昨日CampagnoloからSuper Record Wirelessが正式発表されました。12スピードのフルワイヤレスコンポです。先週のリーク情報で見られた価格よりも高価で、ディレイラーのリムーバブル・バッテリーは前後で形状が異なる点などが話題になっています。この記事では海外メディアによる反応をご紹介します。
以下、road.ccによる製品紹介からの抜粋です。
- 最小コグは10T
- ディスクブレーキ版のみ
- サムシフターは消えた
- フルグループセットの重量は2,520gで現行のSuper Record EPS Discより20g重い
- クランクセットは50-34, 48-32, 45-29が用意され、クランク長は165, 170, 172.5, 175mm。QファクターはSuper Record EPSより広くなり147.5mmとなった
- チェーンリングのBCDが変わり、現行のSuper Recordのチェーリングとは互換性がなくなった
- N3Wカセットが3種類登場した。10-25t, 10-27t, 10-29tの3つ
- フロントディレイラーとリアディレイラーのバッテリーは取り外し可能だが、前後で形状は異なり互換性はない
- バッテリーはマグネット充電が可能で、バッテリーを取り外しても取り外さなくても充電できる
- 45分で90%の充電が可能。60分でフルチャージとなる
- 防塵・防水保護等級はIP69k(※筆者注:IP69kは「継続的に水没しても内部に浸水しない。高温・高水圧・スチームジェット洗浄にも対応可能」なレベルとされる)
- 価格は£4,499/$5,399(本記事時点のレートで75.5万円)で、先週リークされていたとある小売業者による表示価格よりも高いものとなった
以下、Bikeradarによる実際のテストライド・インプレッションからの抜粋です。
出典 Campagnolo Super Record Wireless first ride review
- (44km乗った感想)こんな短いライドから結論を引き出すのは難しいが、Super Record Wirelessの変速はSRAM eTapよりは速く、最新のShimano Di2よりは遅いように感じられた
- フロントディレイラーのシフティングとオートトリムの動作の間にはわずかな間がある
- 他の人の後ろで走っていると、フロントディレイラーもリアディレイラーもSRAM road eTapよりもバルキーに(=かさばって)見える
- シフターは12スピードのリムブレーキ版ほど細身ではないが、背は少し低くなっており以前の油圧レバーに比べるとボディは少し広くなっている
- レバーは以前のようにはアンギュラーではなく、トップも内側に傾斜しない。私の手は前世代のシフターのようには覆えていない感じだった。使っていけば慣れるのかもしれない
- サムシフターが消えたことについては問題は感じなかった
- 新しいフードは前モデルほど粘着性がない
- レバー下側、ブレードの真裏にはカットアウト(※筆者注:えぐり、と思われる)がある。以前はここに指を快適に回すことができたが、新製品ではカットアウトの頂点(リッジ)がシャープなので、それができなくなった。テストライドで敷石やポットホールの上を走ったら手がそのリッジに当たり、かなり不快だった
- パワーメーターが付属するSRAM Red eTap AXSよりも1000ポンドも高い。見込み客を遠ざける価格だろう
次はCyclingnewsからのちょっと気になる一文です。
出典 New Campagnolo Super Record is wireless, disc brake only, and the thumb shifter is gone
- 創業者トゥリオの孫であるダヴィデ・カンパニョーロは、この製品は彼が「スポーツ・ラグジュアリー」と呼んでいるカテゴリーに対するブランドからのコミットメントを表すものだ、と語る。価格は確かにそれを反映している。パワーメーターなしで£4,499.00 / $5,399.00 / €5,200.00 という価格からすると、カンパニョーロが価格競争での勝利に興味を持っていないことは明白だ
一般サイクリストからの反応としては、海外掲示板を眺めていると「価格が高すぎる」点と「前後でバッテリーの形状が異なること」点がだいぶ不評です。また上で紹介したダヴィデ・カンパニョーロ氏による「スポーツ・ラグジュアリー」という考え方にもやや批判の声が見られます。
カンパニョーロ製品がペーパースペックで見劣りすることはよくあるので、実際の詳細な使用感についてはもう少し待たないと全貌はわからないとは思いますが、各メディアの初期的な印象としては「微妙」というものが多いように見えます。
現在のカンパニョーロの立ち位置と世界経済の状況を考えると、ラグジュアリー・高価格路線で行く以外に方法はないのかもしれない、という気はします。