Lorisという工房がフランスのハンドビルド(自家製)自転車コンテストの「コンクール・ド・マシーヌ 2021(2021 Concours de Machines)」に出品した「Klin(クラン)」というコンセプトバイクをBikerumorが紹介しています。今のところ当然ワンオフのようですが、考え抜かれた美しい自転車に見えます。
このコンテストは過去にアレックス・サンジェやルネ・エルスといった伝説的なランドナー製作者も出品していた著名なもので、「自力での完走」を実現するための様々な要件が課されています。
出典 Found: The wild Loris Klin concept bike hints at a fully integrated bikepacking future (Bikerumor)
出典 LORIS Fibre Cycliste – Facebook
2〜3日を自給自足で走れるバイク
以下、Bikerumor記事の抄訳とLORISのFacebookページから辿れるカタログからの画像です。
- Lorisは2021年のコンクール・ド・マシーヌ(2021 Concours de Machines)にコンセプトバイクのKlinを出品した
- このコンクールには数多くの出品規定がある。ハンドビルド・バイクであること、2〜3日間自足するための十分な積載能力があること(電力供給や湯沸かし・ゴミ回収・救助要請・GPSトラックのフォロー等を含む)
- バイクは長さ1200mmで高さ900mmのスーツケースに収納できなければならないという規定もある(フランス国鉄SNCFの規定に沿うため)
- 勿論、実際に使えて見た目も素晴らしいバイクでなくてはならない
- 多くの人々がバイクパッキングを楽しむのは年に数回である、と考えたLorisは、バッグがなくとも1年中楽しめるバイクを作ろうとした。そのため27.5+ホイールとモダンなジオメトリ、短いチェーンステーを採用した
スーツケースに入る分割式フレーム
- フレームはカーボンファイバー製で、ヘッドチューブの組み立ては極めて独特。フォーク・ステム・ハンドルはワンピースである
- フレームはトップチューブとダウンチューブとの間で分割されており、フォークをインストールしステアリングチューブを挿入・固定してはじめてフロントが一体化される
バッテリーパックはステアリング管に
- ステアリングチューブには自家製のバッテリーパックが隠されており、Garmin GPSユニットに電源供給が可能でマウントもある。このステアラーはハンドルバーと共回りせずコンピューターは動かないため、画面が読みやすい
- ライトも出品要件なので、Klinは1600ルーメンのKLAMPライトをフォークにマウントし電源と繋いでいる。リアライトは充電式のSigmaでこれも接続するとバッテリーパックから電源供給される
ハードシェルのバッグ
- バッグはフラックスファイバー製のハードシェルを採用。長いシートチューブが必要となるためドロッパーポストは使えないが、大型サドルバッグを使っている人はそもそもドロッパーポストを使わないだろう
- メインバッグは6Lでキャンバス地の「ドア」を両側から開ける。Lorisによるとハードシェルはバッグを膨らませることなく荷物をコンパクトにし、中で荷物が暴れるのも防ぐという
- フロントバッグも同様のスタイルでやや小さめ。出品要件には4Lの水を格納するというものもあるため、メインバッグには1L、残りは3LのCamelbakで補っている。しかしフロント三角の中は空いているためボトルケージも付けられるだろうか
- 自転車本体の重量は11.8kgで、テント・寝具・調理器具を含む全装備込みで16.9kg(食料と水は含まず)
- 市販の計画があるかは不明だが、Facebookページがあるので参照されたし
バイクパッキングがコンセプトではありますが、バッグを外したら快速仕様のモダンなカーボンバイクですね。私の脚の長さだとリアバッグ搭載は200%不可能なのですが、専用バッグ類は空気抵抗も良さそうです(レースではない長距離走が前提ではありますが、向かい風が強いと横に張り出したバッグはジワジワと効いてきますよね)。
フラットバー仕様なのはフォークごとスーツケースに入れることを考えているからでしょうか。趣味性も高いですが性能的にもすごそうです。お値段はあってないようなものでしょう。日本国内だと、こういう面白いバイクを作る工房は何処になりそうでしょうか。