CBNの崩壊地区で育ち、
自らのブツヨク能力を頼りに生きる中年、nadokazuは、
ささいな事件から、さまざまな思惑の中に巻き込まれることになる。
というわけで、今回の駄文はこちら!
え!?神奈川を走るイベントじゃないの?
鎌倉。それは言わずと知れた、1192年に開府(歳バレ)した古の都。
足利高氏の裏切り、北条時行の逃亡、そして2年後の「中先代の乱」での奪還などなど。歴史モノの顔をしながら「主従逆転ごっこ」みたいなのを投げつけてくる作品でもなじみの深い、教科書で習った歴史の舞台です。
大仏、寺社、江ノ電、そして海と山。そんな鎌倉で開催されるサイクリングイベントが、「かまくら・ライド2026」!
……というのは、大間違い。イベント名の「かまくら」は北条時行が取り戻した都(でも最後は…)ではなく、雪で作るほうの「かまくら」だったのです。
かまくら・ライド2026、正式名称「旬感よこて!フルーツ&米ロード かまくら・ライド2026」が開催されるのは、秋田県の横手市。神奈川県鎌倉市からは、直線距離で約450kmの彼方ちゃんです。

公式サイトより引用
日帰りは不可能。交通費と宿泊費だけで家計がとんでもねーダメージを受けることが確定していますから、普通なら鋼鉄の意志でスルーする以外の選択肢はありません。
ですが、公式サイトに並ぶ
『地域の風景とグルメを楽しみながら走るサイクリングイベント』
『雪深いからこそ美味しい横手の「あきたこまち」はもちろん、それを引き立たせるご飯の友の数々。ご当地グルメの「横手やきそば」や旬のフルーツもたくさん用意』
という、数々のパワーワードが心を揺さぶります。

公式サイトより引用
だって約110kmのコースに、10カ所のエイドがあるんですよ!?約11km走るたびに地域の名産品で補給が受けられるって、ホスピタリティ過剰すぎませんか?
「こんなエイドがそろい踏みなのに、迷惑だって思ってる奴いる!?」
「カロリー過剰摂取に日和ってる奴いる?」
「いねえよなぁ!!!?」
次の瞬間、私はエントリーボタンを押下していました。
110km?それならブロンプトンでも楽勝でしょ!(※フラグ)
無事にエントリーが完了し、次は自転車の準備を…と考えたところで問題が発生。メイン機のTyrell FSXが、先日の「直江津集合」で200km以上を雨天走行してズタボロになってしまったのです。浦安のbelieveさんにお預けしましたが、クリーニングとオーバーホールをフルコースでお願いしてしまったので当日に間に合わないのは確定しています。
それなら予備機のTyrell FXで…と普段なら思うのですが、心の中の魔獣が耳元で囁きました。
「たかが110kmだぜ?霞ヶ浦一周にすら及ばないんだから、ブロンプトンでも余裕じゃね?」
そういえば自分のブロンプトンは、つい先日
「ANTARESのカーボンホイール装着」
「外装7速化」
さらに「チェーンリング換装(50T→54T)」という、それなりにガッツリめの改造を施したばかり(もちろんすべてショップ様にお任せ)。走行性能は、間違いなく向上しているはずです。
そしてブロンプトンなら、JR東日本の新幹線に設置されている荷物置き場(東海は東の爪の垢を煎じて飲んでください)への収納が可能。無理に最後尾座席を抑える必要もなくなり、窓側座席の確保しやすさも段違いになります。「圧倒的にラクチンな輪行」が約束されるのは、最高!のひと言。
私は、ブロンプトンでの参加を心に決めました。
交通費を節約するには?
会場間近のルートインを確保して、残る検討事項は現地までの交通手段。まぁ、ここは普通に考えて秋田新幹線一択でしょう。
秋田新幹線で、東京から横手へ。
東京駅6時32分発の「こまち1号」なら、大曲駅到着は9時45分。10時16分発の奥羽本線に乗り換えて、横手駅には10時34分に着きます。乗り換え待ちも含めると4時間2分ですが、実際の乗車時間は約3時間31分。そのうち3時間13分は「こまち」に乗りっぱなしです。新幹線車両に(ミニ規格だけど)ずっと乗車していられるのは、輪行の快適性という意味でも高ポイントと言えるでしょう。
だがしかし!
秋田新幹線利用は、最も高額な輪行プランでもあるのが悩みの種。乗車券+指定席特急券で、実に1万7,590円ですからねぇ。
北上線を経由して、横手に向かってみる。
それじゃあ、ということで別のルートを引いてみました。東北新幹線を北上駅で降りてしまい、北上線で横手駅まで向かうプランです。
秋田新幹線が盛岡駅から大曲駅方面に回り込むように走るところを、北上駅から西方向へショートカット。距離は減るはずだし、在来線の乗車が増える分だけ料金も割安方向に変わるはず。
もしかして、コレが大正解なんじゃね!?
鼻息を荒くしながら調べを進めていると、なんだか様子がおかしいことに気づきました。
そう、北上線は2026年8月の大雨で被災して、経路中盤の「ほっとゆだ駅」から横手駅までが不通(代行バスによる運行)になっていたのです。
北上線は、大雨による盛土流出等の影響により、当面の間ほっとゆだ駅~横手駅間で運転を見合わせます。北上駅~ほっとゆだ駅間は、通常どおり運転いたします。今後の見通しは、分かり次第お知らせいたします。代行輸送は行いません。詳細はJR東日本HPをご確認ください。https://t.co/HKV6c7XLUA pic.twitter.com/a0sqYPrdYL
— JR東日本【東北エリア】運行情報 (公式) (@JRE_Tohoku_A) August 4, 2026
おいまじか。
とはいえ、ほっとゆだ駅(なんか高輪ゲートウェイみを感じる駅名だねぃ)から横手の前日受付会場までは、約35km。RWGPSによると獲得標高286m/下降453mで、明らかな下り基調です。
これ、自走余裕っしょ?
それに東京駅から「ほっとゆだ」駅までなら、秋田新幹線ルートより安くて速いので家計観点からも極めて魅力的です。
イベント当日だけでなく、前日もサイクリングできちゃう。なんか、オラわくわくしてきたぞ。慌てる旅ではないし、これでいいかも!
そうと決まれば新幹線だけ予約して、あとは当日を待つだけ……になったところで、新たなリスク要因が浮上してきました。
それは、このところの不安定すぎる天気。
晴れ予報のはずなのに、当日になったら雨!みたいなケースを、想定しないわけにはいきません。イベント開催日であれば、100万歩譲って諦めることもできます。だとしても前日まで雨天走行になるのは、あまりにもイヤすぎます。
イヤだ……イヤだよ……雨の中を走るのは、もうイヤなんだよう……。
否が応でも蘇ってくる、直江津集合で200km近くを雨天走行した悪夢の記憶。
雨天リスクを鑑みて、自走が避けられない北上線プランは却下!
山形新幹線を使ってみよう!
ということで急浮上してきたのが、山形新幹線プラン。
東京駅から山形新幹線「つばさ」で終点の新庄駅まで行き、そこから奥羽本線を乗り継いで横手駅を目指します。
このプランのデメリットは、乗り換え回数が増えること。
奥羽本線の新庄駅〜院内駅間は、2024年の豪雨災害からの復旧時に電化設備が撤去され、非電化区間になっています。新庄駅から横手駅方面に向かうと、途中駅での乗り換えが確実に発生するのです。
同一ホームで乗り換えが可能なのが救いですが、それでも輪行移動において乗り換える回数が増えるのは大きな大きなマイナス。
さらに運行本数の少なさもあって、所要時間も増えまくり。
雑に調べた最短プランでも、東京7:12発で新庄駅10:46着。11:18発の奥羽本線に乗り換えて横堀駅12:11着。さらに12:17発の秋田行きに乗り継いで、横手駅には12:53の到着です。
東京駅から横手駅までの所要時間は、実に5時間41分。
秋田新幹線ルートの4時間2分と比べると、実に1時間39分も余計にかかります。
とはいうものの、交通費は乗車券+山形新幹線の普通車指定席で1万4,340円と大幅抑制が実現。秋田新幹線ルートの1万7,590円との差額は、実に3,250円になります。エイプリルフールのネタかと思っていたら本当に発売された高額グッズにだって、手が届きそうな勢いです。
しかも北上線プランと異なり、万一の雨天でも「本番前日なのにズブ濡れ」という状況が100%回避可能!
というわけで、1回押さえた「やまびこ」の車両最後尾窓側座席をキャンセルして、「つばさ」の指定席を確保し直しました。
東京から横手までの移動経路まとめ
| ルート | 乗車時間 | 乗換待ち | 所要時間 | 費用 | 差額(秋田新幹線比) |
|
秋田新幹線 (東京〜大曲〜横手) |
約3時間31分 | 約31分 | 約4時間2分 | 約17,590円 | |
|
東北新幹線+北上線 (東京〜北上〜ほっとゆだ+約35km自走) |
約3時間10分 | 約11分 |
約3時間21分+自走 (2時間ぐらい) |
約14,820円 (ただし自走あり) |
−2,770円 |
|
山形新幹線+奥羽本線 (東京〜新庄〜横堀〜横手) |
約5時間4分 | 約37分 | 約5時間41分 | 約14,340円 | −3,250円 |
山形新幹線を使って、横手に向かえ!
はじまりはいつも雨。
かまくら・ライド前日の朝、つまり出発日がやってきました。iPhoneのアラームで起床して、荷物を背負ってブロンプトンで家を出ようとすると路面が水浸しです。パラつく程度ではありますが、思いっきり雨が降ってるYO!なんという幸先のいいスタートでしょう(さめざめと泣きゐたる)。
覚悟を決めて、駅までそのまま走行。案の定濡れそぼりましたが、準備しておいた使い捨て雑巾でブロンプトンを拭いて、濡れた事実はなかったことになりました。
今回使用した輪行袋は、キャスター付きの「ころが〜る」。
▼ 参考記事

輪行規定に抵触することなく駅構内をコロコロ移動できて、自転車運搬負荷が爆下がりする「ころが〜る」ならではの恩恵はまさに絶大です。「つばさ」は7両編成なので、ホームの上野寄りにちんまり停車。しかも、座席は先頭車両!ホーム端までの移動を余儀なくされましたが、疲労度は最小限に留められています。
荷物置き場にブロンプトンを収納すると、「つばさ」は新庄駅に向かって動き始めていました(赤チェックの鞄に付けられた、推しバッジが気になりすぎるぞ…!)。
摂取カロリーを抑制せよ!
このところ体重増が、もうシャレにならないことになっています。11月には獲得標高2,002m、最大勾配23.0%(公式RWGPSによる)の、登坂地獄イベントも控えているというのに!
▼ 参考記事


摂取カロリーを控えねば、去年以上の艱難辛苦を味わうことになるのは確実。たいへん誠に非常に不本意ではありますが、愛する「チキン弁当」の購入を血の涙を流しながら断念しました。
代わりに選んだ朝食駅弁は、大船軒サンドウヰッチ。パンがうまい。ハムもうまい。チーズもうまい。並んだストライプに、幸せがギッシリ詰め込まれています。チキン弁当と並んで本品も、最上級の朝を約束してくれる1品です。
雑に調べてみたらチキン弁当は約844kcalで、大船軒サンドウヰッチは約402kcal。朝イチの駅弁選定だけで、なんと約440kcalもの摂取カロリー削減に成功しました。これは体重の大幅低下も、大いに期待できるでしょう。
あまりにもクレバーな選択。自己満足に浸っていると、車内販売のお姉様がいらっしゃいました。
「アイスクリームはいかがでしょうかー」
「ある」のがいけない!!!
「ある」のがいけない!!!!
許すまじ、新幹線車内販売!!
福島駅から奥羽本線区間へ入ると、あからさまに勾配が上がり始めました。フル規格新幹線ならトンネルと高架でまっすぐブチ抜いてしまいそうな山を、大きくカーブして迂回しながら高度を稼いでいく線形は蒸気機関車で山越えをしていた時代背景を感じさせますなぁ。
旧スイッチバック施設の遺構を横目に見ながら山間を抜けて、盆地に降りて、また山間へ。目まぐるしく変わる車窓を眺めていると、あっという間に新庄駅へ到着しました。
朝イチの「つばさ」に乗車したので、乗り継ぎの待ち時間は1時間以上。普通ならスマホでもいじりながら、ただただ時間が過ぎるのを待つしかできないところでしょう。
だがしかし!
手元には、輪行最強自転車(日本陰キャ自転車乗り協会調べ ※n=1)のブロンプトンがあります。荷物をコインロッカーに叩き込み、サクッと展開すれば新庄プチゆるポタの準備完了です。
乗り継ぎ待ちの時間を使って、新庄をゆるポタする。
まずは、駅付近の赤煉瓦車庫と転車台を見物。駅の反対側に回って、レトロな商店街に立ち寄りつつ最上公園の手前まで走行しました。
新庄駅で降車するのは今回が初めてでしたが、街の至るところに昭和が残っていて短時間のゆるポタでもかなり楽しめています。
個人的に気に入ったのが、「急行食堂」。かつて長距離旅客列車の拠点駅として隆盛を極めたことを彷彿とさせる店名と、看板の手書き文字。添えられたイラストも、味がありすぎる!
それだけでも強いのに、掲げられていたコピーがツボりました。
「テレビ・ラジオに数回出た店」
\ 数回 /
いくらでも盛りようがあるところを、正直に書いちゃうのが可愛い。好き。
瞬く間に時間が過ぎて、発車時刻が迫ってきました。万一乗り遅れたら2時間以上待つことになるので、100%確実な時間に戻ります。新庄駅構内に掲示されていたカラフルなパネルや、
天狗のイメージキャラクター(どうして天狗なんだ…?)のボードをチラ見しながら、ホームへ。
ここからは、在来線区間。座席もロングシートになって長く苦しい旅…かと思いきや、沿線風景やランドマーク、気になった駅名などについてAIに検索させていたら一切退屈しませんでした。AIゴイスー。
途中で下車する、2つの理由。
横堀駅での乗り換えを経て下車したのは横手駅の手前、十文字。
あなたですよ、田名辺治朗先輩。
ここからは、ゆるポタしつつ前日受付の会場まで自走します。
なぜ、わざわざ手前の十文字駅で降りるのか?理由は2つ。
ひとつは、ご当地ラーメンの「十文字ラーメン」でランチにしたいから。
極細麺に、透明感のある醤油ベースのスープ。そこにお麩が浮かぶスタイルの、十文字ラーメン。かなりあっさり目の味わいで、濃厚タイプのラーメンとは対極にあります。これなら、カロリーの罪悪感も薄い…気がする。
そしてなにより、「チャーシュー麺が650円」という平成価格!
いろいろと、美味しゅうございました。
理由の2つめは、「今日じゃないと十文字周辺は観光できない」から。
翌日の本番では、十文字周辺もルートに含まれています。ですが「増田のまちなみ」「横手市増田まんが美術館」などは、すべてスルーです(そりゃそうだ)。
コースに入っていないこうした場所を、前日に拾っておく。そんな気になれるのも、輪行形態からの展開が爆速で完了するブロンプトンならではでしょう。
「かまくら・ライド2026」いよいよ本番!
翌朝は5時に起床して、会場へ。前日受付を済ませているので、迷うことなく到着できています。参加者が続々と集まっている様子を眺めつつ「いよいよ始まるな〜」などと思っていたところで、ふと気づきました。
起きてから、何も食べてない!
これから100km以上走るのに、朝食ゼロ。いくらカロリー摂取抑制中とはいえ、非常によろしくありません。コンビニに行って何か買ってこなくては…と思ったところで、開会式が始まってしまいました。終了。
主催者挨拶によると、今回で6回目の開催で参加者は310名。北海道から九州までの各地から来場していて、上は昭和22年生まれ・下は平成30年生まれと年齢層も幅が広い、とのこと(最遠隔地、最年長、最年少の参加者には記念品が出ていました)。
さらに挨拶には、横手市長も登壇。日曜の早朝なのに!
そして会場で印象的だったのが、スポンサー企業の多さ。パネルに並ぶのは、ほぼ地元企業のロゴです(…ですよね?)。
スタッフやボランティアの姿も非常に多く見られて、スポンサー、スタッフとボランティア、そして行政が一体になって地域全体で参加者を迎えている。そんな空気を感じました。
横手市の個人的好感度、一気に爆上がりです。
(チョロい自覚はあります)
いろいろ気が利いてる!
参加者用のゼッケンは、よくある安全ピンで留める方式ではなくジャージに直接貼り付けるシール式になっています。穴を開けなくて済むうえ、手間も減らせる。地味ですが、こういう配慮はとても嬉しいですね。どの都道府県から参加したのかが分かるアイコンまで入っていて、運営様の「参加者を楽しませよう!」という気概を感じます。
また「これはすごくいい!」と思ったのが、サポートライダーさんのゼッケンに書かれた「ゴール予定時刻」。
「このサポートライダーと走れば、この時間にゴールできる」ということが、一目で分かります。走行中のサポートライダーを見かけるだけで、自分の走行ペースが直感的に把握できる。これは他のイベントでも、ぜひ真似してほしいですねー。
まぁ、自分の場合は「またサポートライダーさんにぶっちぎられた…この時間にはゴールできないのか…」という絶望の仕組みですけどね!
いきなりハイペース!脚は持つのか!?
いろいろ感心していたら、スタート時刻になりました。最初のエイドまではサポートライダーの後について走る集団走行で、追い抜き禁止です。まあ序盤だし、ウォーミングアップ程度のペースでしょう。とか思っていたら…なんか速くない?
こちとら自他ともに認める貧脚で、しかもフロントシングルの折り畳み小径車。こんなスピードで引っ張り続けられたら、瞬く間に脚力が売り切れてしまうでしょう。
「もしかして…このペースがずっと続く?ヤバない?」
と、思っていたら最初のエイドに着きました。
区間距離短すぎィ!!
最初のエイド食は、二口で終了!
スタートから11.8km。最初のエイドである「オアシスエイド黒川」で提供されたのは、ミニハンバーガーとポテト。そして、アルミパウチ入りの葡萄ジュースでした。
朝食を抜いた自分には、実にありがたい!のですが。
ハンバーガーちっさ!
ポテトもちょびっと!!
こんなの、2口で瞬殺です。腹の足しになるどころか、むしろ空腹を加速させるだけでした。どういうおもてなしやねん!
お米農家の皆様に、圧倒的感謝…!
ここからは、フリー走行区間。自分のペースで走れます!ということですが、もちろん平均以下の速度しか出せません。
どうせこの先、ありとあらゆる参加者に抜かれまくる未来が確定しています。それなら、ということでさっさと出発しました。
しばらくすると、目の前には田園風景が広がります。ちょうど稲が実る季節で、一面が黄金色。風が吹くと稲穂が一斉に揺れて、まさに黄金色の海!そして、その向こうに見える鳥海山。
見渡す限り広がる、たわわに実って頭を垂れる稲穂。こんな風景を見ながら走っていると、お米農家の皆様への感謝の気持ちが湧きあがります。
心からの敬意と感謝…圧倒的感謝…!!
日本のお米は世界一ィィィ!!
冷製ポタージュ、しょっぱくてうまい!
次のエイドは、アグリエイド大雄(18.2km地点)。提供されたのは、野菜のポタージュ(冷製)とミニトマトでした。
ポタージュを口に入れると、強めの塩味が広がります。走って汗をかいた身体を直撃する、冷たさと塩分。
「しょっぱくて…うまい!」
この塩加減を決めたシェフは、賞賛に値するでしょう。
ただし!
胃袋はガラ空きのままで、いっこうに満たされる様子がありません。
不服を申し立てるお腹を抱えて、再び出発します。
地元グルメの本丸、登場!
雄物川を渡って川沿いを走り、もう一度雄物川を渡ります。すると、もう次のエイド「スマイルエイド雄物川(29.2km地点)」です。近いなオイ!
ここで提供されたのは、全国区(多分)の名物「横手やきそば」。
しかも、これ作り置きではありません。エイド会場に鉄板が持ち込まれ、そこで実際に焼かれています。つまり、「出来立て」!!それだけで、もうテンション爆上がりです。
やきそばの上には目玉焼きが鎮座して、黄身はいい感じにトロトロ。黄身を割って麺に絡めるとソースの濃い味が、まろやかになります。
これはうまー!!さすが地元グルメの本丸!!
なのですが、量は体感で半人前くらい。とても、とても美味しかった横手やきそば。でも、全っ然足りてねえーーッ!
エイドの施設内では地元の高校生が作ったという、スイカジャムを練り込んだジェラートも提供されました。
甘い!冷たい!うまい!
スタート時はそこそこ冷え込んでいましたが、もう結構な暑さになっています。そこへ提供される冷たいジェラートは、まさにタイミング完璧過ぎです!
ここはJALエイド!?スワンエイド十文字。
次のエイドは、昨日ゆるポタした十文字エリアの「スワンエイド十文字(41.1km地点)」。このエイドには、JALの巨大バナーが掲げられていました。
そして提供されていた飲み物は、JALの機内で出てくるジュース「スカイタイム」。
いつもはビーフコンソメを選んでいたのでスカイタイムは初でしたが、こっちも美味ですなぁ(いかにもJAL機に乗り慣れている風を装っていますが、上級国民交通機関である飛行機に乗る機会は人生の中で数えるほどしかない、というのが真実)。
十文字エイドの2品目は、フルーツ寒天。桃などのいくつかの種類がありましたが、昨日のゆるポタでりんご畑の中を走ったので、林檎をチョイス。次の瞬間、寒天はひと口で消えました。
半分程度の走行なのに、累積で一食分を超えている。
次の「ふるさとエイド増田(49.6km地点)」までは、区間距離が8.5km。近いなオイ!(2回目)
ここでは、エイド食が施設内で提供されました。屋外はかなり暑くなっていて、クーラーの効いた屋内に入れるだけで生き返ります。ありがてぇ…ありがてぇ…。
おそらくボランティアでスタッフをされている地元のお姉様方が盛り付けてくださったのは、炊き込みご飯と漬物、りんご、とろろ昆布の入ったお味噌汁でした。
家庭的で素朴な、やさしいお味。瓜の漬物(真ん中の黄色)の食感が、面白かったですね。
さてさて、これまで5つのエイドで少しずつエイド食が提供されてきましたが、全部合わせるとこの時点で一人前を余裕で超える量です。
「足りねえ!」
「空腹が加速するだけだ!」
などと、散々文句を言っていたワガママ胃袋も、かなり満足してきました。
そして、私はようやく気づいたのです。このあと、ゴールを含めて残り5カ所のエイドがある。つまり今は「まだ半分のエイドをクリアしただけに過ぎない」という事実に…!
ここからが、いろいろと本番。
お腹が満たされて、荒んだ心までが幸福感で上書きされます。しかも半分近くの距離をクリアしていますから、あとは余裕…というわけにはいきませんでした。
ここから、「登坂」という名の地獄が始まります。嗚呼……。
もちろん坂スペックを事前にチェックして、伊豆半島みたいに地獄の底を這いずり回るようなドギツイ斜度が延々と続く坂が出てこないことは確認済み。
ですが、まあ、それなりには登ります。少しずつではあるものの、着実に吸い取られていく脚力。
しかも最悪なのが、向かい風が吹き付けてくること。アップライトな姿勢で乗車するブロンプトンは、その影響がロードバイクとは桁違いです。
もうやめて!!とっくに脚のライフはゼロよ!!
だとしても、区間距離は10kmと少々。サイコンに表示されたエイドまでの残距離は、徐々に短くなっていきます。
「もう少しでエイドに着くはず、あと少しだけ頑張ろう!」
そう思ったとき、前方に壁が見えました。
先行している参加者の皆さんが、張り付いています。これから、あそこに行かなきゃいけないんだ…。
「わぁ……あァ…」
もう、ちいかわみたいな顔になるしかありません。
シフトは、最ローの28T、それでもシッティングだと失速して転倒しそうです。FDが欲しい!
サドルから腰を上げてハンドルを握りしめ、上半身の筋肉まで総動員。全身バッキバキになりながら、激坂をなんとかクリアしました。
這々の体でたどり着いた「里山エイド狙半内(60.2km地点)」は、施設の正式名称が「釣りキチ三平の里」。なんでも、故・矢口高雄先生の生家が近くにあるのだとか。
激しい『釣りキチ三平』推しの理由が、これでわかりました。
ここで提供されたのは、冷たい手打ちそば。ネギと揚げ玉を、たっぷり入れて(カロリー摂取抑制どこいった?というツッコミ不可)いただきます。
登坂後の冷えた蕎麦が、冷房の効いた部屋で提供される。こんなの、美味しく感じないはずがありません。というか、普通に美味な蕎麦でした。サクッと完食。
徐々に胃袋が悲鳴を上げ始めている気もしますが、ダイジョウブ…ダイジョウブ…ダイジョウブ…!
峠の格差社会が、ここに!
お蕎麦をいただいたあとは、登ってきた道を折り返します。憎き上り坂が、愛すべきダウンヒル天国に豹変する瞬間です。血を吐きながら貯めた位置エネルギーが一気に解放されて、ペダルを回さなくても万有引力が自転車を勝手に加速してくれる。
〝待〟ってたぜェ、この〝瞬間(とき)〟をよォ!
そして対向車線には、後から出発した皆さんが必死に登ってくる様子が見えます。
そう、ここは峠の格差社会。そしてダウンヒル側の自分は、圧倒的にヒエラルキー上位の存在にほかなりません。
登坂は辛いでしょう?苦しいでしょう?でもボクチン、登坂終わっちゃったもんねー!!ヒャーッハッハッハ!!下りは最高ですよー!?(私は最低の人間です)
そんな薄汚い感情に浸っていられたのもつかの間、この先の「雄平フルーツライン」は、横手市のサイトで、「アップダウンがあり変化に富んだドライブコース」として紹介されている道です。
ダウンヒルは、一瞬で終わります。つまり、存在していないのと同じこと。それに対して、登坂の時間は永遠。つまり「アップダウンがある」ということは、「登坂に苦しむ時間しかない」ということになります。そう、アップダウンとは実質「アップアップ」なのです。
景色はよかった、そこは素直に認めます。でもでも疲れ切った脚に繰り返しの登坂ダメージが上乗せされて、もう涙目です。
ご褒美は「あやめ卵ぷりん」!
もう登坂はいやだよぅ…、勘弁して欲しいよぅ…。涙目になりながらたどり着いた「ゆっぷるエイド(73.1km地点)」。ここのエイド食は、横手市にある菓子工房marbleさんの「あやめ卵ぷりん」。その名の通り、同じく横手市内にある樽見内耕新農場で生産される「あやめ卵」を使ったプリンです。
しっかりしたボディで、卵の濃厚な味わいを感じさせます。これはいいプリン!
すでに満腹以上ではありますが、甘いものは別腹ですなぁ。
横手城は、坂の上にある。
ひたすら続く、アップ&アップ。両脚への容赦ない攻撃は、留まることを知らずに続きます。蓄積を続けるダメージ。しかも、お腹はパンパンです。
もしかして…自分は持ってくる自転車を間違えたのでは…?
エイド食を調子に乗って食べ過ぎたのでは…?
そんな疑問を感じ始めた頃、横手市街へ戻ってきました。そして次のエイドは、「横手城エイド(85.6km地点)」です。
物体を地表方向へ約9.8m/s²で加速させる、本惑星からの執拗な引力攻撃は今日も絶好調。ここでも、立ち漕ぎを余儀なくされました。つれぇ…。
そんな坂の上の横手城エイドで待っていたのは、熱々の醤油ラーメンでした。
気温(サイコン表示)は、30度を超えています。すでに、お腹もいっぱいいっぱい。
ここはさすがに、断っていい場面でしょう。
でも!
「こんなかに、腹パン限界だからエイド食を遠慮したいって思ってる奴いる!?」
「カロリー限界摂取に、日和ってる奴いる?」
「いねえよなぁ!!?」
麺だけでなく、スープまで完飲しました。
さらに横手城エイドでは、ラーメンのほかにデザートとしてシャインマスカットも提供されました。もちろん食べます!
これまで提供されたエイド食の累積によって、腹具合は満腹どころじゃありません。冗談抜きに、胃がはち切れそう。
それなのに!
自転車走行で疲労した脳からは、「カロリーをよこせ!」という要求が止まらないのです。脳の命令に抗うことなく塩分、脂質、炭水化物を摂取すると、脳内ではご褒美物質が大盤振る舞いで分泌されます。
腹パンなのに、箸が止められない!五行膳を食べてる人は、こんな気持ちなのか…。
自分はそれなりに量を食べられる方だと自認していますが、それでもこの量は限界越えてます。く、苦しい…。
ゴール前のエイドで、重量級の追撃!
横手の市街地を離れ、ふたたび一面に田園風景が広がるなかでブロンプトンのペダルを回します。
ルート内で最後のエイドは、「木こりんエイド(100.1km地点)」。ここではアルミパウチ入りの林檎ジュース、ガトーショコラ、そして揚げまんじゅうが提供されました。
林檎ジュースとガトーショコラはともかく、揚げまんじゅうの油分がやべーです。
ズシン……!
そんな効果音が聞こえたかと思えるほどで、ここまで大量の食べ物を収めてきた胃袋にとって重量級の追撃でした。
完食しましたけどね!!
約110km、ブロンプトンでなんとか完走!
ゴールの「メイン会場ホームエイド(109.7km地点)」まで、残りわずか。いよいよラストスパート!…ですが、ゴール手前にもあるんですよね。坂が!
距離500m程度ではありますが、RWGPSで雑に計測した平均勾配は4.1%。疲労しきった脚にきっちりトドメを刺されました。
28Tを使ってゆるゆるペダルを回しながら、なんとかゴール。ブロンプトンでも完走はできましたが、僕はもう激しく疲れたよパトラッシュ…。
やっぱり、持ってくる自転車を間違えたんでない?
ゴール受付を済ませると、完走証に木製メダル、そしてタオル、うちわがもらえました。
ゴールしても、まだ食わせるんかい!
そして、胃袋にはさらなる追撃が!
まずは、横手の郷土料理「いものこ汁」。横手では里芋のことを「いものこ」と呼ぶそうで、「いものこ汁」は地元で愛されている、まさに「横手の秋の味」と言える一品です。
そして、デザートは「ババヘラアイス」。黄色とピンクのシャーベット状のアイスを、売り子さんがヘラでバラの花のように盛り付ける秋田の名物アイスです。
走行距離に対して、あまりにも数が多いエイドで散々満腹にさせておいて、ゴールしてもガッツリ食べさせる。しかも、会場では無料のマッサージサービスまで行われていました。
おもてなしのレベルが、もう半端ないです。帰りの新幹線の時間もあるので早めに会場を後にしましたが、かなり後ろ髪を引かれました。
腹ペコバーサーカーが、白旗を掲げる。
ホテルで預けていた荷物を受け取り、横手駅近くの日帰り温泉で入浴(参加者向けチケットを利用して無料!!)。そそくさと、帰路につきました。
大曲駅のホームで新幹線を待っていると、スマホが鳴動。雨雲接近の通知が出て、しばらくすると大粒の雨が降ってきました。ギリギリ雨天の回避にも成功!
普段の自分は長距離サイクリングを終えると、食欲が暴走状態になって「腹ペコバーサーカー」と化します。復路の車内では「駅弁を2個いただいてしまう」なんてことも、ごくごく普通です。
ところが、かまくら・ライドの帰りは違いました。
駅弁なんて、とてもじゃないけど口に入れられません。胃袋は、完全に満員御礼状態。ブロンプトンで100km以上走っているのに、自分が復路の車内で駅弁を欲しくならないとは…。
個人的には、これが今回のエイドの物量をもっとも端的に物語っている気がします。
摂取したのは、いったい何kcal?
ここまで食べさせられると「自分は一体、何kcal摂取したのだろうか」というのが、私、気になります!(例の効果音)
撮影した写真をChatGPT(有償版)に読み込ませて、推定させました。
その結果は
「各エイド食とゴール後の補給の総量は、推定約2,900kcal前後」
とのことでした。
※「既製品は公表されている容量・栄養成分。手作り料理は写真から分量を推定して、一般的な食品成分値を使った概算」らしいです。
一方でStravaによる推定消費カロリーは、2,483kcal。走って消費した以上のカロリーを、エイド食でまるごと返してくる。
「かまくら・ライド」…おそろしい子!!
走り終えて感じた、運営の細やかさ。
エイド食のインパクトがあまりにも強烈なので、食べ物ばかりに目が向きがち。ですが参加してみて印象に残ったのは、それだけではありませんでした。
給水にほとんど困らない!
走行中に立ち寄る9カ所すべてのエイドで、水の補給が可能でした。しかもタンクの脇には、ポカリのスティック粉末まで常備されています。
加えて複数のエイドでは、冷えたペットボトル飲料が用意されていました。水や麦茶、アクエリアスの500mLボトルを丸ごといただけちゃって、持参したボトルは出番が1度もありませんでした。
エイドの数が多いのに、人手不足を感じない!
ゴールエイドを含めて、エイドは10カ所という多さ。それだけでも驚きなのに、「スタッフさんの人数が不足気味なのでは?」と感じたエイドが1カ所もありませんでした。
地元の皆さん、地域団体の皆さん、施設の皆さん、ボランティアの方々。中には、近隣の高校や地域団体の子どもたちの姿までありました。
食事の提供に飲み物の補充、交通誘導やエイド内の案内、ゴミの回収まで手伝ってくれるスタッフの皆さん。「手厚い」と感じるレベルのサービスを当たり前のように受けられるのですが、バックヤードを含めたら相当な人数が動いていることは想像に難くありません。運営様の、とんでもない動員力に脱帽です。
施設側の協力も全面的!
エイドになっている施設の協力体制も、ありがちな「駐車場のスペースだけ貸します」というレベルではありません。
クーラーの効いた部屋を休憩場所として開放してくれていたりするのは、もう当たり前。施設内の店舗をわざわざ臨時休業にして、エイドや休憩スペースとして提供してくれたりするなど、かまくら・ライドが施設側からも全面的な協力を受けているのではないか、と感じています。
参加者を迷わせない!という意思。
コース中の案内表示も、非常に手厚いです。曲がり角だけでなく、直進する交差点にも案内表示が置かれています。「本当にここをまっすぐでいいの?」という不安まで潰してくれる。ナビを使わなくても、ミスコースなしで完走できるでしょう。
しかも案内表示には交差点周辺のランドマークまで描かれていて、ブルベのキューシート並みの情報量。自分の位置と進行方向が、実に把握しやすい作りになっています。
そして、ワンポイントに「いらすとや」のイラストが配置されている案内も多数。AI生成画像が当たり前になった昨今だと、この手作り感が嬉しいですねぇ。
冒頭に記載したサポートライダーのゴール予定時刻入りゼッケンと合わせて「参加者を迷わせない!」という、運営様の強い意志を感じます。ありがてぇ…。
サイクルラックまでオリジナル
各エイドには十分な数のサイクルラックが置かれていましたが、これもかまくら・ライド専用品でした。太い角材を使った、かなり立派なもので「かまくら・ライド」の焼き印まで入っています。
のぼり、案内看板、そしてサイクルラック。力の入り方が、もう桁違い。いやー、まいりました。
まとめ:おもてなしが過剰すぎる!
参加前は「110kmのコース中に、9カ所のエイド(+ゴールエイド)」という、「エイドの数と食べ物がすごいイベント」ということだけを意識していました。実際それは間違っておらず、むしろ想像以上。
ミニバーガー、冷製ポタージュ、フルーツ寒天、横手やきそば、炊き込みご飯、手打ちそば、プリン、ラーメン、ガトーショコラに揚げまんじゅうなどなど。さらにゴールしてからも、いものこ汁とババヘラアイスによる追撃。エイド食だけでも、十分すぎるほどのインパクトを受けています。
けれど、走り終えて強く心に残ったのは、食べ物だけではありませんでした。
スポンサーに地元企業が並ぶ。日曜の早朝から市長が開会式に出席する。多くのボランティアが各エイドを支える。施設がエイド運営に全面協力する。曲がらない交差点にまで案内を置く。大勢のサポートライダーが走り、サイクルラックまで専用品を作る。ゼッケンにはウェアに穴を開けさせない工夫がある、などなど。
派手な仕掛けはないものの、参加者への「おもてなし」の気持ちが大量に積み重なっています。
エイド食だけじゃなく、あらゆる側面で「おもてなし過剰にも程がある!」と感じたのが、偽らざるところです。
これだけ作り込まれたイベントなら全国区になっていても、全然おかしくないのでは?とまで思ってしまいました。
ここまでおもてなしされて、横手のことが好きにならない人はいないでしょう。たぶん。
少なくとも、自分は完全に堕とされました。横手大好きー!
横浜からは果てしない彼方ですが、参加する価値ありありです!
そうそう、会場で見かけた小径車はTernのロードタイプが1台だけ、折り畳みは自分以外に皆無でした。
小径乗りのみんなー!「かまくら・ライド」に行こうよーー!!















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