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フル外装7段変速!魔改造ブロンプトンに乗せてもらったら…

目指せよ快走 勝ち取れ安寧 いざ平坦ロードへ! 理想の走りを求めて さあ始めよう ゆるポタ。

囚われの駄文書き、nadokazuです。キミのカーボンロードも、折り畳み自転車にしてやろうか?

それはさておき。

「ブロンプトンは折り畳み性能が最高!だけど、走行性能が…」とか思っている方は、少なくないですよね。それを友人の@okya3さんは、「外装7段変速化」というおそるべき魔改造で解決していました。一緒に走る機会があったので、ついでにじっくり観察させてもらったのですが、いやー、凄かったです。というわけで、もう記事にせずにはいられませんでした。はい。

フル外装7段変速!魔改造ブロンプトンに乗せてもらったら…

ブロンプトンの「泣きどころ」って?

畳むと超絶コンパクトになる、折り畳み自転車ブロンプトン。その比類なき輪行性能は、自転車の楽しみを爆上げしてくれます。

だがしかし!

そんなブロンプトンだって、完璧な自転車ではありません。折り畳み時のコンパクトさに特化しすぎた故に…かどうかは知りませんが、ブロンプトンは自転車にとって最も大切な構成要素のひとつである「走行性能」が、他の折り畳みミニベロに比べて明らかな弱点です。

▼ブロンプトンでのヒルクライム、それは絶望の旅路。

ブロンプトンでのヒルクライム

私が独自に行った非常に信頼性の高い調査によると「ギアの選択肢の狭さが泣きどころ」と考えるブロンプトン乗りの割合が、実に100%に達するという衝撃の結果となりました(2020年12月 筆者脳内実施の調査に基づく n=1)。

そうなのです。ブロンプトンで走っていると、

「もうちょっとだけ、軽いギアが欲しい!」
「もうちょっとだけ、重いギアが欲しい!」

というシーンが、非常に多いのです。というか、もう走ってるあいだじゅう、ずっとそう感じていると言ってもいいほど。

それだけではありません!

6速モデルに装備されている内装変速機には、特有の内部抵抗があります。自分の鈍感センサーにはほぼ認識されないレベルではありますが、それでもペダルを回転させるときに、こう…なんだかヌメッとしたものを感じます。そして貧弱な脚からは、常に脚力が吸い取られ続けていくのです。…地獄!

▼脚力を吸い取る内装変速機。

脚力を吸い取るブロンプトンの内装変速機

「課題を解決できない乗り手」という高すぎる壁

でもでもそれって、ブロンプトン(=自転車の側)だけの課題なのでしょうか?

いいえ、決してそうは思いません。

ペダリングスキルやノウハウ、脚力などなど乗り手の側の対応で解決できる部分だって、大いにあるはずです。そう、「ちゃんとした自転車乗り」の方なら。

それはわかっています。わかっているんですが、自分はもう筋金入りのダメ自転車乗りなのです。脚力に向上する余地は残っていないし、鍛えたり学んだりする意志も意欲もありません。スキルなし、ノウハウなし、フィジカルへっぽこ。

そのうえ「なにも努力しないで、ラクに走れるようになりたい!!」という、自堕落極まりないメンタルしか持ち合わせていない…。駄目じゃん!!

そうなると、解決の方向性はひとつ。

機材に頼り切ること。つまり「多段化」そして「外装変速化」です。

それって…「廃人コース」なんじゃ?

とはいえ、cbn読者である自分は知っています。ブロンプトンの駆動系改造は、「廃人への道」であることを。

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それはフレームを広げたり削ったりするだけでなく、「小径車改造あるある(例:他の人と同じモデルで同じ改造をしているのに、自分だけうまくいかない)」と戦い続けることを強いられる茨の道。駆動系の改造に手を出すということは、人として超えてはいけない一線を越えてしまうことであり、二度と引き返せない魔道に身を堕とす行為にほかなりません。

最近では、ポン付けで外装4速化も可能なようですが、6速→4速になって段数減っちゃうのはちょっとなぁー。

参考 BROMPTON 外装4速カスタムのご紹介! – ローロ サイクルワークス スタッフBlog

…とか、思っていたのですが、そんな魔道に友人があっさり堕ちていました。

@okya3さん。

「荷物を満載したブロンプトンで、雪の中をキャンプに出かける」という変た…もとい、エクストリームなサイクリストです。

日頃から「フロントダブル」とか不穏なことを仰っていたのですが、あれよあれよという間に外装7速化に成功。久々に一緒に走る機会があったので、これ幸いとじっくり観察させてもらってきました。

魔改造ポイントをチェック!

パッと見で「このブロンプトンはおかしい…!」と、気付く部分がリアディレイラー。アルテグラになってる!フロントもGRXクランクになっていて、チェーンリングも極小サイズです。

写真を並べてみたので、比べてみてください。

▼ほぼノーマル。

ほぼノーマルのブロンプトン

▼okya3さんの魔改造ブロンプトン。

okya3さんの魔改造ブロンプトン

よくみてみると

  • フロントホイールが違う
  • シフターが違う
  • チェーンリングが違う
  • クランクが違う
  • BBが違う
  • チェーンが違う
  • ディレイラーが違う
  • スプロケが違う
  • リアホイールとフリーが違う
  • ディレイラーハンガーが違う
  • ディレイラーが違う
  • チェーンガイドが違う

…などなど、駆動系が総取っ替えされているのがわかります。

ついでにキャリアも純正じゃないし、ハンドルもPハンドルじゃなくなってます。もしかして…これ…オリジナルの状態なのは、フレームだけなのでは?

魔改造ブロンプトンの走りは?

サイクリングの途中で数km程度試乗させてもらいましたが、いやー、やっぱり外装変速だと全然違いますね。

ギア比がエクストリームキャンプ用にチューンされていたので、トップでも「軽っ!」と思えるぐらいのギア比でしたが、それを差し引いても明らかに回転がスムーズなのがわかります。

たとえば踏切手前によくある、微妙な坂を越えるシーン。ノーマルブロンプトンだと、そんなプチ坂でもしっかりトルクをかけることを意識する必要に迫られます。ですが、魔改造外装ブロンプトンだとちょっと意識するだけ。

「ブロンプトンなのに、普通の自転車の感覚で走れてる…!!」と、いちいち感動できます。

ブロンプトンの英国本社は、もうこの仕様をノーマルにして売ってくれ…!と、思わずにはいられませんでした。

魔改造スペック

教えてもらった魔改造スペックを一覧にしてみると、こんな感じです。

ホイール SILVERROCK External 7 Speed Alloy Wheel 16″ 1 3/8″ 349 Rim Brake 14/21H 16H 20H for Brompton 3sixty Folding Bike Custom Wheelset
ディレイラーハンガー ブロンプトン用ディレーラーハンガー
チェーンガイド RDチェーンガイド
クランクセット GRX FC-RX600-1 40T
シフトレバー SL-RS700
リアディレイラー RD-6700ss
チェーン CN-HG900
スプロケ シマノ11速用MIX(トップ11T,ロー25T)
BB TOKEN TK877TBT
その他 シフトアウターケーブル、リムテープ、仏式チューブ

▼シフター。

okya3さんの魔改造ブロンプトンのシフター

▼クランクセット。

okya3さんの魔改造ブロンプトンのクランクセット

▼RD周り。

okya3さんの魔改造ブロンプトンのRD周り

そしていろいろ伺っていて驚いたのが、

「ポン付けで取り付けできている」というところ。

にわかには信じがたかったのですが、たしかにどこにも削ったり無理矢理押し広げたりした形跡はありません。

いちばん注目したのは、トップ側に入れたときのチェーンとリアフレームのクリアランス。もう針穴に糸を通すような、本当に僅かな空きしかありません。パッと見だと、1ミリあるかないかぐらいに思えます。

これはフレームにホンの少しでも個体差があったら、即アウト。「小径車改造あるある」に、直面して泣きをみることになるんでしょうね。

▼写真だとチェーンと接触しているようにしか見えない。

okya3さんの魔改造ブロンプトン

okya3さんの魔改造ブロンプトン

折り畳みに支障はないの?

ここまでの改造を施されたブロンプトン、実は折り畳みに支障が…ということもなく、ちゃんと折り畳みできてました。唯一、チェーンとRDが接触することがあるのと、チェーンがたるむのでテンションかけてあげる必要があることぐらい。

魔改造ブロンプトンの折りたたみ

魔改造ブロンプトンの折りたたみ

折り畳み時のサイズがノーマルより大きくなるとか、折り畳み手順が異様に増えるとかは全然無く、外装変速のメリットばかりを享受できる、という印象でした。本国〜!やっぱり、コレがノーマルでよくない!?

ポン付けオッケーなら、マネできるかな?

ポン付けでOK!と聞いた瞬間、自分の脳裏には「マネさせてもらおう!」という小賢しいにもほどがある思いつきが、思いっきり浮かび上がりました。

…なんですが詳しく改造の経緯を伺っていると、集めたパーツを自分で組み付けられるだけの自転車整備ノウハウと、整備機材を持っていることが最低条件に思えます。そのうえで事前の情報収集と整理がきちんとできて、トラブったときに原因を探れるだけの探究心も不可欠。そして、なによりもトライ&エラーを恐れない姿勢までを併せ持っていないと、ここまではたどり着けないでしょう。

あ、それって、ぜんぶ自分には欠けてるヤツですね。無理!!!

「ポン付けできるキットが輸入されて、お店で換装できるようになる」ぐらいに状況が変わらないと、我がブロンプトンの外装化は夢のまた夢です…。

まとめ

さてさて、まとめると

  • 外装7段変速化は、パーツを揃えればポン付けで改造できる。
  • パーツ集めと組み付けには、知識と機材と探究心とトライ&エラーを恐れない姿勢が必要。
  • フレームに個体差があったら、チェーンと接触して即アウト。
  • スプロケとチェーンリングの組み合わせは、自分の走り方と脚力に合わせて試行錯誤してそれぞれの歯数を決めていくしかない。
  • 組み付けが自分でできれば、10万円かからずに改造可能。

というところでしょうか。

また忘れてはならないのが、ここに書かれたすべては「okya3さんをはじめ偉大な先達の方々が、チャレンジ精神と試行錯誤の上に積み重ねられてきたノウハウである」ということ。先達の皆さまへ、心からのリスペクトをもって本稿を締めくくりたいと思います。

(蛇足)
ちなみに、okya3さんとサイクリングに行ったのは、平坦パラダイスとして名高い、「筑波りんりんロード」。

の、はずだったんですが…

▼脚が…脚がモゲル…。

筑波りんりんロード

▼無理!ブロンプトンでこの斜度は無理!!

筑波りんりんロード

▼これで…これでもう上りは終わり…と思ったら、この先にもアップダウンが思いっきり出現する。筑波山は地獄!!

不動峠

▼気付けば恐ろしい高さに。

不動峠
どうして…どうして…こうなった…?(吐血)

著者
などかず

美味しくご飯を食べることをモチベーションにペダルを回し、機材の性能に頼り切って「頑張らないことを頑張る」物欲系へっぽこ自転車乗り。リアルで自転車に乗れない週末にはZWIFTで合計100km以上のバーチャルライドを欠かさないものの、脚力や走行スキルについての言及は意図的に避けている模様。愛車はLOOK675、ブロンプトンCHPT3 V2、タイレルFX(これだけとは言ってない)。

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