L-TWOO RX(12スピードメカニカル油圧コンポ)についてYouTubeと海外掲示板にレビューが寄せられており、一定の共通点が見られるのでご紹介します。最初にまとめておくと、小さい手の人には良いコンポ、ブレーキの効きはメチャクチャ良い、だが品質に問題がある? という内容です。
左シフター折れ・リーチアジャストのネジが問題。ブレーキは素晴らしい
Cade Media(チャンネル登録者数 21.9万人)による動画レビュー「First Ride On L-TWOO RX Hydraulic Groupset from AliExpress」から概要を抜粋・抄訳します。
- AliExpressで買ったL-TWOO RX油圧グループセットを使ってみた。初回のライドで左のシフトレバーが折れてしまった。組み立ててシフトしたら、すぐ折れた
- AliExpressのL-TWOO公式ショップ(購入先)に連絡したところすぐに左シフターの代替品を送ってくれるそうなので、あらためてまた報告するつもりだ
- ブレーキは狂ったように良い。L-TWOOのパッドが付属していると思うし、世界最高のパッドではないと思うのだが、グリップが良く素晴らしい。もう少しモジュレーションが欲しいなら、適合するシマノのパッドなどに換えれば改善すると思う
- ローターは付属しないためShimano GRXの160mmローターを前後で使っている
- 右(リア)のシフトはとても良い。カセットはAliExpressで買ったZTTOの超軽量アルミ製品を使っているが、これはインデックス調整が簡単ではなく、チェーンが少しジャンプすることがあり悪名高いものだ
- しかしSRAMの新品の12スピードチェーンを投入してみたところ、バッチリ最高に動作する。ただしフロントがアウターの時の変速は、メンテナンススタンドの上でしか試せていない
- レバーの握り心地は良く、ボタンはドロップを握っていても届きやすい
- 一度に3段、4段のシフトができる。リアディレイラーはロングケージなので最大34Tまでのカセットが使える
- ブレーキレバーのリーチは、ブリードとセットアップが終わってから小さいアレンキーをレバー前面に差し込んで調整できるのだが、回しすぎてしまったところネジにストッパーがないので向こう側に落ちてしまい、レバーを外さないと戻せなくなった(ニードルノーズプライヤーで反対側から戻す必要がある)。ほとんどの人はこれはやりたくない作業だろう
- レバーのエルゴノミクスは個人的に好きではない。たぶん手が小さい人向けだと思う。私は手がかなり大きい。ブラケットを握っているとボタンが邪魔になる。しかしレバー上側のサイズはかなり良くて好きだ。ブラケットは握る場所が豊富で、ちょっとしたエアロポジションを取る時など安心感がある。カンパニョーロとSRAMのデザインを参考にしているのだろう。SRAMのレバーに非常によく似ているが、その既存デザインにボタンを付けると問題が出てくるだろう
- 電動のeRXにはこのボタンがない(から問題にならないかもしれない)
- 自分で組み立て・メンテナンスができない人は購入を避けたほうが良い(リーチ調整ボルトの件もあり、ショップは普通嫌がるだろう)
左シフターはやはり折れた。ブレーキは素晴らしい
以下はRedditの「LTwoo RX Hydraulic: A lot of potential wasted by poor QC(L-Twoo RX油圧グループセットには多くのポテンシャルがあるが、貧弱な品質管理のせいで台無しになっている)」というスレッドから。
- セットアップ後すぐ、リアディレイラーのプーリーケージが外側に傾いていることに気付いた。ワイヤーテンションやリミットスクリューを調整してもまっすぐにならない。スプリングテンションも貧弱で、楕円チェーンリングとの組み合わせではチェーンの保持力が貧弱でチェーンスラップも多く起きる
- プーリーケージが真っ直ぐでないため大ギア2枚にはうまく変速できないし、できてもノイズが多くスムーズなライドにはならない。カセットとチェーンはShimano 105を使っているがそれでもこの状態だ。大ギア2枚以外では変速はもっと良くなりスムーズだ(※筆者注:プーリーケージの外側への傾斜はShimano 11/12スピードでも設計上そうなっているという意見があり、スレ主さんの個体が必ずしも不良品ではなく、他のところに問題を抱えている可能性もあります)
- Francis Cade(先に紹介した動画レビューの人)は左のレバーがシフト中に壊れていたが、私も全く同じ問題を経験した。最初のライドで500mももたなかった。フロントディレイラーにはほぼ問題はない。使えている時は左の変速は非常に良く、Ultegra 6800と同じくらい快適ではあった。AliExpressのセラーに連絡したが、いまのところ返信は全くない
- ディスクブレーキは嬉しいサプライズだった。正直ここまで良いとは思っていなかった。ブレーキングパワーは大きく、非常にスムーズで、モジュレーションも多く得られる。自信を持ってブレーキングできる。しかしレバーのトラベル量は良くない。フルパワーを得るにはハンドルバーぎりぎりまで握る必要がある。フード形状は私の手には非常に良いので(とても小さい手です)大きい問題ではないが、パッドがローターに接触するまでのプリ・トラベル量はそれでも大きいと思う
- フードの形状やシフトのメカニズムは、小さい手の人により向いていると思う。手が大きい人だとサムシフターに親指を合わせるのが大変であろうことは容易に想像できる。しかし私のように手が小さい人なら、フードは快適に握れるし、多くのポジションが得られる。私の短い指でも、ドロップを握っている時でさえすべての可動パーツを問題なく操作できる。4段のシフトアップと3段のシフトダウンは驚くほど良く、信号で止まったり駐車中のクルマを抜けていく時など都市部では有用だ。クリックとフィードバックは音と同様に良い感じで、SRAMが好きな私には良い。自分とバイクの間のインタラクションがより楽しくなる
- このグループセットと中華ブランド全般について否定的な意見を持っている人が多いのは知っているし、そのうちいくつかの意見については不当だと思うものもあるが、現時点でこの製品の品質管理の貧弱さは擁護できないのも事実だ
まとめ
このお二方の意見をまとめると、
- 左のシフトレバーには強度不足で折れてしまう個体が複数存在する
- 手の小さい人には使いやすい。手の大きい人にはサムシフトレバーが邪魔になる
- ブレーキレバーのリーチは初期状態では大きい。調整用のネジはストッパーのないイモネジらしく、落としてしまったら戻すのが大変だ
- ディスクブレーキの性能は相当良いものらしい
- リアで良好な変速を実現するためにはチェーンとカセットの組み合わせをいろいろ試す必要があるかもしれない
といったところでしょうか。Redditで報告されている「プーリーケージが曲がっている」件は、変速不良の原因なのかどうかちょっとわからないところはあります。Cade MediaではSRAMチェーン+ZTTOカセットでバッチリ変速する、とのことなので、トラブルシュートする時にこの組合わせを試してみればリアディレイラーの品質に問題があるかどうか何かわかるかもしれません(ハンガーが曲がっていないかも勿論チェック)。
「ストッパーのないイモネジ」は中華パーツあるあるのような気がします。精密な工具を使ってじっくり作業できる方なら対応できそうではありますが、L-TWOO RXではリーチアジャストが必須のように見えるのでイモネジを回しすぎないよう慎重にやったほうが良さそうです。
いずれにしても現在出回っているロットには品質上の問題がありそうな気はするので、新登場のeRXについても安定品質が確認されるまで少し待ったほうが良いのかもしれませんね。