん!」というツッコミはごもっともですが、主人公は元々はロードレーサー志望だったのでいいかなと。
国際スポーツの「ケイリン」が個人競技なのに対し、その源流の「競輪」が事実上のチーム戦であることなど、ハウツー物としての読み応えも高いです。もちろんレース描写は熱い。
難点は、レースのフィニッシュ時にヒロインがほぼ毎回披露する誰得なパンチラ・パンモロ。
はやめブラストギア
- ロードには「表」の世界とは別に、「裏」がある
- 裏ロード界を知りたければ、全国の有名な峠に行けばいい。立体駐車場や彩湖でもいい
- ただしモヒカンやツインテールや忍者のロード乗りにバトルを挑まれ、負けるとパーツを奪われる
- 負けても輪行袋をもらえる(こともある)ので、とりあえず家には帰れる
(奪られるパーツ次第では、負けた方がお得なのでは…?)
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*何を言ってるのか意味不明だと思いますが、ウソは言っていません
CBNマスター氏も過去に紹介しています。
ちなみに未読の状態でレビューサイトや掲示板を見ると「蟷螂王」「デスバレット」といった自転車マンガとは思えない謎単語の頻出で脳が破壊されます。。。
以上、10選でした!
みなさんのオススメも教えてください。