ロードバイクにおけるチューブレス系タイヤ・ホイールというのものは、何年も前から「これから来る!」と言われ続け、新製品も確かに増え続けてきてはいます。では実際に2019年1月現在、何割くらいのロード乗りがチューブレス系システムを使っているのか。Twitterアンケートで聞いてみました。
ロードでチューブレスを使っている人は全体の2割
あなたの現在のタイヤ・ホイールシステムを教えてください
— CBN (@cbnanashi) January 2, 2019
結果は、シーラントを使用しない「チューブレス」とシーラントを使用する「チューブレスレディ」の合計が21%。チューブラーが8%。インナーチューブを入れるクリンチャーが71%という割合になりました。
チューブレス使用率、約2割。全体の5分の1。10人に2.1人。100人あたり21人、という結果に。
少ないよね〜!
ちなみに回答者数は431名の方々。回答者属性は、CBNレビュワーやCBN読者の方々、自転車歴1年の方から4〜50年の方まで様々ですが、恐らくサイクルスポーツあたりの大メディアで同じアンケートを実施しても傾向は大きく変わらないでしょう。むしろチューブレス利用率はもっと低く出ると思います。
俺はクリンチャーをやめるぞジョジョォーッ! は全体の約2割にとどまる
では今後はどうする予定なのか。現在クリンチャーやチューブラーを愛用している方にそのあたりについてもお聞きしてみました。その結果がこちら。
現在チューブド・クリンチャーを愛用中の方にお聞きします。チューブレス(レディ)システムへの移行は検討していますか?
— CBN (@cbnanashi) January 2, 2019
チューブレスへの移行を「積極的に検討している」方が23%。「少しは検討している」方が36%。「全く検討していない」が41%という結果に。
これはなんとも微妙な数字です。6割の方々がチューブレスに興味を持っている。本当に手を出そうとしている人は2割。4割の人はチューブレスには全く興味を持っていない。
そろそろチューブレスだな、俺、クリンチャーやめるかも! という方は2割(※)。そんなに多くないですね。むしろクリンチャーシステムの満足度の高さのほうが強調されている結果のように私には見えます。
※クリンチャーをやめる云々というより、複数システムを使う方も結構いると思います。
チューブレスで最初苦労しなかったのは3人に1人
今度はチューブレス愛用者の皆様に、クリンチャー等からチューブレス系への移行時に何らかの苦労があったかどうかをお聞きしました。
クリンチャー等からチューブレス(レディ)に移行された方にお聞きします。チューブレスは最初扱いの面で苦労しましたか?
— CBN (@cbnanashi) January 2, 2019
結果は「かなり苦労した」が3割弱。「まあまあ苦労した」が約4割。約3割が「まったく苦労しなかった」。なるほど、この結果を見る限り、合計で69%、ほぼ7割の方が、クリンチャータイヤの扱いで苦労した経験があるわけです。最初は。
ところでチューブレスのトラブルにはどんなものがあるのでしょうか。すぐに思い浮かぶのはこんなところ。
- タイヤをリムにうまくはめられない
- タイヤをリムからうまくはずせない
- ビードがうまくあがらない
- シーラントがうまくはいらない
- シーラントを入れる時に飛び散って部屋が汚れた
- バルブコアを外さずにシーラントを入れたら固着した
- チューブレステープを巻くのに失敗した
- バルブのゴムの形状とリムのグルーブの形状があわなかった
- 原因不明の空気漏れ
こういった感じのトラブルのいくつかを経験された方が約7割いた、ということになるのだと思います。
チューブレスはなぜ普及していないのか
チューブレスが普及していない理由のひとつは、上であげたような苦労が実際にあること、また、あるかもしれないという先入観のせいでしょう。恩恵は多いものの、タイヤのインストール時に必要な作業手順はチューブド・クリンチャーよりもやや多く、求められるスキルレベルも少しだけ上がります。
さらに毎日や2日に1度は乗るようなサイクリストは別として、ライドは1週間に1度、2週間に1度程度というのんびりロードバイク愛好家の場合、2〜3日に1度はホイールをコロコロと回転させておかないとシーラントがタイヤ内でかたまりがち、という運用上の手間が出てくるという点もあるでしょう。
つまり「面倒くさい」というイメージが大きい。
もうひとつは、クリンチャーシステムが非常に進化し、チューブを入れるタイヤも乗り心地や転がりが良く、耐パンク性能も高い製品が存在していること。そして少し前まではチューブラーが当たり前だった高性能カーボンホイールも、ここ数年はクリンチャー対応版が出て、しかも性能がいい、という事情があるでしょう。
またTwitterではこんな意見も。インナーチューブも進化しているわけです。
超軽量なチューブ、Tubolitoを手に入れてからチューブレス化は考えなくなりました。Tubolito、実測で38gなんですもん。 https://t.co/cRAs7EDpnG
— Nakazawa[SLR01] (@radicalgoldfish) 2019年1月2日
これですね、Tubolito。お値段は相当しますが、一応専用のパッチキットも出ているようです。
チューブレスの場合、注入するシーラントの量はタイヤの太さによりますが、FINISH LINEのシーラントはロードの場合60mlの使用を推奨しています。実際は20〜40mlの幅で運用している方が多いと思いますが、そう考えると39gのインナーチューブというのは非常に軽量ですね。
Panaracer R-AIRはCBNのpiyoさんのレビューによると実測65g。Continental Race 28 Supersonicはやはりpiyoさんによると実測55gとのこと。
コンチの普及品・Continental Race28 700×20-25Cの42mmバルブ仕様だと、UmeTKYさんによる実測で104.5gもの重量となっています。
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もちろん重量のみが性能ではありません。チューブレスはインナーチューブとタイヤケーシングとの摺動(しゅうどう)による抵抗や摩擦熱がないという大きい長所があります。
とはいえクリンチャータイヤとインナーチューブがあらゆる面で基本性能をあげてきたことがチューブレス普及率の低さの理由のひとつであるのは間違いないでしょう。