「CL-KA56」というキックスタンドのレビュー記事です。ダブルレッグのセンタータイプのスタンドで、脚の長さを調節できます。本来は20〜28インチの車体で使用する前提の製品ですが、14インチ小径車のDahon K3に取り付けてみました。果たしてちゃんと使えるのか!? 品質や使い勝手はどうなのか? 見ていきましょう。
▼ この記事には続編があります。こちらもぜひ併せてお読みください
入手しやすい人気のセンタースタンドは2つある
本題に入る前に、ダブルレッグ・センタースタンドで入手しやすい定番製品は2つあります。ひとつはPletscher(プレッチャー)というメーカーによる「ESGE ダブルレッグスタンド」。脚の長さは必要に応じて金鋸やグラインダーなどで自分でカットする必要があります。メイド・イン・スイスとされており、やや高価です。商品名に”Pletscher”の表記がない場合があります。
もうひとつは「CL-KA56」という型番のダブルレッグスタンドで、国内の様々な代理店から微妙に違う名前で販売されています。こちらは脚の長さを4mmヘックスレンチで調節できるタイプ。
この記事で紹介するのはこの「CL-KA56」になります(筆者はGIZA PRODUCTSから販売されている個体を購入しました)。カラーはPletscherもCL-KA56もブラックとシルバーの2つが用意されています。実勢価格はCL-KA56がPletscherの半額以下。
ブランド名は「MASSLOAD」?
このCL-KA56、本体に「MASSLOAD」という文字が刻印されています。これがブランド名なのかもしれません。Amazonなどで商品写真にこの刻印があれば、大体CL-KA56だと思います。中には形状がそっくりだけれど「MASSLOAD」という刻印がないものも販売されており、そちらの品質がどうなのかはわかりません。MASSLOADという文字が見えるもののほうが安心かも。
私が購入したCL-KA56は、不具合もなく品質も良好でした。うっすらと機械油が塗られていました。付属品はチェーンステーをクランプするプレートとボルトとワッシャー、そしてシルバーの別のボルトだけです。製造は台湾。
Dahon K3(14インチ)に付けてみた
早速Dahon K3のキックスタンド穴に取り付けてみることにしました。この車体の場合、クランププレートは不要で、使うのはシルバーのボルト1本だけ(ワッシャーだけ拝借)。このボルトの反対側の空間はCL-KA56がピッタリフィットするようになっていて、まるで純正品であるかのように簡単に取り付けられました(たぶんスタンド用の規格があるんだろうけれど)。
装着するとこんな感じになります。脚がかなり前に出る感じになって「大丈夫なのか」とも思ったのですが、まずまず問題なく使えています。収納時は左のチェーンステー下部に2本の脚が並ぶように格納され、後輪を少し持ち上げて前方に蹴り出して使います。
そもそもなぜこのセンタースタンドを導入したかというと、これまで使っていたK3の(2020年以前のモデルの)純正スタンドはNUVOブランドのキックスタンド(写真下)で、タイヤをシュワルベ・ビッグアップルにしたところ車高が高くなり、停車時に結構斜めになってしまい不安定に感じていたからです(ハンドルを反対側に切って駐輪するなど、やや面倒でした)。
CL-KA56の高さ設定は私のK3の場合、下の写真のようにドライブサイドが下から2番目の穴、ノン・ドライブサイドが下から4番目の穴にするとちょうど良かったです(タイヤの高さなどで変わると思います)。両方の脚を同じ高さの穴に設定すると、車体が傾くので自分でちょうど良いところを探る必要がありました。
うちのK3の場合、このボルト位置で左右のバランスが取れ、後輪が地面から少し浮く感じになりました。好みによって、もっと上げてもいいのかもしれませんね。
安定感はNUVOのキックスタンドとは比較にならないほど良好です。しかし戦車並みの重厚な安定感がある、というわけではなく、フロントバッグが重い時などはそれなりに配慮しながらスタンドを立てないと倒れそうになることはありました。しかしそれでも、NUVOのキックスタンドよりははるかに安定。駐輪時のストレスが激減しました。
なお上の写真でわかるように、左クランクは停車時に干渉します。そのため変速調整のようなメンテは難しいのですが(必要もほとんどないけれど)、チェーンオイルの注油には問題ない程度のクランクの可動域は確保できるので、チェーン・ホイール・タイヤのお掃除やメンテも楽になりました。
個人的には大満足
これは素直に買って良かった製品でした。ネガは重量。NUVOのキックスタンドがわずか157gであるのに対し、CL-KA56は公称560g。400gもの重量増には正直躊躇するところもあったのですが、これまでポタリングメインで使ってきたこのK3を今後自転車ツーリングでも活用していく予定なので、利便性をとることにしました。荷物が多い時に活躍すると思います。
耐久性は、ものすごく高くはないかもしれない、という気がしています。いわゆるママチャリのセンタースタンドほどの剛性感は、ありません。しかしスポーツ自転車のスタンドとして丁寧に使っていくのであれば、まぁ極端に重い荷物を常時車体に載せているのでもない限り、2年くらいは壊れずに使えるのではないかという印象です。
Dahon K3で使う場合、写真でもわかるように脚が結構前に出てしまうので、リアキャリアに激重の荷物を載せておくとスタンドのクランプ部分に過剰な負担がかからないかどうかが気になるところですが、そのあたりは運用で気を配って解決するつもりです。
14インチのK3でも予想していた以上に普通に使えたのは、嬉しかったですね。
これで来月あたりにボキッと折れたりしたらもちろん減点対象ですが、このまま当分使えるなら星4つ(ちなみに公称耐荷重は30kg)。
折りたたみ機構への影響はどうか。筆者のK3では、ハンドルにインナーバーエンドを入れたりしているせいか、マグネットがピッタリ重なるほどきれいに折りたたむことはできませんでした。しかし雑にたたんだ状態でブロンプトン用の「かるが〜る」という輪行袋には普通に入ったので、私の場合は輪行でも問題なく使えることがわかりました。
センタースタンド、便利で気持ち良いです。自転車の楽しみかたに「駐輪する楽しみ」が新たに追加されたかのような気がします(傾かずに自立している自転車の姿が見ていて面白い)。
日本ではGIZA PRODUCTS/NOGUCHI/AKI WORLDなどで取り扱いがあります。Amazonでは「CL-KA56」で検索するとたくさん出てきます。