サドル

サドルに求めること、それは 「レーパンがよく滑る!」 である

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初めて乗ったスポーツ車は1981年のBSのユーラシア スポルティーフ。有明サドルのジャガー2(いやジャガーだったか?)が付いていました。合成皮革の普及品です。

それから幾星霜。様々な銘柄のサドルにまたがって自転車で走り続けてきましたが、幸か不幸か、サドルが合わなくて困ったというようなことがなく、実に平穏無事なサドル生活を続けてきました。

Bernard Renault Turbo

というわけで、サドルは見た目がよければそれでよく、特に強いこだわりはないのですが、唯一、こだわりを挙げるとすれば、それは、

レーパンがよく滑る!

「何言ってんだ?」ですよねぇ。その件についてはまたあとで。

サドルというマン・マシン インタフェイス

サドルは自転車と人を接続するインタフェイスを形成し、比較的大きな荷重を受けています。しかし、時に腰を浮かせることで乗り手はサドルとの接続を失い、5点だったインタフェイスはハンドル2点とペダル2点の4点に移行します。

サドルのインタフェイスだけは、走り方に応じて接続の可否を乗り手が選択します。

サドルに座るとき、ワンポイントにしっかり座る人がいるかと思えば、負荷や勾配、疲労度に合わせて位置を変える人もいます。そして、その位置が常に狙った位置に吸い付くように固定されることを好む人がいれば、固定されるのを好まず、四六時中、微妙に動かしている人もいます。

私は後者の類の自転車乗りです。もっと極端な言い方をすると、

着座位置の微妙な動きをサドルに邪魔されたくない

つまり、

レーパンとサドルの間の摩擦は少ないほどよく、ツルッツルに滑るような関係が望ましい

と思っています。ペダリングがしっかりしていれば、あとはできるだけ摩擦レスが良いし、着座位置の微妙な変更をスルッ!とやってのけたいし、ペダリングの邪魔をされたくないというわけです。

そんなことに気づいたのは1980年代中ごろのことです。気づかせてくれたのは、帝王ベルナール イノーの名を冠した、セライタリアのベルナール イノー ターボ でした。

有明サドル ”JAGUAR2”

1981年、大学1年の時に生活をスレスレまで切り詰めてバイトの金で買った初スポーツ車、BSユーラシア スポルティーフに装着されていたのが、普及価格帯サドルのジャガー2。

 

BSスポルティーフと有明サドル”JAGUAR2”

BSスポルティーフと有明サドル”JAGUAR2” ・・・ 1983年の写真 

有明のサドルらしいシンプルな造形。最初は多少、尻が痛かったかも知れないと思い、当時の記録を読み返してみましたが、そんな記述は一切なし。やっぱり痛くなかったんだなあ。

藤田サドル工業 ”Seamless CONPY 80S”

東レが開発した繊維“エクセーヌ”を使ったサドルをラインアップしていたのが、藤田サドル工業。このシームレス コンピーは1980年代前半において絶大な人気を誇っており、私は1982年から3年ほど、使用しました。

Seamless CONPY 80S

”Seamless CONPY 80S” ・・・ 1983年の写真 

当時としてはなかなかカッコいいデザインでしたが、サドルの先端から1/3付近の幅が、やや広いことで、少々ペダリングが邪魔されるイメージがありました。

Seamless CONPY 80S

八重洲出版1981年「自転車の整備と修理」41ページの広告から一部を引用 ・・・ コンピーは中央のサドル

なお、このサドル、コンピーという名前なのですが、当時の人気サドル、セラ サンマルコのコンコールに似ていて、コンピーはコピーの意か?なんていう声もあったりしました。

当時、コンコールといえば、定番のスーパーコルサ、長距離系のプロフィール、そして軽量なスーパーレゲーラがありましたが、コンピーはレゲーラによく似ています。

次の画像は八重洲出版の1981年版「オールカタログ」から本記事執筆のために引用させていただきました。写真が小さすぎて不鮮明ですが、” コンコール スーパーレゲーラ”で検索すれば明瞭な画像に行きつくことができます。

コンコール スーパーレゲーラ

八重洲出版の1981年版「オールカタログ」から

Selle Italia “Bernard Renault Turbo”

コンピーの次に選んだのが、ツール5勝を成し遂げることになるベルナール イノーの名を冠したこのサドル。ターボは多くの派生を生み、サンマルコのコンコールと並んで人気のあるサドルでした。

Selle Italia Bernard Renault Turbo” ・・・ 1985年の写真

“Bernard Renault Turbo” ・・・ 1985年の写真

このサドルは、至ってシンプルなデザイン。しかし、どうも物バラツキが大きいようで、バクスキンの風合いが維持されるものもあれば、乗るほどにツルツルになるものもあり、でした。

最初に購入したコレは、乗れば乗るほどツルツルになっていくという代物で、コレのおかげで、ツルツルのサドルって、いいなあ、という悟りの境地(?)に到達してしまったというわけ。

上の写真が1985年、下は1988年の同じ個体ですが、下の写真ではサドルが何やらテカテカしているのがお判りでしょうか?ツルツル化が進行中!

 “Selle Italia Bernard Renault Turbo” ・・・ 1988年の写真 

 “Bernard Renault Turbo” ・・・ 1988年の写真 

1990年代に入ると表面に刺繍を施して、スリップ防止を謳うサドルが次々と現れましたが、滑った方がいいんじゃないの?と、訝しく思ったものです。

で、次の写真は1988年に製作したロードに装着した新たな個体。こちらは残念ながらいくら乗り込んでも全然、ツルツルになりませんでした。しかし多分、この製品としてはそれが正常な状態だったのだと思います。

 “Selle Italia Bernard Renault Turbo” ・・・ 1988年の写真 

 “Bernard Renault Turbo” ・・・ 1988年の写真 

Selle Italia “Pro Team Turbo”

1990年代後半に選んだのが、ターボつながりのプロチーム ターボで、これはツール5連覇を成し遂げたミゲール インデュラインが愛用していました。なお、プラスチック ベースの形状は、ベルナール イノー ターボと全く同じです。

Selle Italia Pro Team Turbo

 “Pro Team Turbo” ・・・ 2004年の写真 

使い慣れたベルナール イノー ターボと全く同じベース形状だったというわけで、このサドルはロードと小径車で合計3個体を使いました。ただし、雨天走行に少々弱く、サドル中央部のサイドが、雨天時にレーパンと擦れて痛みやすかったと記憶しています。

Selle sanmarco “Rolls Due”

短い期間ではありましたが、2003年頃、人気サドル、ロールスの後継サドルだったロールス2も使っています。特に何か問題があったわけではありませんが、自分の尻にはあまり馴染まず、その後、近隣徘徊用ミニサイクルで再登板するまで、長らく休眠状態でした。ちょっと、ストライクゾーンが狭すぎる感じだったのかなあ。

Selle sanmarco Rolls 2

中華ミニサイクルで再登板した“Rolls 2” ・・・ 2015年の写真 

Selle sanmarco “CONCOR LITE”

このサドルはロードで2個体、青紺の方が10年、黒の個体は14年間、使いました。

Selle sanmarco CONCOR LITE

”CONCOR LITE” ・・・ 2011年の写真 

サドル中央部付近がスッキリしていて、ペダリングしやすさが際立ちます。さらに、御覧の通り、中央部から前方にかけて、シンプルに切れ落ちた明瞭な面が存在し、コレのおかげでコーナリング時の安定感が良好です。良いサドルでしたねぇ。

Selle sanmarco CONCOR LITE

 ”CONCOR LITE” ・・・ 2011年の写真 

なお、やや硬めの印象がありますが、指で押してみると、それほどの硬さは感じません。不思議なサドルです。

Selle Italia “SLR XP”

これは、いままで使ったサドルの中で、最も気に入っているものです。

下の写真のサドルは、小径車で長く使っていて、くたびれたSLR XPの革を張り替えたもの。

Selle Italia SLR XP

サドル革張替後の”SLR XP” ・・・ 2015年の写真 

cbn サドルの表皮貼り替え(SELLE ITALIA SLR XP)

で、この革が偶然にも、とんでもなくツルツルで、「史上最ツル」のサドルが出来上がってしまったというわけ。

冒頭にも申し上げましたが、

レーパンとサドルの間の摩擦は少ないほどよく、ツルッツルに滑るような関係が望ましい

というわけでこのサドル。あの使い込んだベルナール イノー ターボをはるかに超えるツルツル加減に完全にノックアウトされたのでした。いやまあ、本当によく滑りました。こういう革は、買おうと思っても売っていません。もうそれは、一期一会。運というしかない。(まあ、大金を叩けば買えるのかな?)

残念ながらサドル用の革ではないため、長持ちというわけにはいかず、5年ほどしか使えませんでしたが、サドル自体の絶妙のヘタレ具合に最高のツルツル度。オリジナルのXPではなく、この張り替えXPが、まぎれもなく私にとって最高のサドルでした。

Fizi:k “ARIONE K:IUM RAIL 225G”

2010年に22年ぶりに新しく製作したロードにつけるために選んだのがコレ。クセのないニュートラルな乗り味です。最初から全く違和感なし。悪くない選択でした。

Fizik ARIONE K:IUM RAIL 225G

 “ARIONE K:IUM RAIL 225G” ・・・ 2011年の写真 

なお、アリオネなのにテールが短いのは、切り落としてしまったからです。

Fizi:k “Arione VERSUS k:ium Team FDJ Edition”

中央に溝、というか両サイドに土手が築かれた、股間に優しい系のサドルです。使ってみて何ら違和感はありませんが、結論から言うと、ノーマルなアリオネのほうが好き。

Fizik Arione VERSUS k:ium Team FDJ Edition

 “Arione VERSUS k:ium Team FDJ Edition” ・・・ 2018年の写真 

因みにフィジークが提唱するサドルのフィッティング指針で「Spine Concept」というのがあります。それでいくと、このサドルは脊椎の柔軟性が高くペダリング時に骨盤が立つ人(スネーク・タイプ)向けのサドルということになっています。ノーマルなアリオネも同じタイプです。

脊椎柔軟性が低く、骨盤が歳とともに寝てきて、新城選手並み?の角度に近づいている私は、スネークから最も遠いはずですが、アリオネで全く問題ありません。むしろ、フィジークが私に薦めるサドルはあまり合わないだろうな、と思います。

こういうフィッティング理論が当てはまる人もたくさんいらっしゃるとは思いますが、私から見ると、こういうのはどこまで行っても単なる参考でしかないなあ、というのが正直な感想です。

Selle sanmarco “Concor “Ride for Japan 祈り””

長く使ったコンコール ライトの後継として目に留まったのがコレ。

Selle sanmarco Concor Ride for Japan 祈り

 selle sanmarco “Concor “Ride for Japan 祈り”” ・・・ 2018年の写真 

潔い白さと、イタリア国旗風の簡素なアクセント、そして ”Ride for Japan” という、あの大震災に想いを寄せてくれる、同じく地震国であるイタリアの自転車人の心意気を感じ、思わず買ってしまったのでした。なかなかカッコいいサドルです。しかし、

自転車にセットして指で触れた印象は、

「おおーっ、コンコール ライトより硬い!」

座ってみた印象は

「おおーっ、コンコール ライトより硬い!」

硬くて合わないとの嘆きの声も少なからずあった先代コンコール ライトよりも明らかに硬そうなこのサドル。自分の自転車史のなかで、サドルの好みはあるものの、サドルで尻が痛くなったことがないという、サドル音痴の自分の尻が果たして、このハードボイルドなサドルにも何ら問題なく順応できるのか、少々心配になりました。

しかし、その心配は結局、杞憂で、何ら問題はないどころか、なかなかいい感じです。座面は多少、ウェーブを描いており、座るポジションは比較的固定気味ですが、腰をある程度は後ろに引くことも可能です。あっさりと馴染んでしまい、挙句、廉売を発見し、さらに2個買って自宅在庫中。

先代コンコール ライトと比較するとこんな感じ。全く似てませんねぇ。

Selle sanmarco Concor Ride for Japan 祈り

先代コンコール ライトとはまるで違うサドルの“Concor “Ride for Japan 祈り””

まとめ

こういう記事を書かせていただいたおかげで、自分のサドル選びがいかに無節操なのか、というのが白日の下に晒されてしまいました。ずいぶんと能天気な内容になっていることに気づき、ああ、これまでの自分のサドル生活は、とことん平穏無事だったんだなあ、と思った次第です。

サドル沼に嵌っている方に何の参考にもならなくて、スミマセン!!

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GlennGould | CBN Blog
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著者
GlennGould

単なる市井の自転車乗り。2020年はスレスレで年間走行距離10000kmを上回り、最近10年間の総走行距離は109500kmほど。早朝4時から7時前(冬は真っ暗)に走ることが多く、日焼けはかなり控えめ。ここ数年はMTB走行が多め。おかげで自転車の操縦が少しだけ上達したような気がする(というのは完全に思い込み)。 そういえばサイスポ歴は立ち読みも含めて45年。 なお、山歩き歴も長いですが、そちらは永遠の初心者。

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