ペダル

2つの力でペダルを回せ!ブロンプトンのペダルをSPDに交換した結果。

ママチャリで激坂を登り、往復90kmの秋葉原へ毎週欠かさず通ってインターハイに2連勝する。そんな主人公のひたむきな姿を見ても、はいはいマンガですからね〜。としか思えないのに、「ボクは友だちいないから」というセリフを見て「自分と共通点があるじゃーん!」と、ほくそ笑む。

脚力でも人間性でも、底辺を這いつくばる自転車乗り、nadokazuです。

ま、坂道君とは「才能の有無」という大きな違いがあるんですけどね!(涙)

というわけで、本日の駄文はこちら!

ブロンプトンの走行性能、駆動系をいじらずにナントカできない?

いまロードバイクに装着しているタイヤは、コンチネンタルのGP5000。自分のようなヘタレには分不相応にもほどがある高性能タイヤだと思っているのですが、このところのライドはZWIFTやRoad Grand ToursやOnelapばかり。バーチャルが大半なので、1年以上前に交換したはずのタイヤが減っていく気配を見せてくれません。

そして数少ない実走は、ほとんどがブロンプトン。昨年は走行回数どころか、走行距離でもブロンプトンがロードを上回っている気がします。そうなると「ブロンプトンでよりラクチンに走りたい」という方向に物欲が振れていくのは、もはや神の定理に等しい事象と言えるでしょう。

なんですが、ブロンプトンの走行性能向上を目指すとなると、ホイールや変速機など「禁断の領域」に踏み込まざるを得なくなってしまいます。

外装7段変速への魔改造が思い浮かんだりもしますが、それには技術も資金も根性も足りない。「トレーニングして、脚力やペダリングスキルを高めよう」などという気概は、もちろん微塵もございません。

フル外装7段変速!魔改造ブロンプトンに乗せてもらったら…
目指せよ快走 勝ち取れ安寧 いざ平坦ロードへ! 理想の走りを求めて さあ始めよう ゆるポタ。 囚われの駄文書き、nadokazuです。キミのカーボンロードも、折り畳み自転車にしてやろうか? それはさておき。 「ブロンプトン...

もはや、完全な行き詰まり。窮余の策として、おりたたぶマークとチャリと来たロゴによる「ステッカーチューン」を施してみましたが、もちろん走行性能の向上は皆無。

こうなったら、ボディの静電気を除去するアルミテープを貼ろう!!とか、思わなくもないですが、それも効果(あるの?)を感じる前に脚力が枯渇するでしょう。

もう、打つ手が無い。もはやこれまで…。

そんなとき!!

脳内の手嶋パイセンが、自分にこう言ったのです。

「やるよ おまえに 使え」

「“クリート” 絶対に外れない クツとペダルだ!!」

というわけで、期せずしてブロンプトン用のビンディングシューズ、そしてSPDペダルを入手することができました。

大切なことなので念のため申し添えますが、これは「手嶋パイセン(脳内在住)が“くれたもの”」であって、私の自発的な意志は介在しておりません。つまるところ、決して衝動買い行為ではございません…よ?

倍の力でペダルが回せる!

まずは自転車の専門書籍に書かれていた、極めて高度な情報をもとに、この装備についてコピp…解説しましょう。

▼高度に専門的な情報が記載された書籍

「ビンディングシューズ…ビンディングペダル それをつなぐ“クリート”。それは足をペダルにシューズごと固定する道具。自転車競技専用のクツとペダルだ」です。「こいつはただ足を固定して滑らなくするだけの装置」ではありません。

「通常踏み込んで戻ってくるとき乗せてるだけのペダルを

引 っ 張 る こ と が で き る ん だ ! ! 」

「引っ張ることでクランクにはふむ力と引く力…同時に

2 つ の 力 が 加 わ る こ と に な る 」

「こいつを使えば

い ま ま で の 倍 の 力 で ペ ダ ル を 回 せ る ! ! 」

…なんというすさまじい機材!! こんなチート級の装備を手にしてしまったら、自分だって「まるでバイクか何かに乗ってるみたいだ…!!」と思いながら、「ゴシュウッ」とか「ドッギャン」という効果音とともに多摩湖自転車道を疾走できるに違いありません。

それどころか、登坂ルートだって軽々クリア可能なはずです。なにしろペダルを、「倍の力」で回せるのですから!

…時は来た!!

ヤビツの悪い魔女を成敗せよ!!!

神奈川県秦野市。エリア812(ヤビツ)。ここに集うのは、「心臓がM5×12Lボルト留めだ」「血管にチェーンオイルが流れてる」などと言われる一騎当千の自転車乗りばかりです(仮面をつけた怪しいロードバイクのチームも出現するらしい)。

そんなヤビツにブロンプトンで挑むなど、VF-31にA1スカイレイダーでドッグファイトを仕掛けるようなモノ。無謀以外のなにものでもありません。

だがしかし!

自分は2倍の力でペダルを回せる、チート装備を装着しています。もはや「ティロ・フィナーレ級の必殺技を習得したに等しい」と言っても、まったく過言ではありません。体が軽い…こんな幸せな気持ちで戦うなんて初めて…もう何も恐くない━━━!

それじゃあ、悪い魔女を軽くひとひねりしてやりますか…!

意気揚々と名古木交差点を出発して、5秒後。

両脚に襲いかかったのは「アビスの底から第三宇宙速度で駆け上っても、こうはならないだろう」と確信できるほどの、激烈な上昇負荷でした。

うわぁあああああ!!!

瞬く間に人間性を喪失して、成れ果てと化していく自分。

「…シテ…コロ…シテ…」

思い返してみると、これまで幾度となくロードバイクでヤビツに挑み、例外なく瀕死状態に陥っています。ペダルはもちろん、倍の力で回せるはずのビンディングです。ということは、いくらビンディングを使ったところで、ブロンプトンでヤビツに挑んでひとひねりできるハズなどありません。

普通に考えればわかるよね? 馬鹿なんですか? 死ぬんですか? 自分で自分を正座させて、小一時間問い詰めたい…!

そんなわけで、ヤビツの魔女を成敗するどころか、いつものように瞬殺されてしまいました。もうハナッから結果がわかってるよ、こんなの! クルマで上って、写真だけ撮ってくればよかったじゃん!! あたしって、ほんとバカ…(涙)。

で、タイムがどうなったかというと…

前回よりも、はるかに遅くなってました!!

それどころか、「クランク交換前に登ったときよりも遅い」という結果です。

「クランク交換でタイム短縮!ペダル交換でさらにタイム短縮!!」

とか思っていたら、まさかのブロンプトンでのヤビツ最遅記録更新です。

ただし!

今回、登坂中に「ツラい…イヤだ…もう帰りたい…」と、いつものように呪詛を吐きつつも「さすがにビンディングで脚が固定されてると違うわ~タイム更新余裕じゃね?」とか思えちゃうぐらい、意識に余裕がありました。ゴール後のズタボロ感も、前回ほどじゃなかったです。もしかして、余裕ぶっこいて無意識のうちに三味線弾いてたとか??

以上から、ビンディングペダル交換の登坂における効果について、結論を申し上げます。

今回の登坂で…我々は…いや、今回も…
なんの成果も!!得られませんでした!!

私が無能なばかりに…!!
ただいたずらに脚を疲労させ…!!
ペダルの交換効果を…!
突きとめることができませんでしたたぁぁ!!

登坂がダメなら、平坦ではどうだろう?

絶対に外れないクツとペダルで、倍の力でペダルを回したはずなのに、ヤビツ峠では見事に玉砕。このまま結果を出せないと、完全な登り損で交換損です。このまま嫁さまに無駄遣いをガン詰めされたら、言い訳の猶予時間すらありません。

登坂はダメでも、平坦なら…平坦なら結果を出せるはずだ!!

そんな一縷の望みをかけて、坂のないコースに出かけることにしました。そう、自分の中で平坦パラダイスとして名高い「つくばりんりんロード」です。今の時期なら、沿道は桜が満開。しかも不動峠が工事中で通行止めなので、登坂オチを喰らう危険性もありません。

約40kmのフラットルートをブロンプトンで走ってきましたが、あちこちが桜のトンネル状態になっていてもう最高。本当にこの季節のりんりんロードは、ふだんにも増して走ってて気持ちがいいですね。

桜がイイ感じになってる場所を見つけては、自転車を停めて写真撮影しまくり。軽く100枚以上を撮影して、満足しまくって輪行帰宅。やっぱりブロンプトンで走るなら、ゆるいフォトポタをするに限りますねぇ。大変満足できるライドでした。

唯一「撮影のための一時停止が多すぎて、走行時間の比較データがまったく取得できなかった」という、本末転倒なことになった点を除いては。

今回の平坦で…我々は…いや、今回も…
なんの成果も!!得られませんでした!!

ブロンプトンにオススメのビンディングシステムって?

ビンディングは、「3穴タイプ」と「2穴タイプ」に大別されます。ものすごく雑に言うと、3穴タイプはロード用、2穴タイプはMTB用です。

ブロンプトンにオススメなのは「2穴タイプ」のほう。つまるところ、「シマノのSPD」です。

理由はただひとつ、「歩きやすいから」。電車に乗るまでの駅構内移動はもちろん、サイクリングに出かけた先でも。フラットペダルにより近い感覚で歩けるのは、圧倒的にSPD。

レースに挑んだり「走ること」自体が目的のサイクリングをするのでなければ、ブロンプトンの交換ペダルにオススメなのは「シマノSPD」一択と言えます!(※個人の感想です)

SPD-SLやLOOKのKEOだと、クリートカバーを付けたところで歩行時はペンギン歩きを強いられます。駅構内で改札からホームまでの最短距離の徒歩移動ですら、普通に苦行。走るのが主目的ならそれでもいいのですが、「ゆる~くフォトポタライドする」といった用途には不向きと言わざるを得ないでしょう。

それがシマノSPDだと、クリートカバーさえ着けてしまえば、普通のシューズとほぼ違和感なく歩けます。駅構内の移動時だけでなく、「自転車を置いて、ちょっと歩く」というのも心理的な負荷はぼぼゼロです。

そりゃもちろん、シマノSPDのほかにも「歩きやすいビンディングシステム」は、あるのかもしれません。ですがコストパフォーマンスやスモールパーツの入手のしやすさまでを考えると、やっぱりシマノにしておくのが安心感高いですよね。(「自分の不勉強を棚に上げた屁理屈じゃねーか!」というツッコミ不可)

こんなシューズを買いました。

SPDシューズについては、「ヒモ靴じゃないタイプ」を強く推したいところ。具体的にはベルクロ、もしくはBOAフィットシステムを採用しているモデルです。

理由はこちらも非常に個人的な嗜好ではあるのですが、脱いだり履いたりする時に、いちいちヒモを結んだりほどいたりするのが面倒すぎて看過できないから。また、走行中に何らかの要因でヒモがほどけて駆動系を巻き込んで…といった不測の事態も、ベルクロやBOAなら起こり得ません。

「気になる要素は払い落としておく…。」

そんな弱…今泉クン的な視点からも、着脱の簡便さと安全性の両面に優れた「ヒモ靴以外」がオススメだと考えます。

あ、もちろんこれが「屁理屈こねてるだけで、結局はヒモを結ぶのが面倒という子供じみた主張だ」というご指摘に対しては、一切の反論余地がございません。

さてさて、そんな検討の末に衝動買い…ではなく、脳内の手嶋パイセンが自分にくれたシューズは、シマノの「MT7」。

主張らしい主張がまったくない地味なデザイン(「地味なこと」を主張しているとも言えるかも)ですが、むしろそこがいい!そして執筆時のAmazonでの新品価格は、¥12,209~¥13,214(販売元がAmazonの場合)。BOAダイヤルでフィッティングできるナショナルブランドのモデルでは、おそらく最安値…のはずです。

またシューズは乗ってる間じゅうどころか家を出てから帰宅するまで「着用していない時間」が、ほぼありません。足の形に合う/合わないは、極めてシビアに問われます。ロードではSIDIのMEGAモデル(幅広タイプ)を愛用していますが、自分の場合は試着の際に他のシューズを試す必要性を感じませんでした。まるで測ったかのように、ジャストフィット。このへんは、やっぱり日本のメーカーの強みと言えるのでは。

ちなみに、試着させていただいたのはY`s Road横浜店。複数サイズがバッチリ揃っていて、ジャストサイズのモデルを購入できました。(さすがに試着するだけして「安いからAmazonで買いますサヨナラー」という不義理はできませぬ)この辺も国内ナショナルメーカーならでは、と言えるのでは。

こんなペダルを買いました。

交換ペダルの選択肢には、「固定式」「折り畳み式」「取り外し式」の3タイプがあります。ただ固定式は輪行時にペダルが身体にガシガシ当たって痛い思いをするので、早々に選択肢から除外。実質「折り畳み式」または「取り外し式」の2択です。

実際の運用を考えると、取り外し式には「外したペダルを紛失するリスクがゼロではない」という、自分のような抜け作には看過できないネガがあります。そうなると、最終的に残るのは「折り畳み式」というのが結論…ではありませんでした!

ブロンプトンに標準装備されているペダルも折り畳み式なのですが、収納時はペダルを持ち上げてクランクの内側に倒して格納します。なので、収納時の出っ張りは最小限。それに対して一般的な折り畳みペダルは、ペダルをそのまま手前に倒すだけ。なので、ペダルの厚みの分の出っ張りが、思いっきり残るのです。ペダル交換を検討して、標準装備のペダルが実によく考えられたセレクトであることを思い知らされました。

そうなると「取り外し式」「SPD」あと、普段使いも考えると「片面フラット」のペダルが、交換ペダルの候補になります。

最初に検討したのは、Wellgoの取り外し式ペダル。その最大の特徴が「アタッチメントさえ取り付けてしまえば、ラインナップされた多種多様なペダルを装着できる」こと。フラットペダルにSPD互換ペダル、LOOK互換にSPD-SL互換などなど、もう変幻自在です。

Tyrell FXの標準装備で取り外し式のフラットペダルは持っているので、SPDのペダルだけ買えば追加購入の必要もありません。しかもLOOK KEO互換ペダルも買っておけば、万一ガチ走りする機会があったとしても(ないけど)スピーディな対応が可能です。

じゃあ、コレでいいんじゃね?と、ポチりかけたのですが、気になるところが1点。それは、「精度感が不足している気がする」という点。クランクを回していて、ペダルがビシッと回転している感じが乏しい気がしてならないのです。もう素人の微妙な感覚でしかないので、根拠としてのエビデンスは無いも同然。でもでも、買った後で「やっぱり気になる」とかなったら、これは不幸な結果になるルートが確定です。別の選択肢を探すべきでしょう。

で、辿り着いた選択肢が、三ヶ島の取り外し式ペダル「Solution Black Ezy Superior」。

ちなみに、三ヶ島の取り外し式ペダルには「Ezy」シリーズと、「Ezy Superior」シリーズがあります。「Ezy」シリーズには両面SPDなどもラインアップされているので、一瞬心が動きかけたのですが、「Ezy」シリーズはペダル装着時に「ストッパーパーツをはめ込む」という手順が追加で必要になります。ペダルのほかにストッパーも無くしたり割れたりするリスクが上乗せされるほか、単純に手数が増えるのが面倒でイヤすぎます。

三ヶ島の取り外し式ペダルは、「Ezy Superior」一択!(※個人の感想です)

LOOKのビンディングシステムと比べてどうよ?

SPD-SLと比較して「外しやすい」と言われているSPDですが、実際のところはどうでしょうか。ロードバイクで使っている、LOOKのKEOペダルと比較してみました。

ちなみにSPDクリートには「シングルリリース」と、「マルチリリース」の2種類があります。これはプラスチックの原料が石油であるのと同様、意外に知られてないんですよね(ドヤ顔)。

両方試してみたのですが「シングルリリース」だと、「明らかにLOOK KEOより外しにくい」。「マルチリリース」だと、「LOOK KEOと同等ぐらい」というところでした。

これは個人の感覚と主観でしかありませんが、マルチリリースのクリートだとビンディングについて、割と無意識に近い状態でいられます。普段、ロードバイクでLOOKペダルを使って走っているときと、大体同じ感覚ですね。

それに対してシングルクリートだと「クリートを外す」という明示的な指示を左脚に与えないと、外れてくれない印象。「走行」から「クリート解除」に、脳内のメインタスクを切り替えてやる必要がある。たとえば交差点で止まるとき、いつもは「ブレーキ」と「ビンディング解除」がほぼ同時(意識は停止操作メイン)なのに、先に「ビンディングを外す」次に「ブレーキ」と、それぞれ意識を切り替えながらの操作になる感じ。

個人的にはマルチリリースの方のクリートしか、選択肢にならないですね。「マルチリリースは外れやすい」と言われたりもしますが、ヤビツの登坂でも別に引っこ抜けそうな感覚は、まっっっっっっっっっっっったくありませんでしたよ?

まとめ

ビンディングに交換しても、ヤビツでは死ぬ思いをする。これは間違いありません。平坦での走行性能についても、エビデンスは取得できませんでした。

なんですがヤビツでもりんりんロードでも、フラットペダルの時に比べて余裕を感じていたのは、間違いの無いところ。もちろん「感覚だけ」の話ではあるので、プラセボの可能性は極大だし、信憑性に疑問符が付きまくります。

それでも自分にとっては、唯一無二の実体験。しかも「登坂でも平坦でも同じ感覚を得られている」というのは、どんなデータよりも説得力を持つ「ビンディングペダルへの交換効果」にほかなりません。

また自分みたいなへっぽこサイクリストにとっては「雑にペダリングしてもペダルが(無理矢理)補正してくれる」というのは、実にありがたいポイントです。

ビンディングへの交換によって、財布からは何人もの諭吉が旅立っていきます。家計に与えるその痛みは、尋常ではありません。

ですが、考えてみましょう。1万回ヤビツ峠に登れば、1回登坂あたりの単価は、数円レベルに留まります。うまい棒1本よりも、はるかに安価。むしろ実質0円です。

しかもですよ!…おっと、そろそろ原稿用紙の残りが足りなくなってしまいましたね。それではみなさん、ごきげんよう(逃亡)。

著者
などかず

美味しくご飯を食べることをモチベーションにペダルを回し、機材の性能に頼り切って「頑張らないことを頑張る」物欲系へっぽこ自転車乗り。リアルで自転車に乗れない週末にはZWIFTで合計100km以上のバーチャルライドを欠かさないものの、脚力や走行スキルについての言及は意図的に避けている模様。愛車はLOOK675、ブロンプトンCHPT3 V2、タイレルFX(これだけとは言ってない)。

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