春頃から噂されていたCervélo R5の2022年モデルが正式発表されました。この4代目は前代モデルよりも軽量になり、剛性は逆に下げられています。サーベロ公式サイトには”WHAT GOES UP MUST COME DOWN”(上がったものは下がらなければならない)という意味深なキャッチコピーが見られます。
海外各メディアが報じていますが、本記事では主にBikeradarによる紹介をまとめてみます。
公式 Cervélo R5 – cervelo.com
出典 Cervélo launches 2022 R5 Disc | 703g frame weight for new climbing bike – BikeRadar
前代R5はプロにもフロントが硬すぎた?
以下、R5 2022年モデルの特徴と開発の経緯です。
- フレーム公称重量は703g(56cmサイズ・塗装後)で前代から130g軽量化された
- これは過去の伝説的なR5CA(680g)やRCA(667g)のレンジに近付いている
- しかしR5CAやRCAは非常に高価な限定バイクであり、リムブレーキだった
- フォーク重量は329gでフレームとの合計では1032gとなる
- 新しいHB13ハンドルは12g軽量化、ST31ステムも12g、SP24シートポストも20gそれぞれ軽量化された
- ブレーキホースはインターナルルーティングに変更
- タイヤクリアランスは34mmへと拡大(前モデルのディスク版では30mmだった)
- 剛性を落とすことでよりコンフォートなモデルとなった
- この新しいR5 2022年モデルはプリモシュ・ログリッチが2021年のブエルタ・ア・エスパーニャで勝利した際に乗っていたモデルで、4月にはフレーシュ・ワロンヌで初めて目撃されていた
- サーベロがスポンサードしているプロライダーは(ステージ内容に応じて)バイクを交換するよりも、重量差がほとんどないSシリーズに乗り続けようとする傾向があったので、この新モデルでは純粋なクライマーバイクを目指すことにした
- フロントエンドは剛性を落としているが、ジオメトリはR5のハンドリングを好んでいるプロの提案を受け、ほとんど変えていない。大径タイヤに対応するためにトレイル量を0.5mm調整しているだけだ
- ユンボ・ヴィスマのトム・デュムランをはじめとするプロは前代のR5モデルについて、特にフォークが固いと不満を漏らしていた
- 剛性が過剰すぎるためグランツールの後半では不快さが増していったという
- クライミングバイクで剛性を落とすという考えは間違った方向にも思えるが、サーベロはグラベルバイクのAsperoやエンデュランスモデルのCaledoniaの開発を経て、ヘッドチューブ〜ボトムブラケット間の理想的な剛性比を発見したという
- そのマジックナンバーは45パーセントで、ヘッドチューブはBBの45%の剛性となっている
- この新R5へのデュムランからのフィードバックは良好で、彼はフロントエンドの剛性について最も注文の多いライダーだっが、今では素晴らしいものになったと言っている。ログリッチは「問題がない良いバイクだ」と述べているという
- 価格はSRAM Red AXSモデル・Shimano Dura-Ace 9200 di2ともに12000ドル、Force AXSモデルが8400ドル、Ultegra 8100 Di2が8700ドル。フレームセットは5000ドルとなっている
日本でも人気が出そうな1台
フレームもフォークも究極の剛性を目指していた前代R5は、プロレーサーにとっても連日のレースでは固さが感じられたようですね。逆に言うとワンデーレースなら無敵だったのかもしれません。
ヒルクライムを得意とするモデルで「剛性を落としました」というキャッチコピーは確かに意外な気はしますが、オールラウンドなクラシック・ロードバイクを愛好する一般ライダーには歓迎されそうな乗り味に仕上がっているようにも見えます。
クリアランスも拡大されているので、ヒルクライムのついでにちょっと林道に寄り道してみたい、という人でもグラベルタイヤを履かせれば両方バランス良く楽しめそうな気がします。日本では特に人気が出そうなモデルではないでしょうか。
しかし問題なのは納期。サーベロはスイスのベラチスポーツで安く買えたりするのですが、もともと納品回数が少ないブランドらしく、加えてコロナ禍による供給不足なので、本当に欲しい方は注文できるタイミングで注文しておいたほうが良さそうです。