ROTOR 1x13(ワンバイサーティーン)という、今年の春頃に鳴り物入りで正式に発売が開始されたコンポがあります。フロントシングル、リア13速、しかも変速を油圧で行うという、あまりにも斬新な製品です。
しかし下の記事で書いたように、発売前なのに世界的に不人気の製品なのでした…
2×11で実際に使用可能なギア14枚まであと1枚という13スピードの偉業を達成したにもかかわらず、
どこまで増やせば気が済むんだよ!
とか
そこまで行ったんなら14枚まで行っとけ!
などと、なぜかイチャもんを付けられる始末です。
さらに「ディレイラーなのに油圧で変速する」ところも大不評。ブリードが面倒じゃないか、何考えてるんだ、とか、しまいには
見た目がアグリーすぎる
と、とどめを刺されてしまった感じです。
私自身も最初は正直、「これはないな」と思いました。しかし不思議なもので、最近よく目にするたびに何故かこれがカッコ良く見えはじめてきたのですw
自分で買うことは絶対ないと思うのですが(扱いも大変だし値段も高いだろうから)、これまで「当たり前」だったディレイラーの流線的でエアロなフォルムを徹底的に拒否しているかのような、この平面的でカクカクしたデザインが「なんか突き抜けてんなー、これはこれでいいんじゃないか」と思えるようになってきたのです。
何というか、過去のどんなディレイラーにも似ていないじゃないですか。
こうやって後ろから見ると空力的にも実は良さげのような気もします。
それでこのROTOR 1×13をサイクルモードでじっくり眺めたい… などと思っていたのですが、なんと展示は一切なし。
ええー… こういうトンガッたものほどサイクルモードで手に取っていじってみたいじゃないですか。残念。油圧でパシュッ、パシュッ、とケージが動くさまを観察してみたかった…
というわけで、最近はこのROTOR 1×13、個人的には気になっています。
でも売れるか売れないかといったら、売れないような気もします。SRAMがワイヤレスのeTap AXSを出して、シマノも来年はDura-Aceがワイヤレス12スピードになる可能性もあるとなると、ちょっとタイミングが悪かったかも(デュラエースは実は来年は出ない、という噂もちらほらと耳にはしますが)。
あと、やっぱり名前はちゃんと付けたほうが良かったかも。このコンポは「1×13」、ワンバイサーティーン、が正式名称です。
シンプルで良いのですが、ブランディング的にはちょっと不利。無理矢理にでも派手なネーミングにしたほうが良かったんじゃないでしょうか。「ROTOR HYDRO 13(ハイドロサーティーン)」とか。
それともじわじわと売れてくるんでしょうか。
ちなみにシマノもSRAMも13スピードを出すことはないような気がします。段数を増やすとしたら、たぶんチェーンをはじめとする駆動系のデザインを一新して14スピードに飛ぶんじゃないでしょうか(シマノは確か10年くらい前に14スピード用の全く新しいデザインのチェーンの特許を申請しています。それが示唆しているのは、14速は従来の設計の延長線上では実現が難しい、ということでもあるでしょう)。
ROTOR 1×13、ほんと不思議なコンポーネントです。これ、サイクリングロードなどで見かけたら「うおおっ!!」ってなりますよねw えーっ触らせて触らせて、と一躍人気者になるのは間違いなし。目立ちたい方、是非導入してみて下さい!