ピナレロが今年の春に初のグラベルロードを発表したのですが、それがかなり異色なものに見えます。Grevil+(グレヴィルプラス) / Grevilというモデルです。
こうでないとグラベルロードではない、という定義はないとしても、一般にそれは「鉄フレームでダボ穴があってその気になればキャリアを付けて日本一周・世界一周の旅にも出かけられるヘビーデューティーな自転車」というイメージはあると思います。
人気の車種で言うとFUJI JariやJamis Renegadeなどがそういうイメージでしょうか。
しかしこのピナレロ・グレヴィルはバイク・パッキング的な要素を完全に捨てています。ダボ穴なんかありません。
ダボ穴がないかわりにブレーキキャリパーを覆うフォークフラップがあります。この目的はエアロ性能の向上でしょう。これがもう異色です。グラベルロードなのにエアロを意識する。完全に「速さ」に振っています。のんびり・まったり・ゆったり、そんなものは知らん、というコンセプトです。
この自転車でどんなところを走ることをピナレロはイメージしているんだろう。それはプロモーション動画を見ると少しわかります。森の中のグラベルと舗装を爆走しています。
水の中を高速で駆け抜けていったっていい。
完成車のホイールは650bでタイヤは650bx47という、いわゆる「ロードプラス」の構成です。
そしてハンドルが控え目なフレアタイプ。ぱっと見でグラベルロードっぽいのはそのあたりくらいです。
ジオメトリを見るとBBドロップが全サイズで67mmと加速性を高める味付けになっています。このあたりも悪路を意識してはいます。
と同時にホイールベースが長いのですがこれは高めのBBドロップによる不安定さを補うという考え方なのか。なかなか考えられているなという印象ですが、それが実際にどう出ているかは乗ってみないとわかりません。サイクルモードなどで試乗車が用意されたら是非乗ってみたいですね。
カラーは6色から選べるようです(海外。国内はGrevil+ / Grevilとも3色展開)。あとGrevil+からカーボンのグレードを落としたより買いやすい価格のGrevilもラインナップしているそうです。ジオメトリは同じです。
Bikeradarのレビュー(Grevil+ではなくGrevil完成車の評価)によると、
- このバイクが退屈なものでないことについては皆が同意できると思う
- ダウンチューブ下には予備のボトルケージ穴がある
- ダウンチューブのリセスド・デザインはDogma F10と同じ
- タイヤクリアランスは最大700x42mm(または650bx2.1インチ)
- フロントディレイラーマウントは取り外し可能なので1xフレンドリーである
- BBはイタリアンスレッド
- ステムとボトルケージのボルトがT20なのはいただけない
- 硬い、そして速い
- スピードでなく楽しみに重点を置いたオールロード・アドベンチャーバイクなら他に良いものがある
- 4500ポンドもする完成車(国内価格は税抜き53万円)としてはもう少し良いパーツでも良いと思う、そしてやや重い
- 客観的に言ってコストパフォーマンスは極端に悪い
とのことで、どうも「独特ないい自転車ではあるが、高い」ということのようです。
あと100kmや200kmも乗るバイクではなく、50kmの悪路を高速で駆け抜けて家に帰る、そんな自転車かなという印象を受けました。このコンセプト自体は「あり」かなと個人的には思います。
海外通販での価格ですが、ベラチスポーツで扱いがあって以下のような感じです。
- Pinarello Grevil+ フレームセット ¥479,800(完成車あり)
- Pinarello Grevil フレームセット ¥269,176
- Pinarello Grevil 完成車(Shimano Ultegra 11s Disc + Fulcrum Racing 7 DB 650b) ¥464,348
- Pinarello Grevil 完成車(Shimano Ultegra Di2 11s Disc + R7DB 650b) ¥579,012
- Pinarello Grevil 完成車(SRAM Force Disc + Fulcrum R7DB 650b) ¥502,569
shop Pinarello Grevil+ (Bellati Sport)
shop Pinarello Grevil (Bellati Sport)
機械式アルテグラ組み完成車の国内価格は税抜で53万円。税込みだと¥572,400ということになります。
BikeradarによるGrevilの完成車フルスペックはこちら。
- フレーム: Torayca T700 UD carbon
- フォーク: Onda full carbon(専用設計)
- レバー: Shimano Ultegra R8020
- ブレーキ: Shimano Ultegra R8070
- クランク: Shimano Ultegra R8000 50/34
- BB: Shimano Hollowtech II イタリアンスレッド
- カセット: Shimano Ultegra R8000 11-32
- チェーン: Shimano Ultegra R8000
- フロントディレイラー: Shimano Ultegra R8000
- リアディレイラー: Shimano Ultegra RX800 (R8000 level)
- ホイール: Fulcrum 650b Racing 7B DB
- タイヤ: Vittoria Terreno Zero 650bx47mm
- ステム: Most F-series alloy
- ハンドル: Most Gravel Alloy
- サドル: Most
- シートポスト: Most carbon aero
- 重量: 9.1kg
なるほど確かに完成車で5〜60万円となるとホイールはもうちょっといいものが欲しい。そしてこのコンセプトの自転車ならハンドルやステムもアロイではなくカーボンであってもおかしくない気はします。9.1kgはグラベルロードとしては軽量ですがハイエンドエアロロードとしては重い。
と、最終的にこの自転車が自分にとって魅力的なものかどうかはとにかく実際に乗ってみないとわからない、という感じでしょうか。気に入ればT20トルクスだって持ち歩くようになるでしょう。
LOOKも765 RS Gravelというグラベルロードを出しましたが(これもベラチスポーツに扱いあり)、ガチのカーボンレースバイクを手がけるブランドもどんどんこのジャンルに参入してきました。
次はTIMEかな?