フレーム・完成車

フロントシングルのロードは買いなのか 3T Stradaを眺めながら考えた

3TのStradaというロードバイクを眺めていました。現在3TにはStrada Team, Pro, Stealthというフロントシングルのモデル、Strada Dueというフロントダブルのモデル、他にアドベンチャー系のExploro(フロントシングル・ダブル両方あり)というモデルがあるようです。

どれもカッコいいんですよ。

フロントシングルロード 3T Strada

何がカッコいいって、シンプルなグラフィックもいいけど、やっぱりフロントシングル。別にフロントディレイラーが嫌いなわけではないですが、あのデカい部品が一個ないだけで見た目がずいぶんスッキリします。

フロントディレイラーの調整もいらない。FDがない分、軽い。FDまで伸びるワイヤーもない。チェーンリングが1枚少ない分、軽い。お掃除もラク。これでリアが電動だったりしたら最高です。Xshifterとあわせて、TRPのドロップハンドル用油圧ブレーキレバーにしても面白いんじゃないだろうか。

TRP Hylex RS

しかしです。普通はついているものがないということは、何かを犠牲にしているわけです。それは何だろう。この自転車、完成車のチェーンリングはSRAM Forceの50T。カセットは11スピードの11-36。SRAMの1xシステムです。

ギア比を表にしてみます。フロントをリアで割るとギア比が出るので、表計算ソフトに自動計算させます。小数点以下は2桁までにしました。

3T Strada Pro – SRAM Force 50T, 11-36T
36 32 28 25 22 19 17 15 13 12 11
50 1.39 1.56 1.79 2.00 2.27 2.63 2.94 3.33 3.85 4.17 4.55

うん、でもこれだけだとこのフロントシングルが使いやすいのか、使いにくいのか、いまいちよくわかりません。そこで普通のロードバイクと比較してみます。

Look 785 HUEZ 2019

Look 785 HUEZ 2019完成車と比べてみます。

ヒルクライムを意識したこのロード、基本コンポはShimano Ultegra R8000で、フロントは52/36, カセットは11-32がついています。

32T。ひとむかし前は32Tのあるカセットなどというと貧脚、乙女、素人、ジュニアとバカにされたものですが、ようやく時代が俺に追いついたかという感じがします。

3T StradaとこのLook 785 HUEZ完成車のギア比を並べてみます。

3T Strada Pro – SRAM Force 50T, 11-36T
36 32 28 25 22 19 17 15 13 12 11
50 1.39 1.56 1.79 2.00 2.27 2.63 2.94 3.33 3.85 4.17 4.55
Look 2019 785 HUEZ – Shimano Ultegra R8000 52×36, 11-32T
32 28 25 22 20 18 16 14 13 12 11
52 1.63 1.86 2.08 2.36 2.60 2.89 3.25 3.71 4.00 4.33 4.73
36 1.13 1.29 1.44 1.64 1.80 2.00 2.25 2.57 2.77 3.00 3.27

次に、3T Stradaの各ギア比にいちばん近いものをLook 785 HUEZのギア比テーブルの中で探します。いちばん近いものを赤でハイライトします。その結果がこれ。

フロントシングルのロードは買いなのか 3T Stradaを眺めながら考えた

3T Stradaのいちばん重いギア、50×11(ギア比4.55)は、Look 785 HUEZのアウターxリアのトップ・セカンドのあいだくらい。全然OK。平地で追い風でもなければ私には不要なギア比です。

3T Stradaのいちばん軽いギア、50×36(ギア比1.39)というのは、Look 785 HUEZのインナーx10枚目と9枚目のあいだくらい。うん、激坂が続く峠なら私はもうちょっと軽いほうがありがたいですが、36×25でもマイペースなら全然問題ないです。何ならチェーンリングを一回り小さいものに交換するのも手です。

ロードレースもヒルクライムレースもやらない私の使い方からすると、まったく問題ない構成です。

でも、プロの競技者はイヤがるだろうな、と思います。やっぱり跳躍が大きい。そこだけ大きい出力調整を迫られるわけです。ケイデンスを一定に保つのが難しい。パワーマネジメントが難しい。これは過酷な競技になればなるほど嫌がられるような気がします。

実際乗ってみないとわかりませんが、タイムトライアルなどでこまめな変速をしないのならレースでもありなんでしょうか。

去年、トリプルチェーンセットが市場から姿を消す日はやってくるかという記事を書きました。フロントトリプルについては、なんとなく消えていきそうな予感はします。でもフロントダブルが、フロントディレイラーが市場から姿を消すかというと、まあ少なくとも10年はないんじゃないかという気がします。

リアが20枚になったら消えるような気がします。でもそんな日は来るのか。

それはそれとして、3T Stradaというフロントシングルロード、個人的にはそそられる見た目。重量云々より、乗り味が軽快なんじゃないかと思わせます。最近シングルスピードの自転車に乗るようになって、可動部品が少ないっていうのはそれだけで軽快感が出てくるものだなあ、と感心しているせいもあります。

Strada Proの完成車価格を調べると¥600,000(税別)でした。うん、財布も軽くなるなw まあ、またの機会に!

著者
マスター

2007年開設の自転車レビューサイトCBNのウェブマスターとして累計22,000件のユーザー投稿に目を通す。CBN Blogの企画立案・編集・校正を担当するかたわら日々のニュース・製品レビュー・エディトリアル記事を執筆。シングルスピード・グラベルロード・ブロンプトン・エアロロード・クロモリロードに乗る雑食系自転車乗り。

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