最近、鉄フォークのコラムカットをしました。最初の仮組みでポジション出しをする前にまず軽くカットしたのですが、その時にこれを使いました。Park Tool SAW-1というハクソーです。
クロモリパイプをノコギリで切るのは結構たいへん
このパークツールのハクソーですが、オプションでカーボン切断用のブレードが別売りされていて(型番はCSB-1。下の黒いブレード)、カーボンパイプを切る時は個人的にこれ一択です。
しかしこのノコギリにもともと付属している金属用ブレードで鉄フォークのコラムをカットするのは結構大変でした。フォークを万力で作業台に固定できればそうでもないのですが、あいにく今そういう環境がありません。切断にかなりの時間と労力がかかりました(カーボンよりずっと時間がかかります)。
安価なパイプカッターとどちらが早い?
というわけで、ポジションが出た後にもう1度余分なコラムをカットする際、パイプカッターを使ってみました。下の記事でも紹介したSK-11 PC-32という製品です。
これがSK-11 PC-32。1000〜1500円以下で買えます。上で紹介した記事ではこれでアルミハンドルをカットしましたが、今回はクロモリフォークのコラムを切断します。
作業手順はハンドルバーのカット時とまったく同じで、こんなふうにコラムをクランプさせ、おしりの黒いノブをぐりぐり…と回して固定します。こうすると刃が食い込むわけです。
最初の1〜2周は切り込み用のガイドラインを入れる感じで慎重に作業します。その後は固定がゆるまないように、時々おしりの黒いノブを増し締めしながらグルグル回転させていきます。
後はもう楽勝です。パークツールのノコギリよりも断然早く、しかも少ない力で作業を終えられます。金属の屑もあまり床に落ちません(それなりには出ます)。単純に切断時間の短さ、という点ではパイプカッターの圧勝です。
こんなふうにきれいにカットできます。
とりあえずスターナットを打ち込みます。大体1〜1.5cmあたりに位置するように打ち込むのがセオリーと言われていますが、私は1.5cm派(ネジがくるあたりの深さ)。
スターファングルナットの打ち込み方については下の記事で紹介しているので興味のある方はあわせてお読みください。
パイプカッター切断の問題点
さて、パイプの切断が終わり、スターナットも打ち込みました。しかしここで問題発生! 早速フォークをバイクに入れようとしても、ベアリングがコラムを通りません。ステムも通りません。スペーサーもはまりません。
そう、パイプカッターの弱点は切り口がきれいに見えても、断面が外側に少しだけ押しつぶされたようになってしまうところです。カット直後にスペーサーを入れて試すとすぐにわかります。
これを高度に抽象化された図像で示すとこんな感じです。
そこで金属ヤスリで、断面を外側から内側に向かって丁寧に削っていきます。
この作業に結構時間がかかります。地道で職人的な作業。時間に余裕があるのなら楽しいですけどね。
すると結局、金属用ノコギリで切断した時と合計作業時間はあまり変わらないような気もします。ノコギリでの切断時もバリ取り、面取りはしますが軽くでOKで(触って怪我をしなければそれで良い)、そもそもスペーサーが入らないということがまずありません。
結局ノコギリとパイプカッターどちらがいい?
ではパイプカッターより金ノコのほうがいいのではないか… という意見もあるかもしれませんが、「より少ない体力」で作業できるのはパイプカッター+ヤスリです。特に家に万力固定可能な作業台がないのであれば、間違いないでしょう。
あとパイプカッターでの作業は静かです。ノコギリで鉄パイプをギーコギーコ切断する高周波音は、マンションのような集合住宅だとかなり増幅される場合があるので苦情が出ることもあります(これはパイプカッター切断の仕上げで使うヤスリの音も同じですが…)。
最終的にはきれいに仕上がりました。ちなみに切断面とスペーサー上面はこんなふうに数ミリあいていないとヘッドキャップを締めても意味がありません。構造を理解していれば間違うことはありませんが、切断面はスペーサー上面から3mmを目安にカットしておく、と覚えておくと良いと思います。
鉄のフォークやアルミハンドルを切断する人は少ないかもしれませんが、必要に迫られたらこのSK-11 PC-32 パイプカッター、便利です。
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