私がスポーツ自転車に乗り始めたのは1981年、19歳の時です。
そして、大学2年の時、20歳の夏休み。
KDD(現在のKDDI)に納める『電話交換機シミュレータ』の製作を請け負っていた町工場でのバイトで、はんだ付けを朝から晩までやりまくり、家庭教師も掛持ちして一気に稼ぎ過ぎてダブついた(笑)資金を元手に初めてロードを買ったのでした。買ったのは量産市販車。
当時、例えばロードを買う場合、大きく分けて選択肢が2つ、存在しました。ひとつが、スポーツ自転車店で量産車から選んで買う場合。国産ではブリヂストン、ミヤタ、ナショナル(現Panasonic)、片倉シルク、丸石、川村など。
イタリア車を扱う店もいくつか存在し、そこでは、チネリ、デ・ローザ、コルナゴ、ビアンキ、ロッシン辺りが人気だったように思います。
そして、もうひとつの選択肢が、ハンドメイド、です。当時は、少なくないスポーツ自転車店が、ハンドメイド車の代理店となっており、そこでオーダーを受けてくれるシステムが機能していました。
当時の人気ハンドメイド工房といえば、
- ズノウ製作所(ZUNOW)
- 東叡社(TOEI)
- シクロウネ(3Rensho)
- 今野製作所(CHERUBIM)
- タカムラ製作所(RAVANELLO)
- オリエント工業(VOGUE)
- 土屋製作所(EVEREST)
- 九十九サイクル(Kalavinka)
- シクリ・プロトン(PROTON)
- アマンダ(AMANDA)
- 細山製作所(futaba)
- レベル(LEVEL)・・・
他にも多くの工房を挙げることができますが、このハンドメイドという選択肢は当時、珍しいものではありませんでした。
中学生のころからサイスポをむさぼり読んで知識だけはあった当時の私ですが、最初のロードは安心を買おうと思い、量産車から選びました。
しかし、ジオメトリを徹底的に突き詰めることができるハンドメイドのアドバンテージに気づくのに時間はかかりませんでした。
CHERUBIM CRとは何者なのか
- 逆スローピングで先鋭的、短いホイールベース
- 低めにセッティングしたセミドロップのマスターシュハンドル
- 鋭く走って鋭く制動し、鋭敏に旋回する運動性能抜群の20インチホイール小径車
これがCHERUBIM の小径車 ”CR” に与えられていたコンセプトです。CHERUBIMブランドの発信元、今野製作所の創業者であり、先代のチーフビルダー、故・今野仁さんの想いは、明白でした。
さっと加速してギュッと曲がって、ガッと制動する。そんな自転車ですよ、コレは・・・
ロード・フレームをオーダーした1988年から13年。小径車をオーダーするために今野製作所に赴いた2001年の秋、今野製作所の創業者である故・今野仁さんが話してくれた言葉です。
そして、これがオリジナルのCHERUBIM CRです。
長野県栄村を舞台とする真夏の総登坂2500mのサイクリングイベントに初めて参加した2007年、オリジナルのCHERUBIM CRとまさかの邂逅を果たし、栄村の山道で2台のCRが並走するという稀有な事態が実現してしまいました。
鮮烈な逆スローピングにセミドロップ・マスターシュ。実にキレのあるCRの体躯は、オーナーさんの見事な走りをしっかり支えていました。
私が狙っていたもの
200kmオーバーのサイクリングを、丹下NO.2やカイセイ022のスチールロード並みに快適に走り切ることを狙った 『マドガード付き小径車』 を作りたい
私は当時、そんな風にぼんやりと、数年間にわたって考え続けていました。そして、ようやく決定したフレーム・ジオメトリを携え、今野製作所を訪ねます。それが2001年秋。
当時、アルテグラ・グレードのキャリパー・ブレーキで真っ当なデザインのラージサイズがリリースされ、マドガードがきれいに取り付けることが出来そうだ、という状況にも背中を押されました。
狙ったのは結局、グランツーリスモ的な小径車ですが、ホリゾンタルトップ、ホイールベース、リアセンター、フロントセンター、BB高さ、キャスタアングル、シートアングル、果てはトレイル量に至るまで、普段乗っているスチール・ロードのそれをほぼ引用することで、スチール・ロードに準拠した長距離走破性を小径車に与えようと考えました。
しかし、そんな小径車がCHERUBIM ” CR ” たりうるという発想は、今野さんはお持ちではないだろうし、CRベースでの製作は断られるのでは、と思っていました。そして、前述の仁さんの言葉が語られたというわけです。
そこでまず、量産市販小径スポーツ車のみならず、ハンドメイド工房の小径車も含めて、小径車のフォークオフセットが軒並み、かなり過大ではないか?という話を仁さんに持ちかけ、
全くその通りだよね。なぜならば・・・
ということで話が盛り上がったところで、自分が考える小径車のコンセプトを説明しました。恐らく、CRベースでの製作は断られるだろうと思い、CRではなく、ラグレス・ロードフレームのラインアップ(当時は” RF ” )を選択し、それをベースにした小径車用フレームをジオメトリ・フルオーダーで作ってほしい旨、申し上げました。
しかし、私の小径車コンセプトに興味を持ってくれた仁さんは、
CRで作りましょう
CRベースでのフレーム製作を快諾してくれました。
ジオメトリの決定
今も当時も、毎日のように乗っているのは長年乗り続けてきた2台のスチールロード。FTB QUARK(1983年製作)とCHERUBIM R3(1988年製作)。剛性はかなり異なりますが、似たようなジオメトリの2台。
自分の身体は最早、この2台に馴染み切ってしまい、快適極まりないこれらのジオメトリから逃れられない身体になってしまっています。
したがって、小径車のフレーム・ジオメトリの検討は、このロードのジオメトリをデフォルトとして考えるところからスタートしています。
そうはいいながらも、様々な可能性を考えました。しかし、散々長考した挙句、ロード車のジオメトリから大きく変更する理由などどこにも存在せず、結局、ホリゾンタルトップ、ホイールベース、リアセンター、フロントセンター、キャスタアングル、BB高さ、シートアングル、トレイル量などをロードとほぼ同等にする、ということに落ち着きました。
グランツーリスモ的な小径車を狙う場合には、「人と自転車のインタフェイスの位置関係や操舵特性を普段乗っているロードに近づける」という考え方は特異でも何でもなく、これこそが「基本に忠実」であり、ある意味、「保守的」とも言えるものです。ヘンテコな自転車が出来上がってしまうリスクを排除するためにも、この考え方は極めて有効です。
ところで、ジオメトリを考察する場合、その都度、概算しても良いのですが、全体のバランスを抜け漏れなく監視するには、それ相応のツールを使うのが得策です。
というわけで、マイクロソフトのEXCELの利用が一般化してきた1990年代中盤頃から、主にEXCELでジオメトリ計算を行っていました。最近版は” ZITENSYAEXPLORER”としてCBNで公開させていただいています。
cbn ZITENSYAEXPLORER
まあ所詮、自分が使いやすく作ってあるだけの代物なので、わかりやすさという観点での出来栄えはトホホで、困ったことに誰でも簡単に使えるというものではないようですが・・・。
その結果が次の画像です。青が普段乗っているデフォルトのロード(CHERUBIM R3・・・1988年製作)、ピンク色が製作した小径車のジオメトリです。要所の数値をほぼ一致させています。
ここで、厄介なもののひとつがステムの突き出し量。御覧の通り、ハンドルとヘッドパイプの位置関係が同一であっても、ステム角度が異なると、必要なステム突き出し量も変わってきます。というわけで、ロードがNITTO Pearlの120mm(角度72度)、CRではNITTO UIの115mm(角度80度)としています。
こういうところでジオメトリ検討ツールの威力が発揮されます。また、細かい話ですが、ギヤの円はピッチ円で、アウター×トップの歯数に対応しています。アウター×トップでチェンを水平にしたい・・・などというこだわりの人にはうってつけの機能(笑)です。
ところで、小径車では、見栄えの観点からも、ホリゾンタル・トップに拘る理由など全くなく、むしろ、全体のバランスを考えれば、私のサイズであれば7~8度程度の前上がりスローピングが適当との結論に至っています。しかし、この辺りは純粋に、好みの問題。オリジナルのCRは何といっても逆スローピングですから。
なお、スチール・チューブですが、カイセイ019を選択しています。カイセイの定番チューブは022、019、017あたりですが、小径用フレームであることを考慮し、022より軽量、すなわち多少柔らかめのフレームが出来上がる019を選択しました。
ところで、丹下が拠点を国外に移したことに伴い、事実上、唯一の国産フレームチューブメーカとなっているカイセイですが、かつては国産チューブ製造元として石渡製作所と丹下鉄工所が存在し、2強時代を形成していました。
例えば老舗工房ラバネロの高村さんは当時(35年ほど昔の話)、丹下の方が硬度がやや高めで好ましい、との立場をとっていましたが、石渡製品を好んで使う工房もたくさんありました。
石渡製作所が倒産したときに、当時の執行役員が設備を引き継いで再興されたのがカイセイで、019、022といった型番もそのまま引き継がれており、古いファンにはわかりやすくて助かります。量産車メーカーやNJS工房が主な顧客でしょう。無論、私のような素人がサイクリングに使う自転車にも、ごく普通に使われます。
マドガードの製作
フルサイズのマドガードがきれいに装着された自転車というのは、実に端正です。小径車も然り。真っ当なデザインのラージサイズ(ロングアーチ)のロードブレーキと細身で美しいマドガード。
この2つは、自分が一生涯乗り続ける小径車のためには必須のアイテムです。
なお、キャリパー・ブレーキのサイズですが、かつてはいわゆるスモールとラージの2サイズを同一グレードでラインアップする場合が多く見受けられました。
そういえばロード用ハブのフランジ径もかつては普通にスモールとラージがありましたが、ラージハブは絶滅状態。ラージの方がいろいろと有利なのですが、ちょっと不思議な話です。
かと思えば完組ホイールの世界ではラージ・フランジが、さも意味ありげに堂々と投入されたりする例もあります。
今の時代、ハブ単品というのは、メーカーにしてみれば、数が捌けず全く儲からない商品なので、大手パーツメーカーなどはわざと使いにくい仕様にしているのかもしれませんねぇ(皮肉を込めて)。
専用マドガードの製作はカンタンに断られてしまったので、市販品を改造して自分で製作していますが、その顛末はこちらに詳しくレビューしています。
結果的には、当の本人が驚く完成度で出来上がってしまいましたが、自分で何とかしなければならないとなったときには、ちょっと、途方に暮れました。それもいい思い出です。
こういう定型外の面倒な仕事を工房に依頼すると、そもそも、如何ほどの金額で受けてくれるのでしょうか? こういう仕事は儲けを度外視しないとできません。
なお、マドガード、フレームともに2011年に再塗装を施しており、マドガードの塗装は自前です。クリアの上塗りはしていません。
フレームの色は、上村塗装の手によるもので、マドガードの色サンプルと寸分違わぬ色を調整していただいています。
一体どうやってこんなに正確に色味を一致させるのでしょうかねぇ。プロの仕事って、本当にすごいですよね。
ETRTO 451-28Hリムの入手
小径車で32Hや36Hというのは、スポーク密度が高くうるさい感じになるので、28Hの選択というのは私としては必達項目でした。これが出来ないのなら小径車は作らない、という位の位置づけです。
また、小径ホイールで36Hなど、何も考えずに組んでしまうと、えらく剛性の高いホイールになってしまい、乗り心地が酷いことになる可能性が高くなる、というのも理由です。
小径タイヤには良いものが少ないので、かかる事態は避けたいところです。以下は面倒なレビューですが、ご参考まで。
cbn [JOKE] 手組みホイールの横剛性と組みやすさに関する雑感
28Hの小径リム。私はアラヤの廃番20Aを使っていますが、当時は、もはや、選びようがない、というジャンルになっていたように思います。今はどうなんでしょうか? 手持ち在庫はあと4本ですので、自転車を降りるまでは何とかなりそうです。
cbn [手組み] ARAYA 20A + 65アルテグラ + 星スターブライト#15
なお、2000年前後の時点で、名車バイク・フライデーをはじめ、実はかなりの数が存在したETRTO 451サイズの20インチスポーツ小径車ですが、多くがアラヤの20Aを使っていました。
しかしそのなかで、28Hホイールを装備したのは唯一、ブリヂストンのトランジット・スポーツだけだったように記憶しています。
さて、2002年当時はアルテグラで28Hハブがちゃんとラインアップされていましたが今はありません。デュラのWレバー廃止もそうですが、こういうところで合理化してしまうのはユーザにとってなかなかつらい話です。
売れないハブ単品の中で、さらに全く売れない28Hハブを生産すること自体、メーカーにとっては邪魔なものなのでしょうが、自転車文化の深化のためにも、あったほうが嬉しんですけどねぇ。
ギヤレシオ
10速でフロントが54/38、スプロケがアルテグラの11~23(11,12,13,14,15,16,17,19,21,23)です。
自分にとっての54×17Tの重要度を考えると、16Tが省略されてしまうシマノの11~25(11,12,13,14,15,17,19,21,23,25)の選択肢はほとんどなし、です。20インチホイールなので38×23で大抵の激坂は大丈夫。
というわけで結局、11~25は選択しませんが。まあしかし、11速になって久しい今、ちゃんと16Tが入っている11~25でも良いのですが、そうするとDuraでホイールを組みなおしになります。全く何の問題もない65アルテのハブからスイッチするなんて、面倒ですねぇ。
初めてロードに乗ったときは6速と7速の併存時代でしたが、今の時代、多段化したとはいえ、逆に、昔のようにスプロケを1枚ずつ選べないのが災いして、レシオ設定の悩みは尽きません。
次のグラフは、レシオを示しています。20インチ車の場合、私のような凡人の乗り方を考えると平地巡航ではレシオ3.5前後、つまり5,6,7速辺りが重要になります。
次のグラフはアウター使用時のレシオの様子を拡大したものです。5速から6速へのシフトアップで、11~25スプロケの変化率が13.3%なのですが、これが少々、唐突です。このつながりは私にとっては非常に重要で、妥協したくないところです。
驚愕の走り
CHERUBIM CRが出来上がったのが2002年の夏。その走りには最初、ちょっと驚かされました。
スムーズで、らくちんで、快適で、楽しい。ダンシングでもシッティングでも、登坂の楽しさが格別。初めて乗った時、20インチ小径車の極限に迫った一つの解を見出した! という思いを深め、唸ってしまいました。
なんだよこれ・・・!
というわけで実走写真を一枚。次の写真は2009年の栄村での一コマ。一緒にエントリーしてくれたかつての仕事仲間、F氏が走りながら撮影してくれたものです。かっこよく撮ってくれた知人F氏に感謝! なお、この頃の体重は69.5kg付近で、今より5kgほど重かったんだなあ。
時代を超越したフロント変速フィーリング
フロントディレイラーは30年近く前に購入した74デュラ。これにCHERUBIMの意匠であるPowerPost(勝手に命名)により後傾セットして、驚異的にスムーズな変速を見せます。あまりにもスムーズ過ぎて仰け反ってしまいそうなほど。ただならぬ操作感、です。
平地、登坂、下りを問わず、小径車であることをすっかり忘れてしまうほど走りに集中できる自転車なのですが、この変速フィーリングの良さも大いに貢献しています。
一体、どうなっているんだ!?
なお、変速レバーは現在、79デュラのWレバーを使っています。素晴らしきWレバーの世界へようこそ(あれっ、カンパのマークを想起させるデザインですねぇ)
そしてペダルはSPD。2001年当時、今野製作所の店頭に無造作に置かれていたCHERUBIM 二代目、今野真一さんのカッコいいロードに、当然のように装着されていたSPDを目撃したその瞬間、
あ、そうか、自分もSPDにしよう!!
と思ったのでした。そういうわけでペダルは当時の最高峰SPD、PD-M929を選択しました。
自分だけの清々しい一台
自ら長考して決定したフレーム・ジオメトリのすべての数値には相応の理由があります。そして、その数値には、真実が宿る、のだと思います。
なぜダウンチューブがヘッドチューブとあんな位置で交差するのか?無論、明快な理由があります。
本当にいい自転車が出来上がりました。
ところで、いい自転車を手に入れるために金に糸目をつけぬ、という方法論もあります。
しかしこれは、私には身についていないし、身につかない性分でもあります。そういうことには興味がないといったほうが良いかもしれません。
何かを実現するときに、金さえかければイイもの、満足できるものが入手できる、という発想は結局、私には到底、無理で、むしろ、私のような人間が金をかければかけるほどカッコ悪くて悪趣味で、恥ずかしくて、イタいものに近づいてしまうのが関の山です。
安い自転車を普段着で乗り回して心底楽しんでいる少年少女たちを見ると、いいなあ、と思う類のニンゲンなので、やむを得ません。
ちなみにこの小径フレーム”CR”、ジオメトリ・フルオーダーですが、その場合は基本価格の30%増で、当時102700円で製作してもらっています。ついでにマドガード用のダボもついています。
その後のパフォーマンスを考えれば、全く、信じられないほどの廉価、です。なお、”CR” のベース価格は当時、79000円でした。
これは世界最高の小径車である
無論、自分にとってそうである、という話でしかないのですが、断言してしまってもよいのだ、と思っています。
出来上がった2002年以来17年間、この自転車で走った思い出がずいぶんたくさんあります。最近は出走頻度が減ったとはいえ、いつか自転車から降りるまで、これからもこのCRでサイクリングに赴くでしょう。
30年でも40年でも、乗り手の意思が存在する限り、応え続けてくれる・・・値段など関係ありません。大事に扱えば、丁寧に造られたスチール・フレームの自転車とは、そういうものです。
今野製作所の先代、今野仁さんは、言いました。
一生涯、楽しめますよ
かくして世界に2つとない自転車の出来上がり(これは2011年、再塗装後)
先代・仁さん名義の署名風デカール
80度のスレッド・ステムがあと2mmしか下げられない・・・それも、狙い通り
いい雰囲気の山道にて
栃木県日光市の某カフェ入り口わきに堂々の施錠なし駐輪!! (非推奨)
スペックリスト
現状の仕様です。
- フレーム : CHERUBIM CR
- リム : ARAYA 20A (451)
- ハブ : ULTEGRA FH-6500 (28H) + HB-6500 (28H)
- スポーク : 星スターブライト#15
- タイヤ : IRCロードライトEX
- ブレーキキャリパー : SHIMANO BR-R600 (Long Reach)
- ブレーキレバー : CANE CREEK SCR-5
- クランク : ULTEGRA FC6500
- チェーンリング : TA ALIZE 54 + SHIMANO ULTEGRA 38
- ペダル : SHIMANO PD-M959
- スプロケ : ULTEGRA CS-6700 11-23 (10s)
- 変速レバー : DURA-ACE SL-7900 (Wレバー)
- Fディレイラー : DURA-ACE FD-7401(7400かも?)
- Rディレイラー : DURA-ACE RD-7800
- サドル : SELLE ITALIA SLR XP
~これより三役~
- ステム : NITTO UI-80 (115mm)
- ハンドルバー : NITTO Neat Mod.184STI (420mm)
- シートポスト : NITTO Dynamic 626 (27.2mm)
総括
このフレームをオーダーしたのが2001年。本当に素晴らしい自転車を製作することができましたが、あの頃はハンドメイド工房にとって、冬の時代のど真ん中でした。フレーム素材はアルミからカーボンへの変化の時期。一歩間違えれば鉄フレームが一気に淘汰されてしまいかねない状況だったように思います。
その荒波を切り抜けた工房や、新たに興された工房などから、2019年時点で、ハンドメイド・フレームが入手できるというのは、本当にうれしいことです。
いつの時代でもハンドメイドの存在意義は、いささかも色褪せることはありません。存在意義は一通りではなく、実際に手にした各人が各様に感じるものですが、より多くの人がこの存在意義に気づいて下されば幸いです。