ディレイラーハンガーのないダイレクトマウント・リアディレイラーを大きい特徴とするSRAM Eagle Transmissionの登場が先日大きい話題になりましたが、なんとシマノによる類似システムの特許申請文書が発見されました。Bikeradar等海外メディアが報じています。
出典 Is Shimano about to ditch derailleur hangers? Patent reveals direct-mount derailleur design – Bikeradar
出典 Shimano Patent Shows Direct Mount Electronic Derailleur – Pinkbike
出典 US2022204135A1 REAR DERAILLEUR
Bテンションスクリューありで複数カセットに対応・ワイヤレスか
以下、リンク元記事の概要・抄訳です。
- 2022年6月にShimanoがダイレクトマウント・リアディレイラーの特許を申請しており、承認されていたことがわかった
- 特許文書によるとディレイラーがリア・ドロップアウトを直接サンドイッチしているような図解がある。ディレイラーハンガーをなくし、スルーアクスルで保持されている。ShimanoがSRAMのT-Typeダイレクトマウント・リアディレイラーに類似したデザインに移行しつつある可能性が示唆される
- この特許の目的は「改善したユーザビリティを備えるリアディレイラーを提供する」ため、とある
- ディレイラーのマウント部にはハブ軸の中心軸が通る開口部があり、マウント部は1個のジョイント部を含む、または一切のジョイント部を含まない
- リアディレイラーにはバッテリーを搭載する(またはディレイラーから離れた位置にあるバッテリーに接続する)ことも可能だ、とある
- 何らかの形態のダイレクトマウントであり、ワイヤレス電動式である可能性がある
- SRAM Eagle Transmissionとの大きい違いは、ShimanoバージョンにはBテンションスクリューがあることだ。これによりディレイラーとカセットの間の距離を調整できる(SRAM T-Typeディレイラーは10-52カセットでの使用を前提としているためBテンションボルトがない)
- Shimanoが2003年に発表した最初のSaintグループにはダイレクトマウント式リアディレイラーがあった
- Shimanoは2012年にDRD(ダイレクトマウント・リアディレイラー)規格をデビューさせており、それは従来式ハンガーのアッパーリンクを置き換えるものだったが、ディレイラーはドロップアウトの下方にマウントされる仕組みだった。最新のパテントによれば、アクスル・ドロップアウトに(同軸で)直接マウントするデザインもあり、これはShimanoにとっては初めてのものとなる
- T-Type Eagle Transmissionに先行して、SRAMは2019年にUDH(ユニバーサル・ディレイラー・ハンガー)スタンダードを導入した。T-Typeディレイラーを使用するにはフレームがUDHに対応していなければならないが、Shimanoのこのシステムがフレーム設計にどのような影響を及ぼすのか、UDHと互換性があるのかどうかはわからない
- 特許が製品で使用される保証はないが、SRAM T-Typeの公式発表を考えると、Shimanoからのカウンターパンチは、ないというよりあると考えほうがいいだろう
気になるUDHとの互換性
SRAM Transmissionについては、海外掲示板でもシマノはこの動きに追随せず、信頼性の高い現行のハイエンドMTBコンポを熟成させていってくれれば良い、という意見が多く見られ、私も「まあ放っておくんだろうな」と思っていたのでこれは少し驚きのニュースでした。オンロード製品とは当分無関係かとは思いますが、ハイエンドMTBはダイレクトマウント・リアディレイラーが未来の規格になっていくのでしょうか。
この特許はE-BIKEに特化した12スピードXTR Di2のためのものとも思えるのですが、場合によってはノーマルXTR/XTで将来的にダイレクトマウント・リアディレイラーが採用されてもおかしくなさそうです。その場合気になるのはやはりUDHとの互換性。フレームメーカーがSRAM用フレーム、SHIMANO用フレーム、と作り分けるような状況は想像しにくいので、暗黙的にほぼ同じ規格になったりするのでしょうか。