フレーム・完成車製品レビュー

Tyrell FXを持っているのに、タルタルーガが気になって仕方無いので思わず試乗してしまった結果。

前回のあらすじ!

へっぽこ脚のぼっちサイクリストnadokazuは、特大荷物スペースつき座席の制度施行後も、トラブルに巻き込まれる可能性を可能な限り小さくして東海道新幹線で輪行したいと考えた!

でも、そのためには

  • 折り畳んだときに、1座席分の横幅に収められる。
  • フロントダブルで、インナーが使える。

という、2つの条件を満たす折り畳みミニベロロードが必要。前から持っていた うどん県メイドのミニベロロードTyrell FXは、車輪を外す公式じゃ無い折り畳み方をしたら傷だらけ!

そんなわけで、タルタルーガが気になったところで、狙いすましたように横浜のオサレミニベロショップ「グリーンサイクルステーション」で、試乗会が開催されることに!

Tartaruga Type SPORT GT

この物欲の行く末、どうなる!?

折り畳みロードバイク、という誤解。

タルタルーガのドロップハンドルモデル「Type SPORT GT」と、ハイグレードモデルの「Type SPORT DX」を、実際に走らせてみて。また、開発者の方に直接お話を伺って感じたのは「自分は大きな誤解をしていた」ということでした。

これまでタルタルーガのことを「サスペンションを装備した、折り畳み小径ロードバイク」だと思っていましたが、その認識は間違いだったと言わざるを得ません。

▼Tartaruga Type SPORT GT

Tartaruga Type SPORT GT

▼Tartaruga Type SPORT DX

Tartaruga Type SPORT DX

確かにロードバイクであることには、間違いはないです。「ロードバイク的な性能と、折り畳み機能を両立させた小径車」として、脚のある方がその気になれば相当速く走れるポテンシャルはバッチリ持っています。へっぽこ脚の自分でも、機材の走行性能に頼り切ってダラダラ走ることができるでしょう。

なんですが、どちらかと言うと、「速さ」より「快適さ」にパラメータを振ってある。いわば「小径グランドツアラー」というのが、タルタルーガのキャラクターなのではないかと感じました。

ロードバイクよりも多くの荷物を積んで、時間に縛られず、不満のない(むしろミニベロをしては、かなり高いレベルの)走行性能を享受しながら、快適に長距離を走る。そんな楽しみ方がふさわしい性能を、タルタルーガは持っています。

サスペンションのチューニングが絶妙。

タルタルーガを「グランドツアラー」たらしめているのは、サスペンション機構が生み出す走行の快適性にあると考えます。

走り出してすぐに感じられる、乗り心地の良さ。路面の荒れた部分を通過しても、ガツン!とした突き上げをダイレクトには感じません。かといって、フニャフニャ感とは無縁です。

路面からの衝撃を上手く往なすように動作する、サスペンションのチューニングが絶妙なのでしょう。開発された方のお話を伺ったのですが、やはりこのチューニングには相当力を入れられたところだそうです。

▼タルタルーガのメインフレームとリア三角の接続部に装備された、サスペンション機構。

Tartaruga Type SPORT GT

とはいえ登坂時などには、サスペンションの存在を意識してしまいます(サスペンションを装備しない、Tyrell FXと比較すると特に)。ただ、そこで思いっきり力が逃げられている感覚は、あまり感じませんでした。それで、あの乗り心地が実現できているのなら、もうサスペンションがあって全然オッケー。

この尻への優しさなら、どこもまでもどこまでも走れてしまいそうです。

優れた後ろ三角の回転構造。

「BB部分にヒンジを設けて、フレームの後ろ三角を前方向に回転させる」という折り畳み機構は、タルタルーガもTyrell FXもほぼ同様です。ただしTyrell FXが前方のメインフレーム側にFDを残す(=後ろ三角と一緒には回転しない)のに対して、タルタルーガは後ろ三角の回転に合わせてFDも回転する構造になっています。

そのため、タルタルーガは「折り畳み時もチェーンラインが乱れない」という大きなメリットを獲得しています。これは素直に羨ましいですねー。

好き放題のカスタマイズは、しづらいかも。

そんなタルタルーガですが、駆動系のパーツ選定には制限が多い印象です。手持ちのロードで余ったパーツを活用して…とか、最新の高性能パーツを使いまくりたい…!という夢は、あまり広がりんぐしません。

たとえばFD取り付け部は、上方向のクリアランスが少なめ。なのでFDのサイズによっては、サスペンションと思いっきり干渉してしまいます。Di2やeTapでのカスタマイズは、多分無理でしょう。現行モデルに標準装着されているFDはMicroshift FD-R712F/352Fですが、それ以外に選べるFDあるのかな…。という感じです。

▼試乗車のFDは旧ティアグラとSORA

Tartaruga Type SPORT DX

Tartaruga Type SPORT GT

またブレーキもロングアーチタイプが採用されているため、選択肢が少な目です。現行アルテグラも装着可能のようですが、ショートアーチのブレーキは開放幅が不足気味でホイールが外しにくくなるらしい…とのこと。

▼試乗車のブレーキはテクトロ

Tartaruga Type SPORT DX

リアのホイールについてもフリーが10速用なので、11速化するには105の11-34Tなどの「10速フリーに入る11速スプロケを使う」という選択肢に限られます。

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そうそう、あとホイールなのですが上位グレード(Type SPORT DX)に装備されているホイールは、他のグレードのものと比較して、ハブの回転性能が明らかに、段違いで良いです。機材性能の差異感知能力が極端に低い自分ですら、乗り出した瞬間に違いがわかってしまうほどでした。

このホイールのためだけに、Type SPORT DXを選んでもいいぐらいです。

おりたたぶ仕様の新車は買えない。

ブルーのType SPORT GTは、もう生産されていないそうです。残念!なんですが、最近問い合わせが増えているとのこと。折り畳み自転車漫画に影響される自転車乗り、多すぎでしょう…。

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買うとしたらどうする?

好き放題のカスタマイズは諦めざるを得ないので「完成車ベースに、どうしても変えたいところを変える」という方向性になるでしょう。ただしホイールはDXを一度体験してしまうと戻れないカラダになってしまうので、そこは譲れません。

となると標準モデルにDX用のホイールを履かせた、グリーンサイクルステーション専売モデルの「Type-S KK」をベースにドロップ化とフロントダブル化と11速化を一緒にやってしまうのがコスパ良さそうです。フレームカラーは、ブラック限定になってしまいますが。

次回予告

小径車沼は前奏曲を奏で始める。

呆然と立ちすくむnadokazuの胸に物欲の雲が広がる。

試乗の果てに、どんな運命が待ち受けているのか。

歴史の歯車がきしみ始めた。

次回「お花茶屋の動乱」

Not even justice,I want to get truth.

真実は見えるか!

著者
などかず

美味しくご飯を食べることをモチベーションにペダルを回し、機材の性能に頼り切って「頑張らないことを頑張る」物欲系へっぽこ自転車乗り。リアルで自転車に乗れない週末にはZWIFTで合計100km以上のバーチャルライドを欠かさないものの、脚力や走行スキルについての言及は意図的に避けている模様。愛車はLOOK675、ブロンプトンCHPT3 V2、タイレルFX(これだけとは言ってない)。

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