ワイヤレスで動作するハブ内装の2段変速システムで昨年話題になったベルギーClassified社のPower Shift。下の2つの記事で紹介しましたが、現行の11スピードカセットに加え、12スピードカセットもリリースされました。BikerumorとClassified公式サイトの情報をまとめます。
出典 Classified Powershift hub goes 12 speed for SRAM 2×12 gearing without a front derailleur – Bikerumor
公式 Cassettes | Classified
現行のClassifiedフリーでそのまま使える
- 素材はワンピース・スチール
- Classifiedの専用フリーハブ(既存製品)にポン付け可能
- 公式にはSRAM 12スピードシステムに対応するが、SRAMとCampagnoloの12スピードにはかなり良好な互換性があるのでカンパでも使えるかもしれない
- 用意されるカセットは次の通り(トップ10Tはない)
- 11-28 (11, 12, 13, 14, 15, 16, 18, 20, 22, 24, 26, 28) 重量はスペーサー込み186g Classifiedハブ併用時のギアレンジは371%
- 11-30 (11, 12, 13, 14, 15, 16, 18, 20, 22, 24, 27, 30) 同190g / 同398%
- 11-32 (11, 12, 13, 14, 15, 16, 18, 20, 22, 25, 28, 32) 202g / 424%
- 11-34 (11, 12, 13, 14, 15, 17, 19, 21, 24, 27, 30, 34) 230g / 451%
- 価格はいずれも199ユーロ(約2.6万円。ちなみに同社11スピードカセットは175ユーロ)
なおClassifiedは製造を加速中で、現在ヨーロッパにある60の取り扱いショップを今年末まで200程度まで伸ばしたい考えで、同社スタッフは今年の夏、バン(下の画像)でショップ行脚をするそうです。製品の90%はベネルクス三国(ベルギー・オランダ・ルクセンブルク)で製造されています。残りの10%はエレクトロニクス部品と思われます。
Classified社のジレンマ?
さて、従来のフロントディレイラーの機能をリアハブに持たせる、しかもワイヤレスで変速可能、高負荷下での変速にも耐える、という大変魅力的なClassified Power Shiftですが、海外サイクリストの声を見ていると、ハブがClassified専用品であることへの不満が多いようです。
カセットは消耗品なので、Classfiedは自社製品を売っていきたいところでしょう。しかしユーザーからすると、変速システム込みのホイールセットが約30万円と高価であることに加え、新興メーカーなので同社の将来性が不安、するとClassifiedが立ち行かなくなったらカセットはどうするんだ、という心配があるようです(恐らくその時は小規模なパーツ工房や中華業者から互換製品が出るとは思いますが)。
Classfied Power Shiftがシマノ・スラム・カンパニョーロのカセット互換のフリーを用意すればユーザー数はもっと増えると思いますが、そうすると消耗品のカセットを売れないので収益減。逆にクローズドなシステムにするとユーザーが伸びない。というジレンマがあるように見えます。
小さい会社で、かつ大量生産もできないので販売価格も高くならざるをえない。ユーザーは将来が不透明なシステムに大金を注ぎ込むのは不安である。そんな事情もあってヨーロッパのショップを回ってデモをして取り扱いショップを増やす、という地道な活動が行われるようです。
現場は昔のNHKのドキュメンタリー番組「プロジェクトX」のような雰囲気だったりするのかもしれませんね。
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