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Rotor 1x13はなぜこれほどまでに人気がないのか

今月発売予定のRotor 1×13(ワンバイサーティーン)。世界初のリア13速、しかも油圧式変速です。過去に下の2つの記事でも紹介しました。

Rotor 1 x 13のリアメカがツアー・ダウンアンダーのイベント会場に再び登場
オーストラリアで開催されたツアー・ダウンアンダー2019のイベント会場にRotor 1x13(ワンバイサーティーン)の実物が再び展示され、話題になりました。これがLOOK 785 Huezに取り付けられた1x13リアディレイラーの写真。
Rotor 1 x 13 油圧グループセットの価格と重量に関する情報
Rotor 1x13 油圧グループセットの価格と重量に関する情報が発表されました。既に公式サイトで予約受付が開始され、出荷は4月になるということです。今回発売されるのはドロップハンドル用のみ。MTBバージョンは夏になるそうです。

その1×13搭載バイクがSea Otter Classicでも展示されていました、とPinkbikeがInstagramに投稿しているのですが、そこに寄せられているコメントがかなり厳しい。気の毒になるくらい人気がないのです。

13速で油圧だよ! みんな嬉しいよね! よね…?

すごいRotorよく頑張った、なんてエキサイティングな製品なんだ手に入れるのが待ちきれないよ! という感じのコメントは150件中わずか2〜3件で、大部分が否定的な内容。

好意的に迎えられたSRAM eTap AXSとは対極的です。何故なのか。

ともあれ、まずコメントを紹介していきます。

まだ売ってないの?

まず「いつ手に入るんだ」という不満の声がありました。

2018年初頭から大規模ショーでいつも見かけるのにまだ売ってない、もう冗談みたいなものだ、誰も「まだ」買えないものを何度も見せられるのにはうんざりだよ

これは下の記事で紹介したSRAM eTap AXSのマーケティング手法のことをすぐに思い出しました。まさにこのことです。やはりすぐに買えないものを見せ続けるのはもはや弊害のほうが大きいのかもしれません。

SRAMがeTap AXSの情報を事前にリークしなかった理由
Red eTap AXSに続いてForce eTap AXSをリリースしたSRAM。これらの製品のマーケティングにはこれまでにない特徴があったようです。

ただRotor 1×13はすでに発売開始されたようです(MTB版を除く)。

スプロケットは何枚まで増える?

ギア板何枚増やせば気が済むんだよ、という声も。これは各社のコンポが10速化した頃からずっと聞かれるものです。

  • 11速でやめておくべきだったよ。滑稽なことになりつつあるじゃないか
  • これは本当にイノベーションなのか? それとも「競合より1つだけ上を行く」というメンタリティか?
  • リアホイール全体がでっかいスプロケのかたまりになるまでハッピーになれないんだろう。11-111コグになったら連絡してくれ
  • タイヤはアウターリングの外側にはめるのかな?
  • 14速がもうすぐ来るぞ

と、このように若干意地悪な揶揄的コメントもあるのですが、一方でスプロケット間のスペースがより狭くなることで調整はさらに繊細になる、チェーンの移動回数・移動量が増えることで摩耗が早くなる、重量も増える。いいことは何もない。というコメントも見られました。

14speedはシマノが特許申請済み

ちなみに「14速」についてはシマノが1999年に特許申請を出していたことが既に明らかになっています。ローラーのない特殊形状のチェーンを使用するらしいのですが、このこともあって13速と14速のあいだには何か超えられない壁があって14速からいろんな設計を新しくする必要があるんじゃないか、という意見をよく目にします。

油圧であることへの疑問

Rotor 1×13のシフティングは機械式でも電子式でもありません。油圧式です。この新しすぎる機構もあまり歓迎されているようには見えません。

  • 油圧変速はここ最近では最悪のアイデアのひとつだ
  • 油圧ディスクのブリードが面倒だと思いはじめたタイミングでこれか…
  • パンク修理する時に自転車ひっくり返して… ディレイラーが動かなるわけだ。最悪
  • (上の人に)密閉された油圧システムだからその心配はないと思うよ

エア噛みの心配はなさそうですが、ホースの長さを変える時はやはりブリードしないといけないのか。すると面倒と言えば面倒ですね。その手間を補ってあまりある性能的アドバンテージがこの油圧シフトには果たしてあるのか…そればかりは使ってみないとわかりません。

そろそろ内装ギアに力を入れてはどうかという声も

最後にいちばん興味深かったのが「もう内装ギアにしたほうがいいんじゃないか」という声です。

  • ギアが1枚増えて、リアホイールがより重くなって、電動でなくて油圧… この金額を払うのならむしろ内装変速とベルトドライブを買いたい
  • 内装変速の開発をしたほうがいいと思うよ
  • かわりに誰も内装変速をやっていないのが不思議だ
  • 内装変速が未来だ。駆動系の掃除も少なくて済むから走る時間が増える。重量増は問題ない

確かにリアルレーシング用コンポで内装変速ハブは存在していません。内装変速が普及していない理由としては、

  • 重量が重い
  • レースでのパンク時、ホイール交換に時間がかかる(機械式の場合ワイヤーの着脱が発生する)
  • 走行抵抗が大きい

などがあるようです。

SHIMANO ALFINEに「S7051」と「S705」という11速のDi2内装変速ハブがあります(前者は電動アシスト駆動による高負荷時でも変速がスムーズなタイプらしい)。重量はいずれも1,665g。

Rotor 1×13のリアハブとカセットとリアディレイラーを足すとどのくらいの重さになるんでしょう。

  • Rotor 1×13の10-52コグ 321g
  • RVOLVER 1×13 リアハブ 246g

リアディレイラーは単体重量の情報がなくて、リアメカ+右レバー(シフト・ブレーキ用)+キャリパー+160mmローター+カット前のホースのセットで859g。しかしどう考えても13速コグとハブとディレイラーだけで1kgには届かないでしょう。Alfine 11ハブのほうが断然重いです。

重量増がホイール外周部ではないので軽快な走行感がスポイルされる恐れは低いんじゃないか…と思いきや、遊星歯車機構は駆動損失が非常に大きいという話も耳にします。ブロンプトンなどに乗っている限りは気になりませんが、これがロードバイクだとどうなるか。

でももし「内装11速+無線変速+油圧ディスクブレーキ+フロントは当然シングル」のロードバイクがあったらとしたら、是非乗ってみたいとは思います。単純な重量増は普通のロードバイクに比べて1kgくらいでしょうか。

著者
マスター

2007年開設の自転車レビューサイトCBNのウェブマスターとして累計22,000件のユーザー投稿に目を通す。CBN Blogの企画立案・編集・校正を担当するかたわら日々のニュース・製品レビュー・エディトリアル記事を執筆。シングルスピード・グラベルロード・ブロンプトン・エアロロード・クロモリロードに乗る雑食系自転車乗り。

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