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Mavicタイヤ推奨空気圧の謎 70kgのライダーを想定?

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最近Mavic Yksion Pro USTというチューブレスタイヤを使っています。サイズは25c。このタイヤ、最低空気圧は72psi/5bar・推奨空気圧は87psi/6bar・最大空気圧は102psi/7barとなっています。タイヤサイドに刻印されています。

Mavicタイヤ推奨空気圧の謎 70kgのライダーを想定?

メーカーが6barを推奨しているので、最初はそれで試してみました。するとCosmic Elite USTというホイールはクリンチャーで乗っていた時より断然いいものに化けました。

しかしです。気持ちいいんだけど、もっと空気抜いてもいいんじゃないかな、という気がしたのです。

そもそもすべての体重の人に推奨6barということが言えるわけがないですよね。

そして実際5barで乗ってみたら、このほうがもっと気持ちいい。そんなことをツイートしたところ、体重別の推奨空気圧を計算してくれるMavicのアプリがあるよ、と教えてもらったので試してみました。

MyMavicというアプリ

MyMavicというアプリです。私が試したのはiPhone版(Android版もあり)。もちろん無料。これは3つのことができるアプリです。下のスクリーンショットのように、ホイールの製品登録と、最適な空気圧の算出、最適なタイヤ幅の提案、という3つ。この記事では空気圧の部分のみ取り上げます。

Mavicタイヤ推奨空気圧の謎 70kgのライダーを想定?

最適な空気圧の調べかた

このMavicアプリは、9つのパラメーターから「最適な空気圧」をはじき出してくれるもののようです。その9つとは、

  1. 自転車のタイプ(※ロード&オールロードの1つしか項目がない。つまりロード乗り専用アプリ)
  2. 目標(パフォーマンス・バーサタイル(※1)・コンフォートの3つの中から選ぶ)
  3. チューブタイプ(チューブ、チューブラー、チューブレスの3つの中から選ぶ)
  4. ウェザー(ドライ・ウェット・ミックスの3つの中から選ぶ)
  5. リム幅(700と650で、13c, 15c, 17c…等を選ぶ。リム内径)
  6. タイヤ幅(25mm〜40mmくらいのあいだで選ぶ)
  7. ブレーキタイプ(リム幅19cか21cを選択すると出現。リムかディスクかを選ぶ)
  8. 体重(任意の数字)
  9. 自転車重量(任意の数字)

(※1)のバーサタイル、versatileというのは「いろんな・多用途の」という意味。レースもやるしロングライドもやる、という方はこれを選べば良いでしょう。

さて、9つとは言っても最初の項目は選べないし、私のCosmic Elite USTはリム内径17mmなのでブレーキタイプを選ぶ必要はありません。選択したり入力するのは7項目。下は画面イメージ。

Mavicタイヤ推奨空気圧の謎 70kgのライダーを想定?

いろいろ選択して数字を入力して「計算」ボタンを押すと、右下のように「推奨されるタイヤ空気圧」が出てくるというというわけです。

Mavicタイヤ推奨空気圧の謎 70kgのライダーを想定?

実際にどんな結果になったかというと

では実際にどんな結果になるのか。実験として、体重以外のパラメーターを以下に固定してみます。

  • 自転車のタイプ:ロード&オールロード
  • 目標:パフォーマンス(レース志向の人はこれを選ぶ)
  • チューブタイプ:チューブレス
  • ウェザー:ドライ
  • リム幅:700x17C(Cosmic Elite USTがこれ)
  • タイヤ幅:25mm(Yksion Pro USTがこれ)
  • 自転車重量:7.5kg

その上で体重のみを70kg〜30kgまで、5kg刻みで変えていった結果がこちら。

Front Rear
70kg 5.8 bar / 84 psi 6.2 bar / 90 psi
65kg 5.5 bar / 80 psi 5.7 bar / 83 psi
60kg 5.4 bar / 78 psi 5.4 bar / 78 psi
55kg 5.4 bar / 78 psi 5.4 bar / 78 psi
50kg 5.4 bar / 78 psi 5.4 bar / 78 psi
45kg 5.4 bar / 78 psi 5.4 bar / 78 psi
40kg 5.4 bar / 78 psi 5.4 bar / 78 psi
35kg 5.4 bar / 78 psi 5.4 bar / 78 psi
30kg 5 bar / 73 psi 5 bar / 73 psi

これを見てまず思ったのは、Yksion Pro USTのタイヤサイドにある「推奨空気圧6bar」とは体重70kgくらいの人を想定した数字ではないかということ。フロント5.8 bar、リア6.2 barと前後で違うものの、これは「何も考えずにやるなら6barあたり」でいいよ、という数字です。

次に思ったのは、60kgから下は数字が全部同じになっていること。30kgにしたら変わったけど、30kgの人ってあまりいないですよね。それに60〜35kgまで全部同じ数字というのもおかしい。

考えられる理由は2つ。1つは、このアプリのバグ。不正確な数字が出ている。もう1つの理由は、Mavicは体重60kg以下の人のことをあまり真面目に考えていないということ。60kg以下の奴なんかいない、と思っているのかもしれない。この可能性、あるんじゃないのかな。だから数字も設定していない。30kgだけいきなり数字が変わるのが謎ですが…

ところで上では「目標」として「パフォーマンス」を、つまりレース志向の人向けの項目を選んだのですが、これを「コンフォート」に変えてみます。結果は変わるでしょうか。

Front Rear
70kg 5.3 bar / 77 psi 5.6 bar / 81 psi
65kg 5 bar / 73 psi 5.2 bar / 75 psi
60kg 5 bar / 73 psi 5 bar / 73 psi
55kg 5 bar / 73 psi 5 bar / 73 psi
50kg 5 bar / 73 psi 5 bar / 73 psi
45kg 5 bar / 73 psi 5 bar / 73 psi
40kg 5 bar / 73 psi 5 bar / 73 psi
35kg 5 bar / 73 psi 5 bar / 73 psi
30kg 5 bar / 73 psi 5 bar / 73 psi

空気圧、下がりました。しかし、ここでも体重60kg以下の人は全部同じ数字です。本当なのかw まぁ5barが最小空気圧なのでそれより下の数字を出すわけにはいかないのでしょう。とはいえこれを信じるのなら、6barも入れなくていいんじゃないかという私の感覚は裏付けられました。体重が60kg以下であれば5barでもOKなんですよ、きっと。

ついでに「目標」を「パフォーマンス」に戻し、なおかつ「ウェザー」を「ドライ」から「ウェット」に変えてみます。その再計算結果がこちら。

Front Rear
70kg 5.5 bar / 80 psi 5.8 bar / 84 psi
65kg 5.2 bar / 75 psi 5.4 bar / 78 psi
60kg 5.1 bar / 74 psi 5.1 bar / 74 psi
55kg 5.1 bar / 74 psi 5.1 bar / 74 psi
50kg 5.1 bar / 74 psi 5.1 bar / 74 psi
45kg 5.1 bar / 74 psi 5.1 bar / 74 psi
40kg 5.1 bar / 74 psi 5.1 bar / 74 psi
35kg 5.1 bar / 74 psi 5.1 bar / 74 psi
30kg 5 bar / 73 psi 5 bar / 73 psi

うん、「ドライ」の時より若干数字下がりました。ただこれも体重60kg以下は全部同じ。30kgになると数字が変わるけど誤差みたいなものです。

うーんこのアプリ…誰の役に立つんだろ…と思えてきましたw

ちなみに「最適なタイヤ幅」を提案してくれる機能は、さらに使えません。想定されているユーザー層がよくわからない。ただここはロード以外にMTBも選べて、タイヤ幅がインチで出たりするのでMTBの世界をよく知らない人には参考になるのかもしれません。でも謎です。基本的に誰得なアプリという印象は拭えません。

いや、そうでもないか。というのも「最適なタイヤ幅」の推奨結果とともに、「あなたにとって理想的なマヴィックのタイヤ」も推薦されるのでMavic的には有益なツールでしょう。でもかなり初心者向けです。ユーティリティというより、マーケティングツールです。

カスタマーサービスもちょっと謎

「マヴィックカスタマーサービスに連絡する」という項目があるので、タップして眺めてみました。するとこういうリストが表示されます。

Mavicタイヤ推奨空気圧の謎 70kgのライダーを想定?
 
日本がないwwww なんで… やっぱり日本の市場って特殊なのかな。

あと書き忘れましたが「最寄りのマヴィック販売店を見つける」という項目があります。これはたくさん日本のショップが出てきました。住所や電話番号があり、URLというボタンを押すとサイトに飛べたりもするのでこれは便利かも。

でもねぇ。やっぱりこのアプリ、完成度が低いというか、そもそも必要なのだろうか、という気がします。基本的に製品登録してもらうことが目的のアプリで、タイヤ空気圧やタイヤ幅の提案といった機能はおまけなのではないかと思います。

海外で買ったMavic製品の登録はできるだろうか。できるかもしれません。なぜなら世界共通のアプリであり、単にロケールが日本語になっているだけですから。ここから製品登録すると保証期間が3年に延長されるそうです。外国で買った製品もそうなるはず。そうでないとおかしい。

結論: 空気圧に正解なし

というわけで、どのくらいの空気圧が最適かどうかという問いには正解がまったくないので、いろいろ試して自分の感覚を頼りに決めましょう。

とりあえず体重70kg以下の方であれば、Yksion Pro USTの「推奨値6bar」というのは無視して良いでしょう。最小値の5barから試してみてはどうでしょうか。

著者
マスター

2007年開設の自転車レビューサイトCBNのウェブマスターとして累計22,000件のユーザー投稿に目を通す。CBN Blogの企画立案・編集・校正を担当するかたわら日々のニュース・製品レビュー・エディトリアル記事を執筆。シングルスピード・グラベルロード・ブロンプトン・エアロロード・クロモリロードに乗る雑食系自転車乗り。

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