新型XTR M9100シリーズの出荷が遅れている理由

昨年夏に鳴り物入りで発表されたシマノの新型XTR M9100シリーズの出荷が遅れていますが、その理由を北米シマノのMTBプロダクト・マネジャーNick Murdick氏がPinkbikeに次のように詳しく語っています。

新しいクランクセットは大量生産が困難。暫定的に別のクランクを投入

FC-M9120-1 © Shimano

  • 新型XTRの完全なグループセットが北米で流通するのは3月初旬になる
  • クランクセットがまだ準備できていないので出荷を見合わせてきた
  • 新型XTRの性能の多くがシステムエンジニアリング的アプローチで得られているため別のクランクで差し替えるのは容易ではない
  • ローラーよりも伸びている新しいチェーンのインナープレートがスムーズなHyperglide+において主要な役割を果たしており、それがクランクのチェーン保持や駆動効率に寄与している
  • ヨーロッパのリテイラーからパーツ単位で販売されているものもあるが、新XTRのチェーンと全く適合しないチェーンリングがあるためそういうものを試しているユーザーは苦心していると聞いている
  • 他のチェーンを使ってしまうのならHyperglide+のメリットは消えてしまい、その時点でもはやXTRではなくなってしまう
  • クランクの製造プロセスがさらなる改善を必要としている
  • 良い設計だが、大量生産が難しいことが判明したためこれに対応するためにもっと時間がかかる
  • 暫定対策として旧XTRと新M9100 XTRとの中間的な位置付けの性能を持つクランクを投入することにした
  • そのクランクは単に「FC-MT900」と呼ばれ、「ブラック・クランク」と呼ばれるだろう
  • FC-MT900は587gで新XTRクランクほど軽量ではないが前モデルよりは軽く、チェーンリングのデザインも新しいので駆動効率とチェーン保持性能は高くなる
  • そのクランクが到着次第、北米で新XTRの出荷を開始する

サイレンス(Scylence)ハブは設計をやりなおす必要がある

FH-M9110-B © Shimano

  • サイレンス(Scylence)ハブはキャンセルされた
  • その理由は生産面だけにとどまるものではなく、設計をやり直す必要が出てしまった
  • コンセプト自体には自信があるのでこのテクノロジーの開発は続ける
  • しかし新XTRハブには100歯アルミドライバープレートによる7度の遊び角やアルミ製ベアリングによる軽量化など他のメリットもある
  • 新ハブの型番はFH-M9111に変更され、3月初旬には出荷準備ができるだろう

新XTR M9100で他に変更が入った点

  • ワイドフランジハブのFH-M9125と11スピード用カセットのCS-M9110は生産キャパシティの問題からキャンセルされた

同氏はこれらの遅延や新技術の見送りについて「良い言い訳ではないが、これらの遅延の原因は新しいテクノロジーを導入したこと、かつて存在しなかった新しい製造技術と関係がある」と説明しています。

完全に新しい設計のマイクロスプラインのサイレンス・ハブが大きい話題になっただけに、シマノも頭を抱えていることでしょう。対するライバルのスラムは順風満帆な感じです。MTBコンポーネント市場での現在の地位を死守するために、ここ1〜2年はシマノにとって正念場となりそうな気がします。