いまさら11速のSRAM RED eTapなんて、買う意味あるの?

なんかついこの間まで10速が主流だと思っていたんですが、今や普通に11速があたりまえ。それどころか、12速・13速まで登場。ブレーキだって、リムブレーキがディスクブレーキへと急速に置き換わりつつあります。

そんなタイミングだというのに、これからレガシーになることが確定な11速eTapを買うってどうなんでしょう?

という疑問に対する見解を、個人の主観「だけ」でまとめました。

なんですが「これ、自分が自分に衝動買いの言い訳をしてるだけなんじゃね?」という疑念が、いまの時点で既に出てきちゃって執筆してる本人が頭抱えてます…。

本当にブラウザ閉じなくて、いいですか?

SRAM RED eTap

無駄に長いプロローグ

サブで乗ってるうどん県メイドの折りたたみミニベロロード、Tyrell FXが唐突にパンクしました。

で、チューブを交換しようとしたのですが、どうにもこうにもタイヤがホイールから外れてくれないんです。悪戦苦闘すること30分。うんとこしょっと、どっこいしょ。それでもタイヤは外れません。

Tyrell FX

わかってます。自分にはあらゆる面で、自転車の才能が皆無。つまり、いくら努力を積み重ねても無駄無駄無駄ァーーーッ!!

なので、選択肢はひとつです。馴染みのショップ(drawer THE BIKE STORE)に、サクッと泣きつきました。

涙目で店主さんに事情を話しつつ、ふとショーケースに目を移した瞬間のことです。突然、目の前が真っ白になりました。

立て続けに脳髄を直撃してくる、激烈な衝撃。瞬く間に、意識が薄れていきます。崩壊していく自我。いまこの瞬間にセカイはきっと、知らないパワーで輝いてる。だからいつまでもユメの途中…。

はっ!!!!!!

我に返ると、握りしめた拳の中には記憶にない1枚のレシートが。それをよく見た次の瞬間、私は初めてのゴブリン討伐に向かったらあっさり逆襲されて、パーティが全滅状態になった新米神官のように、足元を生暖かい液体で濡らさざるを得ませんでした。

そのレシートには、なんと20万円を超える金額が記載されているではありませんか!しかも財布の中には、残高記載が血の色に染まった銀行ATMの明細書が…!

なんだよコレ…なんだよコレえええええ!!??

すみません。しょーむない三文芝居を眺めている皆様が、死んだ目で自分を取り囲んでくる幻覚が見え始めたので1行でまとめます。

「SRAM RED eTapを、衝動買いしてしまいました」

いや、もう前からずっと興味はあったんですよ、eTap。なにしろ究極の見た目スッキリ、ワイヤレス変速システムじゃないですか!

SRAM RED eTap

でもお金ないし、そもそも12速のAXSが登場して11速はディスコンまっしぐら。冷静に考えれば「今が買い時では絶対にない」のは、自明にもほどがあります。

とはいえ現物を目の前にしたら、そんな理性は光の速さで明日へダッシュさ!心の物欲ダムが決壊するタイムは、わずか0.05秒に過ぎない!

ではそのプロセスを、もう一度見てみよう!

これは…eTapですね

特価でやりますよ!

ください!!

いやいや、コレ断れる人なんて、どこにもいませんよね?「特価」って言われた時点で、もう詰みですよね?

こうなったら、もはや自分にできることはひとつ。ひとりでも多くの自転車乗りを、ワイヤレス変速沼へと引きずり込むことだけです!

まずは「意識高い系の人のイラスト」で、謎のマウントを獲りにいかせていただけます。

まだ紐変速で消耗してるの?

普通に考えたら、Di2にするよね?

これまで使っていたコンポーネントは、6800系のアルテグラ。電動化を考えたときに、普通に考えれば選択肢はシマノDi2になるでしょう。

コンポーネントのブランド統一。積み重ねられまくった信頼。保証された互換性。現状から電動化する費用だって、eTapと同等程度かそれ以下で済む(はず)。Di2を選ばない理由は、どこにもありません。

なんですが、SRAM RED eTapにしてしまいました。やっぱり、ワイヤレスって最高です。

何が最高かって、まずは見た目です(「やっぱりそこだけか…」という大きな溜息が、あちこちから聞こえてくるのは気のせい?)。

なにしろ変速のためのワイヤー・ケーブルが、一切ないんです。このスッキリした見た目はeTapが通常のコンポーネントに、ひいてはDi2に対して持っている極めて大きなアドバンテージです。個人的には。

特筆すべきは、RD周りのスッキリ感。またフロントのワイヤーが少し見えなくなっただけで、LOOK675のヘンテコフレーム形状がより引き立ってくれます。比較してみると、違いがよくわかりま…せんか?

▼シフトワイヤーあり(アルテ6800)

LOOK 675 Ultegra 6800

▼シフトワイヤーなし(SRAM RED eTap)

LOOK 675 SRAM RED eTap

Di2を検討していて、もにょってしまった点は?

Di2は構成次第ですが、外付けになるパーツが多い印象です。ステム付近に取り付けるジャンクションも、ボトルケージ付近に装着されたバッテリーも、後付け感が満載。

全部内装したとしても、最低限バーエンドにジャンクションを設置することになる。いずれにしても、eTapほどのスッキリさは実現できません(よね?)。

それにDi2でバッテリーを内装したとなると、充電はバーエンドのジャンクションにある充電口に充電コネクタを挿して行うことになります。ワイヤーの長さにもよりますが、コンセントと自転車はかなり近くないとダメでしょう。

充電できる場所が限定されまくって、なんか地味にストレスになりそうです。

じゃあ、eTapはどうなのよ?

eTap装着による見た目の変化は、先の写真の通り。ワイヤーが2本減るだけで、段違いのスッキリ加減です。

充電についても、FDとRDに付いた小さなバッテリーを取り外しての作業になるので、充電器を自由な場所に置いて充電可能。遠征してホテルに宿泊する時などに、コンセントの近くに自転車を置くために右往左往しなくても済むはずです。

SRAM RED eTap

ただ気をつけておかないといけないのは、充電状態の管理が必要なバッテリーが「2個ある」ということ。

充電を忘れなかったとしても「片方のバッテリーだけしか充電してなかったー!!」というエラーは、普通に考えられます。

片方のバッテリーが残量ゼロで出発時間を迎えてしまうと、どうなるか?「フロントギアを変速しようとするたびに、RDに装着したバッテリーをFDに付け替える」という、あまり想像したくないライドになります。さ、最悪だ…。

また輪行時はバッテリーの消耗を抑制するために、バッテリーを外しておくことがデフォルトらしいです(振動を検知してシステムがアクティブになってしまい、シフターとディレイラーが通信して待機電力を消費するため)。

それって、つまるところ「輪行での移動中に、バッテリーを紛失するリスクをガッツリ背負う」ということですよね。

さすがにそんな「やらかし」に、そうそう直面するはずはありません。サイコンの充電を頻繁に忘却するようなドジっ子属性がない限りは、実運用上で問題が起きることは無いと言い切れはします。

ですが、そういうリスクが「皆無」なのと、ホンの僅かな可能性でも「ある」というのは極めて大きな違いです。何しろ、無から有に。0から1へ。いま、全力で輝いてしまうわけですから。

eTapを選ぶということは、こうした「運用時のリスクを背負う」ということでもあるのですね。ここは、覚悟すべきポイントだと思っています。

…もう取り替えちゃった後ですけど。

見方を変えればリスクは強み?

さてさて、ここまで書いておきながら何ですが「2個のバッテリーがある」というのは、見方によってはDi2にはない強みなのかも?と、思いはじめました。

バッテリーが2個ある。それってつまり「デフォルトでバックアップがある」ということです。

たとえばDi2でバッテリー切れを起こしたら、その場でシングルギア確定です。

実際、友人の@okya3さんが、こんな経験をしています。

なんということでしょう…!

だがしかし!eTapなら、どちらかのバッテリーが生きていてくれれば、リアだけでも変速できる可能性は残ります。

さらに充電済みの予備バッテリーを携行すれば、万一のバッテリー切れや輪行時の紛失リスクにだって備えられる。

Di2でも充電ケーブルとモバイルバッテリーを携行すればバッテリー切れのバックアップは可能ですが、それなりにかさばりそうです。

…あれ?実運用でも、eTapに意外なアドバンテージがあるのかも?とりあえず、予備バッテリー買ってこなくちゃ。

交換したのはどのパーツ?

交換したのは、左右のシフターと前後のディレイラー、そしてチェーン。ブレーキとクランクは、これまで使っていたアルテグラをそのまま流用しています。

ただスプロケだけは、変更を余儀なくされました。購入したSRAM RED eTap、Wi-FLiじゃなくて通常版のRDだったんです(買う前に確認しろよ!というツッコミ不可)。ヒル嫌イマーのベストパートナーである、32Tが使えなくなりました。ふ…不覚!!!

なので、スプロケは14-28に変更しています(11Tなんて踏める脚力はありません!)。

SRAM RED eTap

こうして完成したのが、シマノとスラムが思いっきりミックスされた謎コンポ。そうなると不安になるのは変速性能ですが、これはまったくの杞憂でした。

変速スイッチをタップすると、ギアが変わる。マジで。ちょっと感動。しかも、ワイヤレスで電動だから操作も軽くて良い。ワイヤーに比べると変速が遅いと言われてるけど個人的には速いと思う。

デュラ&エースと比べればそりゃちょっとは違うかもしれないけど、そんなに大差はないって店員も言ってたし、それは間違いないと思う。

以上、コピペ終わり。

アルテグラ6800の紐変速と比べて、別に遅くなったり速くなったりという体感は全くありません。無論、乗る人が乗れば変化はわかってしまって、残念に思ったりするんでしょう。

自分は105とアルテグラの変速フィールの違いも感じ取れないニブチンなので、こういうときは差異感知力の無さ加減が、むしろありがたいです。

電動シフトなんて、変速に魂が込められないじゃないか!

シマノコンポが通常右手だけでリアの変速ができてしまうのに対して、eTapは両手操作が基本になります。右の変速レバーでシフトアップ、左でシフトダウン。両方同時押しでフロント変速です。

換装した直後は、なんど右側のブレーキレバーを倒そうとして変速をミスったことか…。しかも、ギアを軽くしないといけない場面で!!!

SRAM RED eTap

でもまあ、コレはすぐ慣れます。MTからATに乗り換えるより、全然ラクです。

ただ、こんどは普通の105を使っているTyrellに乗り換えたとき、左の変速レバーを押しまくって変速をミスりまくりました。

あと地味にありがたいのが、サイコンにギアポジションが表示されること。

Xplova X5 Evo

登坂中にもうギアが残っていないことが変速動作をする前にわかるので、素早く諦めて押し歩きに移行できます。

本当に11速で良かったの?

もうディスコンで、レガシーになることが購入時点で確定している11速eTap。

▼箱の中の謎メッセージ

SRAM RED eTap

とはいえ12速にしようと思うと、クランクセットやスプロケだけでなくホイールのフリーまで交換が必要になって予算が一気に跳ね上がります。それこそ、倍以上の金額になるでしょう。

そこをなんとか耐え難きを耐え忍び難きを忍んだとしても、問題がトレーナーの方に残ります。

いまのところ、トレーナー側が12速に対応するか否かの情報が全然ありません(よね?)。また仮に12速用のフリーが入手できたとして、交換にどれぐらいの手間がかかるのかサッパリ読めない。

そのうえ、トレーナー用に12速の純正スプロケを追加で買ったら、それだけでプラス4万円以上です。うん、無理!!!

個人的な結論は?

11速の環境で乗っているなら、コンポーネント刷新は11速の現状維持で良いじゃん!そもそもフロントシングルにするわけでもないのに、リア12速を使いこなせるはずもありません。

シマノ紐11速コンポからのワイヤレス化で、11速のSRAM RED eTapなら必要最小限のパーツを替えるだけ。つまり機材費用と工賃を最小限に抑えて、ワイヤレスの恩恵を受けまくれます。

あらゆるパーツが総取っ替えになる12速化より、コスパ的にも明らかに高いと言えるでしょう。もうすぐディスコンでしょうけど。

コレハ負ケ惜シミデアロウ? ヤッパリ12速ニシテオケバ…ト、実ハ思ッテイルナ?

心に棲む物欲の邪神が、こんなことを耳元で囁きます。けれど積極的に11速を選ぶべき理由はしっかりありましたし、そんな思いは無い!と、ハッキリ言え…ます。

後悔なんて…ちっとも…していません…よ?


寄稿者:などかず @nadokazu, nadokazu (cbn)
プロフィール:「サイクリングと写真」ではなく、「自転車とカメラ」が好きな物欲系貧脚自転車乗り。スマートトレーナーを買ってからというもの、自転車はバーチャルライドばかりになり「屋外引き籠もり」から、「本当の引き籠もり」に転落した模様。