ツール・ド・フランス2021が昨日無事に終了しました。しかしパリ・シャンゼリゼに向かうプロトンにはアスタナのヤコブ・フグルサング(フールサン)の姿がありません。なんと彼は最終ステージをリタイヤしたのでした。
JSPORTSの実況解説でも栗村修さんが「東京オリンピックに力を入れると言っても、シャンゼリゼを走らないっていうのは考えられないなぁ」という感じのことをおっしゃっていて、私も「確かにそうだよなぁ、もったいない」と思ったのですが、もしかすると特殊な事情があったのかもしれません。
出典 Olympic Games: Fuglsang believes his Tour de France was wrecked by Covid vaccin – Cyclingnews
気分は悪くないが全力を出せなくなっている
Cyclingnewsによるフグルサングへのインタビューによると、彼は新型コロナウィルスの2回目のワクチン接種の副反応に苦しんでいたことがうかがえます。以下は記事の主要な部分です。
- 気分は全体的に悪くないが、自分を限界まで追い込めないでいる
- (能力が)制限されている感じで、いつものように身体に力を入れられない。自分をボロボロにしてしまったとか、そんなふうに疲れているわけではない
- 考えられる唯一の説明は、ツール・ド・スイスの後に2回目の新型コロナワクチンを摂取したことで全力を出せなくなっていること、私の身体がまだ戦っているというものだ。クラシックの後に1回目の注射を受け、テネリフェ島のトレーニング・キャンプで様々なテストをした。パワーに対する乳酸値は高かった。スイスでは調子が良かった
- その後2回目の注射を受け、レースでの2回目でのテストではテネリフェと同じ結果だった、私の数値は基本的に12月時点のレベルか、もっと悪くなっていた。今はそんな感じだが、そのうち良くなることに期待している
- スイスでは調子が良かったから、オリンピックでも調子が良くなることを期待して待っている。辛抱してベストを尽くさないといけないだけだ。レース開始前は完璧な状態だと思っていたので、フラストレーションが溜まった。スイスではタイムトライアルを除けば私はカラパスとウランと戦えていたから、この問題がなければツールではステージ優勝を狙えたと思う。こうしたことも勝負の一部だから、全てが元通りになるのを待たないといけない
- (日本には)2019年10月に行って、さいたまクリテリムの後にコースを下見した。どんなコースかは把握しているし、リオよりもハードだと思う。ゴール前35kmの上り区間はまっとうなヒルクライムで相当険しい。クライマー向けだ。東京はリオよりもハードなレースになると思う
- 東京オリンピックで勝てれば自分のキャリアの中でも最大の1日になるだろう。困難だし大変な戦いだが、ツールでは100%の状態でなかった代わりに、オリンピックでは好転すると良いと思っている。3年しか持たないタイトルだが、勝てたら巨大な勝利になる
副反応の度合いは人によって大きく異る
このニュースについて、海外掲示板Redditでは次のような感想が見られます。
- これはわかる、昨日ワクチンを接種したけれど(24歳)今日はボロボロだ
- 1日間はノックアウトされたけど、パワーが接種前のレベルに戻るまで3週間かかった
- フグルサングはパフォーマンスが悪いといつも言い訳だらけだが、今回の言い訳にはドン引きする
- でも彼はいつもよりずっと調子が悪そうだったよ。悪い言い訳なのかもしれないが、ツール・ド・スイスではずっと調子が良さそうだった
- 私は昨日ワクチン接種を受けたのですが、今日は自転車に乗るどころではありません。でも(フグルサングが接種したのは)1ヶ月前だったんですよね?
- ワクチンは人によって副反応にかなり違いがあるようだ。私は最初の注射の後は問題なかったし、ファイザーの2回目の注射の翌日には71kmを問題なく乗れた。でもガールフレンドは1回目の注射のあと2日間具合が悪かった
- 私は元通りになるまで4週間かかった。熱心なサイクリストで(アマチュアレーサー)、40歳です。生活がメチャクチャになった。こういうことが起こる人もいる。フグルサングもそうだったとは言わないけれど、100%ありうる話だ
- 2回目の接種の後、回復まで1ヶ月かかった同僚がいます。でも彼は60歳です。受けないよりは良かったとは思いますが。フグルサングはもっと早く受けておいたほうが良かったかもしれません
フグルサングは不調をワクチンのせいにしている、という手厳しい意見もあるのですが、実際にワクチンを接種した人からは「これは本当でも全然おかしくない話」という声も目立ちます。
彼がツールの最終ステージを棄権したのはこんな事情もあったものと思われます。2016年のリオ・オリンピックではロードレースで銀メダルを獲ったフグルサング。東京でそれ以上の成績を残せるといいですね(余談ですが、ツールの落車で膝を負傷したピーター・サガンは結局東京オリンピックを辞退しています。残念!)。
実はこの記事を書いている筆者も1回目の注射を受けたばかりですが、いま自転車に乗るのは… はい、100%無理です(笑)。レースやイベントに参加するサイクリストは、今のところ好きな日程を選べるわけでもないので、どのタイミングでワクチンを受けたら良いのか悩ましいのではないでしょうか。
ワクチン接種を予定されている方は、いまのうちに情報を収集しておいたほうが良いでしょう。
参考 ワクチンの安全性と副反応|新型コロナワクチンQ&A|厚生労働省
▼ 解熱剤と水は用意しておいたほうが安心です。