Wahooのスマートローラー(未発表製品)がヨーロッパのレース会場で目撃されています。UCI世界選手権タイムトライアルのウォームアップエリアに数台設置されていたものですが、同社からの製品発表はまだありません。CyclingTipsやDC Rainmakerが報じています。
The Olympics Champion has arrived in the @wahoofitness Warm-up Zone 🔥
Can @AnnaKiesenhofer do the incredible once more? #Flanders2021 pic.twitter.com/pRuqrub00k
— UCI (@UCI_cycling) September 20, 2021
出典 Wahoo’s New ROLLR: Exactly what is it? | DC Rainmaker
出典 Is Wahoo about to release a smart roller? – CyclingTips
電源なしでも使えるポータブルなトレーナーか
以下、情報を抄訳でまとめます。まずはDC Rainmakerから。
- 3日間で数百人のライダーが世界選手権のタイムトライアル会場でこれを使ってウォーミングアップしており、その様子が世界中に放送された
- ROLLRという製品名はWahooの命名規則に従っているため(母音の省略)、コードネームということはないだろうし、2021年の現在、何かを無駄に製造・出荷する余裕もないだろう
- Wahooに質問したところ次のような回答が得られた。「Wahoo KICKR ROLLR」は開発中の新製品であり、UCIと今年フランドルで開催されるロード世界選手権に参加するアスリートからの協力を得てテスト中である。発売日は未定だが2022年後半を予定している
- これは一般的なトレーナーではない。フロントホイール用スタンドはあるが、ダイレクトドライブ式ではないので互換性は高そうだ。ローラーはフリーフロートしているように見える
- しかし伝統的なローラー台とは違い、これはフライホイールを内蔵しているように見える。Feedback SportsのOmniumは大まかにこの製品に似ている
- リアには2つのローラードラムがありホイールはその中に収まる
- 縦方向のサイズ調整用クランプが見える
- 電源を使用してはいるが、電源なしでウォームアップしている選手の姿も見える
- フライホイールにはBluetoothとANT+ロゴが見える
- フロント部から伸びる2本のポールがフロントホイールの上部をクランプしているみように見える
- MTBタイヤが入るかどうかはわからないし、フロントの高さ調整機能があるかどうかもわからないので、650ホイールのTTバイクに乗る小柄なライダーが使えるかどうかは疑問だ
- 安定性はかなりあるように見える
- しかし正確性という点では、このようなシステムからは(スマートトレーナーに比べて)パワー計測の精度は50%にも満たないはずだ。過去数年にわたりこうしたローラーではパワー計測が正確でないことを私は示してきたが、Wahooには何らかの秘策があるのだろうか
次にCyclingTipsから。
- Wahooが小型のローラー・ドラムとフロントホイール支持スタンドを選択したのは、KICKRやElite Nero Rollerのような専用トレーナーではなく、ポータブルなウォームアップ用トレーナーを狙っているからだろうか。ローラー台はイベント前のウォームアップで使い勝手が良いのは間違いなく、専用のフロントホイールサポートがあるのでセットアップと分解も他社製品より迅速に行えそうだ
- しかし最小限のパッケージと呼ぶにはフロントホイールスタンドはかさばるし、可搬性を犠牲にしてしまう。するとこのスタンドは安定性供給以外の何らかの機能も提供するのだろうか、という疑問も湧く
WahooはUCIのオフィシャルスポンサーとなっているので、製品開発や新製品の露出の面でUCIレースの場を上手く活用できているようですね。リアホイールを外さないタイプなので対応できる車体も多いでしょうし、セットアップの時短という意味も大きい気もします。
パワー計測精度がどうなるのか、フロントスタンドには車体固定以外の機能が隠されているのか、KICKR CLIMBとの互換性はあるのか、ステアリング機能には対応するのか等々、多くの疑問が浮上していますが、ウォームアップに絞ったミニマルな製品なのかもしれませんね。