油圧ディスクブレーキにベビーオイルを入れたら使えるか、という動画がちょっとした話題です。投稿者はチャンネル投稿者数166万人を誇る世界的人気の自転車YouTuber, Seth’s Bike Hacks(セス・バイク・ハックス)。
ジョンソンのベビーオイルでブリード
セス氏のファットバイク、シマノ製ディスクブレーキが装着されています。フロントはシマノ純正ブレーキフルードのままですが、1年前、リアブレーキは中身をジョンソンのベビーオイルに入れ替えてしまったそうです。
その後1年が経過。安全性に関わるテーマであるだけに、彼のバイク・彼のブレーキ・彼のライドスタイルでは…という慎重な前置きが付きますが、問題なく使えてしまっている、と彼は語ります。
その上で、
- 専用ブレーキフルードとベビーオイルは同じものと言えるのか?
- ベビーオイルは入手性が良いと言えるのか?
- ベビーオイルはブレーキフルードと同じ性能を発揮するのか?
- Oリング等のシーリングに影響はないか?
- ベビーオイルは安上がりと言えるのか?
といった点が考察されています。
もちろん成分的には全く同じわけはありません(純粋な状態のミネラルオイルであっても粘度や沸点は同じではなく、さらにメーカー各社は成分を細かく調整してきます)。
入手性については当然、良いです。ブレーキフルードを販売用に置いていないバイクショップはあっても、ベビーオイルを置いていないドラッグストアはないでしょう。
性能についてはどんな気温で、どんな高低差で誰がどんな乗り方をするかで変わってくるので一概には言えないものの、彼の場合では問題なかったようです(もちろん「1年間は」という但し書き付き)。
Oリングへの攻撃性については、顕微鏡で観察したところ確認されなかったそうです。
またシマノのブレーキフルードに比べるとベビーオイルのほうが「安く買える」のは間違いないにしても、「おむつの匂いがする」のでブレーキに何か問題が生じた場合は「あんたベビーオイル使っただろ」とバレてしまいメーカー保証を受けられなくなる可能性があるので、その意味では結果的に高く付くかもしれない、とも。
推奨はしないが緊急時の選択肢なら…
セス氏はこの動画があくまでエンターテイメント目的の実験であり、メーカー純正ブレーキフルードのかわりにベビーオイルを使うことを推奨したいわけではない、としています。
が、もし
いますぐブレーキにオイルを入れなければ残された運命は死しかない
というアポロ13号的状況にある場合は、ベビーオイルが使えるかもしれない、と語っています。
アポロ13号は、1970年4月に行われた、アメリカ合衆国のアポロ計画の3度目の有人月飛行である。途中での事故によりミッション中止を余儀なくされながらも、その後に見舞われた数多くの深刻な危機的状況を脱し、乗組員全員が無事に地球へ帰還した。
もしかすると油圧ディスクブレーキの自転車で世界旅行をしていて近くに自転車専門店がないような時とか、閉ざされた雪山や離島に住んでいる方でブレーキフルードを手に入れるには10日かかる、でもブレーキが使えないと死んでしまう、という場合のサバイバル的手段として覚えておくと良いのかもしれません。