フレーム・完成車

サーベロの最新グラベルレーシングバイク「ÁSPERO」目指すのはスピードとコントロールの両立

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サーベロからグラベルロード新モデル「ÁSPERO(アスペロ)」が発表されました。”ÁSPERO”は英語の”Rough”に相当するスペイン語・ポルトガル語の単語のようです。このグラベルロードの2大テーマは「速度とコントローラビリティ」ということが言えそうです。

Cervélo ÁSPERO

Cervélo ÁSPERO © cervelo.com

「グラベルロード」というより「グラベルレーシングバイク」と呼んだほうが適切な1台かもしれません。

公式 Áspero Gravel Bike | Cervélo Cycles

高い剛性によるパワー伝達とハンドリング性能を両立させたバイク

カラーや完成車のバリエーション等は後述しますが、まず斜め後ろからの姿を眺めてみます。既視感が強いフレーム形状ですが、エアロに振ってあること、グラベルと言ってもバイクパッキングやツーリングなどは念頭に置いていないバイクであることは一目瞭然です。

コンセプトとしてはDirty Kanzaのようなハイスピード・グラベルレースを走るバイクなのでしょう。下の2記事で紹介したLYNSKY PRO GR RaceやPinarello Grevil+もそうですが、とにかく「速さ」に全振りしたグラベルロードが着々と存在感を増してきているような気がします。

LYNSKY PRO GRとPRO GR Race こいつでDirty Kanzaを駆け抜けろ!
チタンフレームで人気のLYNSKEYのグラベルロードモデル「PRO GR」を紹介します。最近「PRO GR Race」という新モデルも出たのですが(後述)、そのベースとなるモデルです。
Pinarello Grevil+とGrevil 「速さ」に全振りした異色すぎるグラベルロード
ピナレロが今年の春に初のグラベルロードを発表したのですが、それがかなり異色なものに見えます。Grevil+(グレヴィルプラス) / Grevilというモデルです。

ではサーベロ・アスペロはどのような特徴があるバイクなのでしょうか。サーベロ公式サイトを読むと、こんなことが書かれています。

まず最大限のスピードを生み出し、次にそのスピードを、アスリートが征服しなければならない変化に富んだコンディションにおいてコントロールする単一のバイク

トレイル長への影響を考慮せずにタイヤサイズを変更すると、ハンドリングが元の設計上のトレイル値に比べてより速いほうに、あるいは遅いほうに大きく揺れることになります。これはハイスピードのコントロールにおいて問題になります

アスペロのフレームはロードレースからの広大な知見を糧に、より優れたペダルへのパワー伝達力を求めてワールドツアークラスの剛性で設計されています。同時に登坂と加速の助けになるよう、そして速度効率にとって決定的に重要なエアロダイナミックな形状で速度を最大化しています。

このバイクは大部分の700×42または650×49タイヤ・ホイールコンボに快適にフィットするよう設計してあります。(中略)タイヤ・ホイールの種類を問わず、4mmのクリアランスを確保することを推奨します。

「トレイル」 – ライダーによるインプットへのフロントホイールの反応 – は高速域でのハンドリングにおいて最も重要な要素です。幅広いタイヤサイズによる違いを補正するための2ポジションからの「トレイル・ミキサー」でトレイルを調整できる機能のおかげで一貫したライド・エクスペリエンスが得られます。

(中略)

フォークのトレイル・ミキサーは、一般的なタイヤサイズ間をスワップする時にハンドリングへのショックを和らげるようトレイル値を調整します。

Cervélo ÁSPERO Trail Mixer

「トレイル・ミキサー」搭載の新ドロップアウト © cervelo.com

読むとかなりロード寄りに仕上がっているバイクのように見えます。そして最大の特徴はトレイル量を調整できるフォークのドロップアウト。タイヤサイズに応じて前後5mm、トレイルを可変できるようです。速さ、そしてとりわけコントローラビリティには相当こだわったモデルのように見えます。

アスペロのジオメトリー・S5 Discとの比較

ここでアスペロのジオメトリー表を見てみましょう。

Cervélo ÁSPERO Geometry

Cervélo ÁSPERO © cervelo.com

サーベロのエアロロード・S5 Discのジオメトリーと比較してみます。とりあえずサイズ51のモデルだけ比較してみます。

ÁSPERO (size 51) S5 Disc (size 51)
スタック 530mm 519mm
リーチ 379mm 376mm
シートチューブ角 74° 73°
トップチューブ長 532mm 535mm
ヘッドチューブ角 71.5° 72°
トレイル 58.6mm 57mm
フォークオフセット 49/54mm 52mm
ヘッドチューブ長 107mm 87mm
BBドロップ 78.5mm 72.5mm
フロントセンター 592mm 580mm
ホイールベース 1000mm 974mm
スタンドオーバーハイト 732mm 729.2mm
チェーンステイ長 420mm 405mm

こうやって見るとS5よりもホイールベースが長く低重心、ヘッドチューブは長めでよりアップライトなポジションというあたりはグラベルという感じですが、これに加味してハンドリングがどのような味付けになっているのか、そのあたりは是非試乗してみたいです。

歯医者や弁護士でなくても買える価格に

次にラインナップごとの価格です。完成車は以下の5モデルで、いちばん安いApex 1 Discでベースモデルが$2800から、とサーベロにしては(あくまでサーベロにしては)お求めやすい価格になっているような気がします。

モデル名 価格 円換算 8%消費税込み
ÁSPERO APEX 1 DISC $2,800〜 302,044円 326,207円
ÁSPERO ULTEGRA RX DISC $4,000〜 431,492円 466,011円
ÁSPERO GRX DISC $4,000〜 431,492円 466,011円
ÁSPERO FORCE ETAP AXS $6,000〜 647,238円 699,017円
ÁSPERO FRAMESET DISC $2,500〜 269,682円 291,256円

サーベロは内外価格差が恐らく最も大きいブランドだと思われますが、海外でもサーベロは非常に高価なブランドとして認識されているらしく、よく「歯医者か弁護士しか買えないバイク」などという言葉を海外掲示板で見かけたりします。しかしこれなら一般人でも頑張れば買えそうです。

上の日本円換算は2019年7月22日時点のレートによるものですが、最も安価なApex 1 Discでもメーカー定価は消費税込みで326,207円。国内定価はもっと高くなるとしても、30万円台で買えたりするのでしょうか。

…と、ここまで書いたところで既に国内定価が発表されていることを知りました。定価は以下になるようです。

モデル名 国内定価(税込)
ÁSPERO APEX 1 DISC 388,800 円
ÁSPERO ULTEGRA RX DISC 561,600 円
ÁSPERO GRX DISC 594,000 円
ÁSPERO FORCE ETAP AXS 885,600 円
ÁSPERO FRAMESET DISC 345,600 円

これを見るとAPEX 1 DISCモデルはなんとか30万円台で買えそうで、いいですね。ただUltegra RXとGXR版とで値段が違っているのが不思議。微妙にスペックが違うのでしょうか。APEX 1 DISCとフレームセット以外は、やはり少し高い気もしますが、それでも国内定価はだいぶ抑えてきたような印象があります。

カラーは完成車で2色、フレームセットで3色

カラーは完成車がMidolive/DuneとBurgundy Orange/Dark Orageの2種(※ただし国内では色とコンポの組み合わせが限られるようです)。

Cervélo ÁSPERO

Cervélo ÁSPERO © cervelo.com

ロゴの露出は控え目です。でも塗装はすごくきれいな予感がします。

Cervélo ÁSPERO

Cervélo ÁSPERO © cervelo.com

フレームセットの場合、上の2つのカラー以外に下のDark Teal/Light Tealを選べるようです。これはラメが入っているのかな。きれいですね。男性にも女性にも似合いそうです。私は上のバーガンジーかこれが欲しいです。

Cervélo ÁSPERO

Cervélo ÁSPERO © cervelo.com

フレームセット価格は$2,500とあるので、Apex 1 Disc完成車がかなりお得感がありますね。

BBはBBright。完成車のハンドル・ステム・シートポスト等はEastonで、ヘッドセットは全てのモデルでFSA IS2 1 -1/8 x 1-1/2が使用されています。また完成車のホイールはいずれも700cで650Bモデルはラインナップされていません。

このサーベロ・アスペロ、果たしてどのくらい売れるのか。コンセプトや価格は非常に魅力的。秋のサイクルモードでは試乗車に長蛇の列ができそうな予感がします。

(追記)ベラチスポーツにアスペロが登場

(8/31日追記)

スイスの海外通販老舗ベラチスポーツにアスペロ完成車各種が登場しました。用意されているのは6モデルで、いずれもデリバリーはコンポ・サイズ・カラーによって違い、早いもので今年の9月、あるいは2020年2月〜3月となっていて、予約が可能です。即納に近いのはForce etap AXS 1 Mid Olive/Duneのサイズ48です。

shop Cervélo ÁSPERO – Bellati Sport

  • SRAM Apex1 Mid Olive/Dune(2020年3月から納品可能)
  • SRAM Apex1 Burgundy/Dark orange(2020年3月から納品可能)
  • Shimano GRX Mid Olive/Dune(2020年3月から納品可能)
  • Shimano GRX Burgundy/Dark orange, size 48,51,58,61(2019年12月から納品可能) , size 54 and 56(2020年3月から納品可能)
  • Sram Force etap AXS 1 Mid Olive/Dune, size 48(2019年9月から納品可能), size 51,54,56,58(2020年2月から納品可能)
  • Sram Force etap AXS 1 Burgundy/Dark orange(2019年12月末から納品可能), size 51(2020年2月から納品可能)

販売価格は以下。

  • SRAM Apex1 完成車 ¥281,371
  • Shimano GRX 完成車 ¥372,433
  • Sram Force etap AXS 1 完成車 ¥562,831

Apex1の国内定価との差はコミコミで8万円程度になると思いますが、上位モデルになるとベラチのほうが相当安くなっています。送料はいずれも¥16,126です。

以上の価格情報は2019年8月31日時点のものであり、実際の購入時はその時点でのスイスフランで決済されるのでご注意ください。

別途受取時に消費税(商品価格価格の60%に対して10%)がかかるのでそれも計算に入れてください。

過去に私がベラチスポーツから完成車を購入した際の情報を記事にしてあります。ご参考にどうぞ。

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マスター

2007年開設の自転車レビューサイトCBNのウェブマスターとして累計22,000件のユーザー投稿に目を通す。CBN Blogの企画立案・編集・校正を担当するかたわら日々のニュース・製品レビュー・エディトリアル記事を執筆。シングルスピード・グラベルロード・ブロンプトン・エアロロード・クロモリロードに乗る雑食系自転車乗り。

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