ツール・ド・フランス2023の第8ステージをまだ見ていない方向けの記事です。これから録画を見る、という方はその後にお読みいただけると幸いです。
海外掲示板ではマーク・カヴェンディッシュについて次のようなコメントが見られました。
- 悲しすぎる。彼は心が粉々になって(shattered)泣くことさえできないように見える
- 立ち上がろうとしていたね。ああ、打ちのめされて(devastated)いるように見える、お願いだから彼の顔は映さないで
- あの無理なスマイルは悲しい顔よりもさらに悲しく見える
- エピックなツール・ド・フランスのキャリアの最後としては、本当にひどいことになった
- いまいるライダーが記録を破ることってあるんだろうか?
- (上の人に)ないだろうね。考えてみると、35勝するには9〜10年にわたって毎年3〜4ステージ勝つ必要がある。新しい才能も現れてくるから、スプリンターにとっては本当にきついことだ。スプリントが遅くなっていくのは避けられないし、チームの目標も変わってくるし、出場するレースも違ってくる。カヴは最近のライダーの約3倍近くもステージ優勝している。現役か最近のライダーではペテル・サガンが12勝だ。マルセル・キッテルは14勝だが最後は6年前だ。ヤコブセンやフィリプセンのような人が記録更新に挑むかもしれないが、これから長い、長い道のりになる
- ないだろうね、フィリプセンかポガチャルなら可能性はあるかもしれないけれど、これから何年も、少なくとも毎年3〜4ステージ勝たないといけない
- もう1回だけツールを走れるか考えているんじゃないだろうか
- (上の人に)十分走れるだろうとは思う(昨日のスプリントではトップスピードを出していたし)。しかし… ツールだけの話ではなくなるからね、多くのイベントがあるだろうし、ライフスタイルをそれに合わせないといけないし、38歳に必要なリカバリー時間や、チームがあるかどうかということもある
個人的にも悲しい、というか、こちらが悲しいというよりカヴェンディッシュ本人の気持ちが心配になるような落車でした。海外掲示板では”devastated(=精神が荒廃するほど打ちひしがれる)”という言葉が多く見られ、まさにそれ以外に言葉がないような光景でした。
ところで今回のツールでステージ3勝の大活躍を見せているスプリンターのヤスペル・フィリプセン(アルペシン)については、「素晴らしい選手ではあるけれど、スプリント時の斜行を繰り返しており、カヴェンディッシュと競った第7ステージでも降格処分になるべき走りだったのではないか」という声が海外掲示板では多く見られました。
一方で、仮に第7ステージでフィリプセンが降格処分になっていたとしても、それによって得られたかもしれないステージ優勝記録更新をカヴェンディッシュが喜んだとは思えないし、多くの人から物言いが付くだろうし、主催者側もペナルティを課すのは難しいと感じたのではないか、という意見もありました。
しかし、今回のカヴェンディッシュは「勝てる」仕上がりになっているように見えましたね。チームや戦局には恵まれなかったかもしれませんが、脅威のある強い選手であることを示した第7ステージの走りと、ステージでのトップスピードは大きい印象を残してくれたのではないでしょうか。リタイヤは寂しいですが、カッコよかったですし、存在感を示してくれたと思います。