ツール・ド・フランス2021でエディ・メルクスのステージ優勝数34に並び、その記録を更新するかどうかが注目されているマーク・カヴェンディッシュ(ドゥクーニンク・クイックステップ所属、イギリス・マン島出身の36歳)。第19ステージの開始直前、彼がチームメカニックに対して激昂している姿がSNSに拡散され、大きい話題になっています。
ヘッドセットの調整が原因?
下が問題の動画で、Twitterで拡散されました。これを見ると、カヴェンディッシュはハンドルを左右に振った後に「こうじゃねぇんだよ!」という感じで怒っていますね。考えられる可能性としてはケーブル類の配線かヘッドセットの与圧(プリロード)のかかり具合が問題だったのでしょうか(個人的には後者かなと推測)。固すぎたのか、逆にゆるすぎたのかもしれません。
こちらは別アングルから。何を言っているかは聞き取れませんが、大声で罵声を浴びせている感じです。その後、カヴェンディッシュはチームバスに戻っていってしまいました。バスに乗る直前にはFで始まるフォーレター・ワードも聞こえます(しかしカヴェンディッシュの声かどうかは判別が難しいです)。
Mark Cavendish, ladies and gentlemen. pic.twitter.com/lls0NyJofM
— Max Vanhove (@MaxBets001) July 16, 2021
大事にしている人には声を荒げるべきではない、と本人は反省
この件についてカヴェンディッシュはInstagramで次のように釈明しています。
皆さんの多くが今日のステージ開始時の動画を見たことと思います。
ツール・ド・フランスのレースの日には、ライダーは危険の多い状況に晒されます。そのため私は身の安全を確保するため、自分の自転車が完璧なものであってほしいと思っています。
今朝、私が受け取った自転車にはいくつかの問題がありました。それでも、私はこれほど多くの人の前でこんなふうに反応するべきではなかったと思います。私はメカニック達と10年以上とても仲が良く、彼らは私の安全と成功のために身を粉にして働いてくれました。彼らは私がストレスを抱えている時にどれだけ短気になるかを知ってはいますが、誰に対しても、とりわけ自分が大事にしている人には、こんなふうに声を荒げるべきではありません。
@deceuninck_quickstepteamの成功要因の最大のもののひとつは、私達がお互いを愛していて気遣っていることであり、こうした会話はその家族の中に留められるべきだと思っています。
私達は今日起こったことを話し合い、#tdf2021を成功裏に終えるために、Wolfpackはチームとして最善を尽くすつもりです。
マーク・カヴェンディッシュは昔から短気な男として有名です。ツール・ド・フランスも残り2ステージで心身ともに疲労していることでしょうし、加えてステージ優勝数がメルクスのそれを超えるのかどうかというプレッシャーもあることでしょう。いつも以上にピリピリとナーバスになっているだろうことは想像に難くありません。
だからといって仲間への暴言が許されていいのか、ということですが、これは部外者が判断するのは非常に難しい。公衆の面前で仲間をこき下ろすのはもちろん良いことではないと思いますが、カヴェンディッシュとメカニックのあいだにどれだけの信頼関係があり、何が許せて何が許せないかの基準は、彼ら「家族」しか知らないことだと思います(同じ理由で、何がDVかそうでないかの判定も難しい)。
しかし海外のサイクリングファンのあいだでは「品格がない。チームは彼をクビにするべきだ」という意見や、「彼らは良い給料をもらっている。これは仕事なんだ。故にプロとしての言動が求められる。どんなにプレッシャーがあっても、どんな事情があったとしても癇癪を起こすのはプロフェッショナルではない」という意見も見られます。
逆に「私がカヴのファンなのは、彼にこういう精神的な脆さがあるからだ」という意見も。喜怒哀楽の感情を露わにするカヴェンディッシュに人間味を感じて擁護する声も多いです。皆さんはどう感じられたでしょうか。